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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
753/761

第158話-1 礼奈VSラーグラ

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 少し時が戻る。

 礼奈は、覚悟を決める。

 今回は、氷のままでは相手を倒すことができないということを―…。

 だからこそ、凍らせるだけ以外の戦いをしないといけないことを―…。

 その時の戦い方も分かっている。

 相手の体内の水を用いることで、相手を殺すことは可能であるが、そのような選択肢はしない。

 聞かなければならないことがあるのだから―…。

 船上で襲った理由、さらに、サンバリアとの関係もしっかりと聞きださないといけない。

 サンバリアが瑠璃の命を狙っているのか。

 そのことが決まれば、後は自分のできる戦いをやるだけ。

 まず、ラーグラを倒すことはそこまで難しくはない。

 それよりも、長を倒す方がかなり難しい。

 火を用いるから、水によって無効にすることはできるが、それだけで倒せるような相手であるとは思えない。

 それに加えて、自分の力では二人をキャラバンの方へと運ぶことができない。物理的な力では―…。

 (なら―…、少し時間がかかるけど、あれをやるしかない。)

 礼奈には、キャラバンへと運ぶための方法があるのだろうか、今、この場で思いついたのかは分からないが、実行はできるようだ。

 成功するか、どうかは分からないが―…。

 ミランは、自らの武器である槍を構えながら、しっかりと準備をする。

 しばらくは、槍を使っての防御となるのだから―…。

 そんなことを思っていると―…。

 「死ねぇ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

 ラーグラが叫びながら、番えた矢を礼奈のいる方向へと向けて、放つ。

 ラーグラからしたら、こいつだけは確実に倒しておかないといけないと本能的に判断しているようだ。

 長からしてみれば、戦いの天才に対して、そのような叫んでから攻撃するのはかなり危険なことでしかないと、理解しているようだ。

 (戦いというものが何も分かっていねぇ~な。ありゃ~。)

 長からしたら、何度も何度もラーグラには呆れという感情を抱くのには十分だった。

 ラーグラは、長がラーグラに対して、このような感情を抱いていることに、礼奈に夢中になりすぎて気づいていないようだ。

 それだけ、戦いに集中できている証なのであるが、一方で、複数と戦わなければならない状態で、このようなことをしているようでは駄目だな、という認識にもなる。

 戦いは決して、常に一対一になるわけではないのだから―…。

 だからこそ、集中したり、警戒したりする場合には、他の場所にも向けるというようなことをしないといけない。

 それが戦いの中で生き残るためには必要なことであるのだから―…。

 そして、礼奈は槍を振るい、ラーグラの矢の攻撃を別の方向にずらし、自身に当たらないようにする。

 その時―…。

 キン、という金属音がするのであったが―…。


 戦いは進んでいく。

 礼奈とラーグラの戦いの中で、長は介入するようなことはしなかった。

 礼奈の何かしらの意図を警戒してのことである。

 (さっきから俺たちを凍らせるようなことをせずに戦っていやがる。何か仕掛けているのか? もし、そうなら、迂闊に動かないようにするか、一気にこちらが動くべきか。表情から察せられないなぁ~。)

 苦虫を嚙み潰したかのような反応を長は示す。

 礼奈が何かしらのことをしようと企んでいるのではないか、と思っているのだ。

 この観察というか推測は正解の域にあると言っても良い。

 礼奈は何かしらのことをしようとするために、時間がかかるということを理解しているからこそ、自らの武器である槍での戦いをしながら、水や氷を展開しないようにしているのだ。

 そうこうしているうちに―…。

 ラーグラの方は、矢を何発か放つも、礼奈に躱されたり、軌道を逸らされたりしているせいか、イラつきの表情を滲ませていた。

 (クソッ、クソッ!!! 何故、攻撃が当たらない!!! クソッ!!! クソッ!!!!)

 ラーグラのイラつきというものは、この場における戦いでの判断力を極端に鈍らせる。

 そもそも、戦いでの判断力が高いというところを見せていないラーグラの判断力が鈍ると言ったようなことを言ったとしても、鈍る量というものがあるのであれば、それが減る量はかなり少なく、分かりにくいものであろう。元々、鈍る量というもの自体が少ないのであろう、という前提が存在するのであるが―…。

 そんな感じである以上、ラーグラは戦いが下手と判断されたとしてもおかしくはない。

 そんな焦りの感情を抱いているラーグラを、礼奈はラーグラの表情からすぐに理解する。

 理解できるぐらいに表情に出てしまっている。

 礼奈は言葉を発することなく、槍での突きの攻撃やラーグラの矢の攻撃を躱したり、軌道を逸らすようなことをしながら、あることの準備をし、方角を頭の中で確認する。

 そして―…。

 (準備完了。)

 ゴルブからの念話を聞いたのだろう。

 すぐに、実行に移す。

 水を最大領域で展開する。

 周囲には水が溢れるようになり、キャラバンの方向に向けて―…。

 「水流波(すいりゅうは)。」

 と、礼奈が言うと、水が波のようになって、ラーグラや長を飲み込もうとするために向かって来るのだった。

 「!!!」

 ラーグラは驚きながらも回避しようとするが、すでに、水に足を浸けている為か、素早く動くことができずに、真っ先に飲み込まれるのだった。

 「グッ…………………………………………………………。」

 水に飲み込まれてしまった以上、言葉を発することはできない。

 そして―…。

 (こんなことをしてくるなんて―…。ふざけるな!!! ふざけるな―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!)

 ラーグラの怒りの感情は頂点に達する。

 礼奈をここから一気に始末してやりたいと思いながら―…。

 だけど、そんなこと、今のラーグラの状況においてなすことなどできるはずもない。

 水に飲み込まれ、自らの武器である矢と自身が溺れ息すらできない状況を回避することに必死なのだ。

 顔を水の上にやっとの思いで出しながら、流されるままに身を任せるしかない。

 言葉を発することすらできずに―…。

 そんななか―…。

 「上手くやられたな。だが、こんな技をつかった以上、あっちのお嬢ちゃんの方も、大きな技を使える回数は減少したことになる。」

 ラーグラの近くで、水に顔を浮かべながら、寝るような体勢で流れに身を任せるのだった。長は―…。

 「俺もこんな技に対抗する方法はないし……な。なら、相手の有利なゾーンに流されるのは仕方ないことだ。諦めるんだな。あいつの方が実力は上。認めるのも立派なことだと思えるけど……な。」

 長は、ラーグラには礼奈を倒せないと、平然と言う。

 長からしたら、最初から分かっていることであり、自分のサポートをしてくれれば良いと思っていたが、どうもラーグラは自分の実力だけで、礼奈を倒そうとしているようだ。

 そのことが分かっているからこそ、最初に戦わせるようなことをしながら、自分はどこかで二人の戦いの観察に徹した。

 そして、今の状況から考えても、礼奈に勝とうとするのが愚かなことでしかない。

 戦いの上で、いろんなことを考えないといけない。

 自分が正しいと思っていることをし続けるようなことをして、相手の意見に耳を傾けない、状況を理解しない、などの身勝手な思考というのは身の破滅を招くだけでしかない。

 人は物事の全てを理解することができない以上、何かしらの漏れというものが発生し、その漏れの中に正解の選択肢が存在する場合だってある。ゆえに、自分が望んだ経過をたどって、自分の望まない最悪の結果にだってなり得ることがあるのだ。

 こんなことはあり得ないと思う人もいるかもしれないが、そういう人は無意識のうちに、人間は合理的で、どんな時でも正しい選択をすることができ、それ以外に正しい選択肢などないと思っているだけの思考停止の存在に自らが陥っていることに気づいた方が良い。

 そこに気づかなければ、自らの成長、数値の増加によるものであるかどうかは分からない、ができなくなり、周囲に後れをとる存在になってしまうだけである。周囲を馬鹿にする存在にだってなるのかもしれない。

 人は何も変わることのない存在でもなく、何も変わらない存在でもない。

 要は、変わるところもあれば、変わらないところもある存在なのだ。

 ゆえに、変化していくことを恐れてはいけないし、変化していくことによって、自身の良い状態を探っていくという探求を続けることをしていかないといけない。

 そうやって、いろんな今までには見えなかった景色を見ることができるのだから―…。

 それを変化と言い、成長という一つの意味として言えるのである。

 ラーグラは自分の思考に囚われ、状況をしっかりと判断することができず、破滅をするな。

 そう、今の一言を本音として、長は言いたいのだろう。

 長としては、お人好しにような感じに見えるが、それは元来の性格であり、自分以外の人のこともしっかりと考えることができ、思考停止に陥ることのない証拠なのかもしれない。

 そんな長の言葉をラーグラが聞くことができ、そこからしっかりと本質を考えられるようなことになるかは、また、別のことなのであるが―…。

 (ふざけるな!!! 俺は……始末する!!! あの女を!!!)

 ラーグラの心の中でこのようになってしまっている以上、長の言葉が聞こえたとしても、自らの意思によって拒絶してしまう。

 自分中心。自己中。

 そのように言い換えても良いかもしれないが、そこにあるのは、自分が間違っていないという思いなのであり、絶対にやってやるという意志の気持ちの強さによるものだ。

 頑固と言われる状態に陥っており、冷静さの欠いた状態になっているということである。

 そのことに、少しは頭を冷やせと言うこと自体は簡単なことであろうが、それで本当に伝わるのなら、理解してくれるのなら、そもそも以上のような状態に陥ってしまうことはない。

 ここで大事なのは、相手の強い気持ちには、自分の強い気持ちを示すことを絶対にしないといけない、ということだ。

 これは喧嘩腰と言われるかもしれない。

 そして、補足するのであれば、自分の強い気持ちに婉曲の表現は避け、直接的に分かりやすく言うべきであろう。そうしなければ、間違って伝わるか、その婉曲の表現を利用して、暴走するかもしれない、ということだ。

 人は思っている以上、他者の言っていることの全てを理解することができるわけではなく、自分の都合が良いように解釈することもあるし、そのようにすることに何の違和感を感じ者もいる。そんな輩は、人の言葉が聞こえたとしても、自分の中にある基準に照らして、自分が得をしているという主観的な判断に囚われている。

 このことに関しては、まだ、確実に理解できている状態にはないのだが、確実に言えることは、自分の中にある経験や知識に照らして判断することは誰もおこなっていることであり、そのことが良い結果を導くこともあれば、悪い結果になることもある。その判断がどうしてそうなのか、というのは完全に分かるものではないと、思われる。

 さらに付け加えるならば、失敗する者達は反省という言葉を紳士に、しっかりと受け入れるということ、考え込むことがないものだと思われる。そういう意味では、本当の意味で失敗を理解することができない存在なのかもしれない。

 以上のように、まだ不明瞭な部分があって申し訳ないが、自身の中に、頑固な愚か者の選択に対する理解が追いついていないことが起因するものである。再度言うが、申し訳ない。

 さて、話を戻すと、長は、ラーグラのことを呆れながら見るのだった。

 (こうまで意固地になると、実際に、あの嬢ちゃんに敗北するようなことになったとしても、敗北を素直に受け入れられるか、分かったものではない。ふう~、受け入れ、考えることによって、他者の知恵を借りたり、自分なりに解釈しながら、いろんな視野を深めることによって、自分の問題を解決させることができるのに……。そして、自分の実力をはっきりと理解することができ、どのような行動が正しいのかを理解することができるのに―…。それを学び続けるのが人生の一つの宿命であろうに―…。)

 長は、ラーグラの視野の狭さを理解したからこそ、ラーグラが最悪の、人に迷惑をかけるだけの社会にとっての害悪にならないか、心配になるのだった。

 善悪というのは主観的なものにすぎず、同じような答えを抱きながらも、まるで、真逆の立場からその性質を確認することができる。

 例を出すことはできないが、現実世界においても簡単に確認されていることだけは確かである。

 そして、二人は流されるのであった。

 キャラバンのいる場所へと―…。


 【第158話 礼奈VSラーグラ】


第158話-2 礼奈VSラーグラ に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆をしていくと思います。


風邪ひきました。

なので、暫くの間、投稿をお休みします。

申し訳ございません。

風邪の方に関しては、うつされたという感じですが、何とか回復してきております。

少しだけ休みを多くとって、体力万全で『水晶』の投稿の方を再開したいと思います。

なので、次回の投稿日は、2025年11月18日頃を予定しています。


『この異世界に救済を』に関しては、2025年11月7日ごろに判断したいと思います。


誠にすみませんが、ご理解のほどよろしくお願いいたします。

皆様も体調には気を付けてください。

では―…。

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