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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
744/748

第156話-4 風と生の戦いの決着

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 一方、クローナの方は―…。

 砂煙が舞う。

 そんななか―…。

 (ふう~、あのバリアを破壊することはできたが―………………………、倒したという感覚がねぇ~んだよなぁ~。マジで―…。)

 レグからしたら、倒した感覚というのは皮膚から感じる直接的なものではなく、何かしらの予感みたいなものである。

 それを具体的にレグが説明したとしても、第三者に通じるということはほとんどないだろう。

 感覚を言語化するというのは、それだけで、素晴らしい能力を持ち合わせているということになっているし、それは言語としてその感覚を理解し、周囲に伝える能力を持ち合わせているのだから、相手の考えが手に取るように分かったとしても驚かないほどの存在となれる可能性を持ち合わせていることになる。

 感覚を言語化するという作業は、それだけ簡単なことではないし、語彙力も伴っていることは前提に近いものがあるし、相手に分かりやすくするのなら、さらに、難しいことになり、相手の立場を理解しないといけない。

 そういう意味では、その才能が、以上で述べたように、素晴らしい能力であることに間違いないであろうし、その能力を馬鹿にする謂れはないとしか言いようがない。

 人にそれぞれ共通した面、異なっている面が混交しているようなものであり、他者との比較で気づけるものである。

 それに気づかず、一色単に表現することは物事を相手に伝えるという面では分かりやすいものにするであろうが、それは全てを伝えているのではなくて、一部を伝えているだけに過ぎないということを暗に示しているだけなのだ。

 さらに、人は相手のことを完全に理解することができないが、完全に理解できないことができないという性質を持ち合わせている点から考えたとしても、同様の結果の片方の面から見て導くことができるであろうし、理解することも容易であろう。

 要は、すべてのことを伝えることができないから、要点を絞って伝えているということになるので、全てを伝えているわけではない、ということになる。

 そのことを忘れ、全てを理解した気になっている人間は、無理矢理理解しただけで、本当の意味で完全に相手の言っていることを理解しているわけではないし、そのようなことができていると思っているのなら、それは幻想に囚われた森の中に入っていくようなものでしかない。

 なので、人はある程度の面で、理解した気持ちになっているだけということを忘れてはならないし、そういうことであるから、人は何度でもその物事について考え続けることができるし、見直すことができるという性質を持ち合わせることが可能になっているのだ。

 人は永遠に思考し続けられることを保障されているということになる。完全に理解することができない、完全に理解できないことができない、という言葉の矛盾に感じるかもしれないことが、成り立つのである。

 そして、話を戻し、進めていくことにしよう。

 レグは、第三者に説明して、理解してもらうことが難しいことを心の中の言葉にしながらも、その感覚というものを疑う気にはなれなかった。

 感覚というか、直感に近いものであり、それは人が無意識のうちに自分の頭の中で思考した結果なのであり、無視するのは時に、危険なことでしかない。その感覚を無視することは、自らにとって最悪の結果を導くことは往々にしてあり得ることなのだ。

 なので、感覚というのは無視するよりも、それが何かを理解することに努めた方が良かったりする。

 レグは砂煙の方を見ながら、もし、クローナを倒せなかった時のために、大斧に纏うべき光の量を増やす。

 そのような警戒は、もし、クローナが倒せた時に、クローナの仲間がその隙を襲ってきたとしても、十分に対処することが可能だ。

 そういう、レグの頭の中で想定することができることを考えて、すぐに実行する。

 それが自身が生き残るために必要であるという認識を有しているからだ。

 そして、周囲への警戒を緩めることなく、状況を観察する。

 そうしようとしていると―…。

 「!!!」

 砂煙が揺れる。

 それは、自然に揺れているような感じがしなかった。

 風に流されるような感じであったとしても、そっちには動かないだろうと思えるものだ。

 だからこそ、レグは自らの感覚が当たっていることを理解し、あまり良くない展開なのではないかと思い、(しか)め面をするのだった。

 そして、同時に―…。

 レグは武器を構え、クローナが砂煙から姿を見せるのだった。

 (風を使って防いだ。何とか残ったけど、ここで一発を決めないと―…。いや、借りられるだけ、最大限に借りて―…。)

 クローナは、レグのさっきの攻撃によって防御テント(バリア)を破壊されてしまうのだが、風を使って何とかレグの攻撃を防いだのだ。

 風を武器に纏っている量を減らすことになり、後々のことを考えて、天成獣から借りられる力の量を温存しようと一瞬考えるが、そのようなことをしてもレグを倒すことはできないと理解し、ここで、戦えなくてもしょうがないと思えるように、天成獣から借りられる力の量を借りようとするのだった。

 それしか、レグを倒す方法はないのだから―…。

 そして、レグは待ちに待っていたかのようにして―…。

 (これ以上時間をかけるのは宜しくないな。すでに、長を直属の護衛が長を守るのではなく、襲撃にやってきているというのは、長が本気中の本気だってこと。なら、後はやつらに任せれば良い。)

 レグの判断は、長の護衛をしていた六人の実力を知っているからこそ、できることである。

 自分がここで今日の戦いができなくなったとしても、チームで勝利するようなことをすれば、確実に、自分の戦いも無駄にはならないのだから―…。

 だからこそ、レグの方も、大斧に光の量を増やしておいたのを、一気に振るう。

 「これが俺の最大だ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!! 最大!! 光斧斬撃!!!」

 大声でレグは叫ぶ。

 それは、自分を不利にしているように見えるだけれど、気持ちの面で相手を倒すという圧を発するためでもある。

 そうすれば、クローナの方も自分を無視するようなことが一瞬にでもできなくなるからだ。

 自分が倒されたことをも考えながら、行動する。

 「!!!」

 (やっぱり、何かそんな予感がした!!!)

 クローナも嫌な予感を感じていたのだろうか。

 だからこそ、ここで今日は戦えなくてもおかしくないほどの自身の武器に宿っている天成獣に力を借りようと選択するのだった。

 その選択は今のところ、間違っていないようだ。

 だからこそ、風に最大限に纏い―…。

 「二重風切(にじゅうふうせつ)。」

 クローナは、自らが両手に持っている武器を振るう。

 両者の放った技は―…。

 近くで衝突する。

 ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!

 という音をさせながら―…。

 近くで、そのような音を聞けば、耳が裂かれるような大きい音に晒されるであろう。

 それがどういうものかを経験したいものは、かなりの物好きであることを自覚した方が良いであろう。

 その音は周囲にも響き渡り、キャラバンにいる者達も外に出ることはできなかったであろうが、その音を聞けば、何が起こったのか思ってもおかしくはないだろう。

 僅かばかり、顔を出そうとする者がいたとか―…。

 それを詳しく述べるようなことは物語にあまりにも関係もないので、省略しないといけない。申し訳ない。

 そして、その音が鳴りやむ頃になると―…。

 辺りには砂煙が今日一番に舞い上がるのであった。

 シュウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ、という音がしてもおかしくはないほどだ。

 風もそこまで強くないので、砂煙はなかなかに晴れるようなことはなかった。

 そんななか―…。

 最初に、砂煙が晴れながら、姿を見せたのは―…。

 「はあ、はあ、はあ……………………はあ……………………………………………。」

 レグだった。

 レグの方は息を荒げながら、砂煙のある方を見るのだった。

 息もどこかで切れそうな感じだ。

 (すべてを使いきったが、駄目……………………………………………………か…………………………………………………………。)

 レグはそのように言いながら、倒れるのだった。

 そう、今回の攻撃による両者の技の衝突によって、レグはもろに反動を受けたのである。

 その結果、レグは意識をやっとの思いで、砂煙が晴れるまでに意識を保つことができたのであるが、それ以上は、無理だった。

 レグは意識を失い、倒れるしかなかった。

 レグは戦闘不能になるのであった。

 その様子を少し離れた場所で見ていた二人は―…。

 「レグの野郎が倒された……か。あのバリアの小娘は大した実力を有しているようだな。だけど、流石のレグ相手だと、かなりの量の天成獣から借りた力を消費せざるを得なかったということか。まあ、消費しなければ、倒されていたのだから仕方ない。だが、戦いの場で、それを言い訳にすることはできない。いくぞ!!!」

 「ええ!!!」

 二人は略奪団の一員であり、長の護衛をしていた六人の中の二人だ。

 実力は十分にあるし、戦闘経験もしっかりと積んでいる。

 ゆえに、相手の隙を狙うことがどれだけ大切なことかを知っているし、自分の力を温存させておくことの重要性もしっかりと理解することができている。

 クローナの方もかなりの消費をしたことが分かっているからこそ、レグの戦いを無駄にしようにするために攻めるのだった。

 卑怯と罵られるようなことがあろうとも、生き残る、勝利するために行動をしなければ、正々堂々と戦って負けたとしても、誰かが褒め称えて、かつ、繁栄を約束してくれるようなことはない。

 その戦いを、雄姿を誰かしらが残してくれるようなこと、その悲惨な出来事による正々堂々と戦ったことを残してくれる人はいるかもしれないが、実際上、その戦いで散った者達が命を落としてしまえば、その本人たちが生きて利益を得ることはなく、その利益は周囲の人々である。その周囲の人々が利益を得ることには反対しないし、彼らの中にはその雄姿をしっかりと後世に伝えることをしてくれる者もいる。

 だからこそ、過去に対して、何が起こったのかをしっかりと分かる範囲で理解しないといけないし、それを歴史と呼ぶのであろう。

 そして、人は過去を完全に知ることができないからこそ、人の目に出てこない過去に起こったことがある以上、歴史というのはその発見とそれに対する批判と吟味によって、書き換わるようなことがある。

 その書き換えというものは、決して、自己都合のためになされるようなことはあってはならないし、自己都合のための歴史を「正しい歴史」などということと、言ってはならないし、人が認識できる歴史とされるものが過去の出来事の全てを理解させてくれると思ってはいけない。

 大事なのは、過去を知ろうと、いろんな意味で悩み、考え、あるものから逸脱することなく理解することが大切であり、先人達の歴史理解をしっかりと批判しながらも、公正な目でしっかりと見ること、なるべくになるかもしれないが、そのようなことをしないといけないし、あったことをなかったことにすることはできない。なかったとするためには、しっかりと「ない」ということを証明しないといけない。歴史資料を批判することによって―…。

 さて、話が変に確実性が高いかは分からないし、難しい言い方になったし、本当に正しいかはいろんな人の判断を聞かないと分からないが、ただ、言えることはこの世に過去の全てを知ることができる存在はおらず、人が生み出した者にそんなことは不可能なことでしかない。できるのは、ただ、過去の全てを知ることへと近づけるというだけでしかないことである。

 話を戻し、二人は、クローナがいると思われる場所を攻めるのであるが―…。

 「!!!」

 「!!!」

 何かにつき当たるのだった。

 そう―…。

 (バリアだと!!!)

 (まだ、展開できたのね―……。)

 クローナはしっかりと、さっきの反動を最大限の強度の防御テントを展開することによってしのぐことに成功していたのだ。


 【第156話 Fin】


次回、六人の護衛との戦いに!!?

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していくと思います。


では―…。

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