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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
740/748

第155話-3 もっと不利になる?

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 場所は変わって―…。

 ラナトール~イスドラーク間の砂漠。

 そこでは―…。

 「甘いわ。」

 鞭の形をした闇を振るい、後ろから急襲してきた略奪団の一人を倒す。

 「グワッ!!!」

と、倒される側は声を出し―…。

 ミランの実力からすれば、この程度の敵は一撃で倒すことは簡単なことでしかない。

 決して油断しているわけではないので、ミランからすればそこまでのことではない。

 ミランが油断をしないわけではないが、この程度なら簡単にすぐに察知できる。

 倒されるような存在ではないが―…。

 「暇そうなお前からだ。」

 女の声がする。

 言い方はぶっきら棒と言われたとしてもおかしくないものであるが、そのようなことを気にする時間はミランには存在しなかった。

 (この感覚、実力者!!!)

 ミランは感覚で理解したのであろう。

 その感覚というものを言葉で表現するのは、あまりにも難しいことであり、第六感かどうかは分からないが、そういうのと似ているものかもしれない。

 ミランのこれまでの戦闘の経験から直感的に導き出された危険な存在が攻撃しようとしているということを示すものであると―…。

 ゆえに、闇で形づくった鞭のようなものの片方を、その声がした場所へと向ける。

 だけど―…。

 「!!!」

 (外れた!!!)

 ミランからしたら驚きであるのと同時に、実力者であると理解しているからこそ、すぐに冷静になる。

 そのような判断を簡単に下すのは、と否定的に考える人がいるかもしれないが、そんな悠長に考えている時間を敵側が与えてくれるようなことはない。

 敵は対象を倒すのに時間を与えるようなことをして、自らが不利になるようなことは望まないし、対象に対策を打たれることを恐れる。

 それは相手の気持ちになって考えることができれば、すぐに気づく可能性の高いものであろう。

 ゆえに、素早い判断が要求されるのだ。

 最悪を想定した上での―…。

 ミランは、冷静になりながら、すぐに、敵がどのようにしてくるのかを警戒をしていると―…。

 「俺の奇襲を失敗させてくれるなんて、結構、強いんだなぁ~。」

 優男のイケメンがミランの前に姿を現わす。

 この男からしたら、姿を見せることで自分が不利になるようなことないと判断しているようだ。

 それがどういう理由かは分かってくることであろう。

 「奇襲を仕掛けるのだから、姿を見せるようなことをしても意味はないと思うんだけど―…。」

 ミランの方からしても、舐められているのではないかと思ったので、少しイラつきの感情を伴った上で、嫌味を言うように発する。

 ミランの心情からして、姿を平然と現わすのは、自分に相当の自信があるのか、それとも、ただの馬鹿のどちらかであるのだろうが、最悪の場合を想定しておかないといけない。

 それは、相手が実力者であると判断したことと、そういう輩が自らの姿を敵である存在に見せるということは、奇襲することに自信があり、簡単に捕まえることができないと暗に言っているに等しいので、警戒度はかなりのものにしないといけない。

 ミランの戦闘方法から考えると、素早い移動が得意というわけではなく、範囲攻撃と近づく相手に対処して、カウンターをメインとしている。

 それは闇という能力を扱う上で、闇の中に飲み込むということと、固体化させて、相手に物理的なダメージを与えるということで、相手の攻撃範囲を相手側に考えさせるように仕向けているからだ。

 考えることは大切なことであるが、考えさせすぎることによって、素早く判断を下すことができなくなる場合が存在する。そのことが致命傷になったりすることがあるので、それをミランは勝利に必要なピースとしているわけである。

 ミランは警戒をしながらも言葉を発する。

 相手の隙や弱点を探るために―…。

 会話から得られる情報もあるのだから―…。

 「そうだねぇ~、普通ならそのようなことをしないといけないのだろう。私としては、姿を見せたところでデメリットは一切ないことと、君は確実に私の姿を見せるようなことをする可能性があると私の直感がそう告げているので、それに従ったまで。ここからが本当の戦いだよ。」

 男から言わせれば、ミランの実力はかなりのものであり、自分の姿をどこかしらの場面で捉えることができるし、男を捕まえることも容易にできるだろう。そのように判断したからこそ、姿を見せた上で、戦った方が得だし、姿を見せないことによる自身の優位に自惚れて、油断すればあっという間に倒される結果になるかもしれないからだ。

 男は直感と表現しているが、それを嘘だと考えるのは危険なことでしかなく、男は直感を受け、それがどういう理由なのかを言語化するために考えることはできるし、それだけの戦闘経験と理論を持っていることである。

 要は、男は自身の直感はどうしてそのような直感となったのかを言語化し、それを簡単に説明しているということだ。

 そして、男は自身の武器である二つの短剣を構える。

 そんななか―…。

 (自信ありのタイプで、過信しない人間。厄介―…。)

 ミランはかなり手ごわい相手と当たってしまったと思うのだった。

 一方で―…。

 (……………………言っていることに嘘はないけど、言っていないことの一つや二つぐらいはあるものだよ。それが戦いだろ。)

 男としても、相手に必要以上に情報を与えるような真似をする気はない。

 というか、そんなことをするのは、自身の見栄を張りたいだけの駄目な存在でしかなく、そんな奴が戦いの中で生き残れる可能性は低いであろう。決して、全員の見栄っ張りが生き残れないというわけではないことに注意が必要である。

 情報は戦いにおいて、かなりの武器になることは間違いないし、情報が結果を左右することは往々にしてあることだ。

 そうである以上、情報はしっかりと把握しておく必要があるし、相手に必要以上に漏らすようなことをしてはいけない。それが自身の命を守る場合があるのだから―…。

 そして、男は気づいている。

 ミランが今、どういう状態になっているのかを―…。

 (……ふう~、高速移動、奇襲が得意なのは私としても苦手意識があるけど、範囲攻撃に追い込むことができれば良いが―…。そんなことを簡単に許してくれそうな感じは、しないのよねぇ~。)

 ミランからしたら、男が実力者であることが分かっている以上、簡単に対処できないし、今、ミランがしないといけないことは如何にして、自身が得意な範囲攻撃に相手を追いつめるかということであろう。

 そう思っていると―…。

 (隙あり!!!)

 「!!!」

 ミランは何かしらに気づく。

 すぐに、闇を自身の周囲に展開し―…。

 素早く今のいる場所から離れる。

 (敵!!!)

 そして、ミランのいる場所にはハンマーを持った大柄で高身長の女性がハンマーを振り下ろし終えていた。

 「チッ!!! ガドリング、テメェ~、私が攻撃している時にはしっかりとサポートしろと言ってるだろ!!! だから、あんな小娘に簡単に凍らされる結果になるんだよ!!!」

 女は、ミランに少し前に奇襲攻撃をした男であるガドリングに向かって、不満を口にする。

 女からしてみたら、ミランの絶好の隙を狙い、始末することができると思ったのに、ガドリングがサポートしなかったせいで、失敗したと思っているというか、確信している感じだ。

 なぜなら、ガドリングのサポートがあれば、女に気づいていたとしても、回避することはできないと判断しているからであろう。

 そんなことを言ったとしても、起こったことをもう一度同じ状況に同じまんまにすることはできない。似たようなことは可能であろうが―…。

 そうだと考えると、女の不満も理解できることであろう。

 そして、女はミランに対して、女に大事なヒントを与えることになる。

 (小娘、凍らされる結果って―…、礼奈(あいつ)か!!! というか、凍らされているということは溶かされたってことね―…。キャラバンを襲っている敵と戦っていたということね。倒されていないか不安だね。いくら戦闘の天才と言っても、限界というものがあるわけだからね。)

 ミランは、礼奈の行動の一部を理解するのだった。

 そうだと思うと、礼奈の行動は馬鹿だと思えなくもないが、完全に、馬鹿な行動であると言うことはできなくなる。

 そして、ここに礼奈によって凍らされた連中がやってきている以上、礼奈が倒された可能性があるが、救出できるような段階ではない。そんなことに時間を割いている暇はないし、そんなことができるのであれば、すでに、ここは自分達が襲撃してきたキャラバンを倒せている状態になっているのだ。

 それができていないから、まだ、戦っている。そんな状況で依頼を受けているキャラバンを守れませんでしたとかになったらお話にならない。そんなこんなで、礼奈を半分見捨てるような形となってしまっているが、仕方のないことだとミランは思うのだった。

 「知るか!!! 何の抵抗もできずに凍らされるなんて予想できるかよ!!! 長が溶かしてくれなかったら、私らは砂漠の上で凍死しててもおかしくなかっただろ。それにあの小娘は、長と依頼者との戦いになってるだろ―…。まあ、長には勝てないだろうがよぉ~。」

と、男は言う。

 男からしてみたら、礼奈の凍らせることによる奇襲に対処するのはかなり難しいことであるし、分かっていても、自分らで初見で防げるようなことはできない。

 そして、長に命令されたからこそ、この場にやってきているのだから―…。

 ゆえに、女に文句を言われたくはないのだ。

 自分でも対処なんて、できないだろ、と暗に言いながら―…。

 そして、ガドリングという男の言葉もまた、ミランにヒントを与えることになる。

 (礼奈は戦闘中で、こいつらは長の命令でこっちにやってきた。そして、依頼者がいることは確かね。礼奈が依頼主を捕まえてくることに期待するしかないわね。)

 ミランからすれば、祈ることしかできない。

 ガドリングと女を倒すことはできるだろうが、依頼主を捕まえることができる場所にいるのは礼奈であり、キャラバンの護衛依頼をしっかりと今は、果たさないといけない。

 そして、できることはしっかりとやるしかない。

 ミランはそう思いながら―…。


 一方、サンバリアの塔の近く。

 そこには一人の男性がやってきた。

 美青年と言っても良いぐらいにスタイルが良く、周囲からも目立つような存在であろう。

 この美青年は、自分の本名を言えば、この国ではかなり有名であることを十分に知っているであろうから、あまりメディアや表向きに姿を現わすようなことはしていない。

 だけど、知っている人は知っている。

 それほどの存在なのだ。

 (久しぶりだねぇ~。サンバリアの中央にある塔―…。塔の上は父親の死体を食ってコピーした人喰い兵器を別の体に移植して、暗殺事件をでっち上げる。お爺様とその先祖に支配され続けてきた国の表向きの指導者は、機械だったなんて、どんなジョークだよ、って思うけど、事実は小説よりも奇なり。まさに、その言葉をそのままの意味で表現してくれるとは―…。悲しいねぇ~。そして、フェーナの報告によれば、カサブラとか言う欲深の政治家を食わせたようだけど、何故か若返るようなことになったのだっけ。まあ、お爺様と一緒に聞いたからそのような感じだけど―…。私の役目は、サンバリアを一枚岩にするための一時のピエロを演じろということ―…。はあ~。)

 「どうして人はここまで愚かなのだろうか?」

 この青年から言わせれば、国というものが自分達が思っているよりも、自分達に何かを教えてくれるようなことはない。教えてくれるのは、支配者や権力を握っている者達にとって都合が良いことであり、情報は全てが正直ではなく、何かしらの意図があるということだ。

 その情報はどういう意図なのか、どういう勢力の考えなのか、どこから手に入れたのか、真実を自然から探求するように見つけた法則が、すぐに正しいということにはならない。

 これは語弊のある言い方でしかないが、法則を見つけ出して、何かしらの周囲からの真実の証明をすれば確定するものであるということは、国から出される情報にはないのだ。そして、確かめる方法も完全に確立されているわけではない以上、自然のように、決まりきったやり方では誠か嘘を確かめることはできず、いろんな嘘がないかを何度も何度も、繰り返しやっていくしかないし、情報の背景すら見ないといけないのだ。ゆえに、簡単に、その情報は何の嘘の一遍もない真実であると判断することはできないし、メディアが出したとしても、完全に正しい情報だと信じることはできないのだ。

 そうであるからこそ、人々は得た情報を自分自身でしっかりと考えないといけないし、そのために、いろんな知識を学び、疑い、いろいろな角度から思考する必要があるのだ。そのことを忘れて、無自覚に情報を信じるのは危険な結果を招くだけでしかない。

 いくらそのことを知っていたとしても、失敗することは往々にあるので、謙虚でないといけない。

 そして、青年は、塔の中へと入っていくのだった。


 【第155話 Fin】


次回、長の護衛の六人と対戦になると同時に、レグVSクローナの対決が決着へ―…、に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していくと思います。


最後に出てきた人物、一体、誰なのだろうか?

設定は決まっていますし、サンバリアの章ではそこまで出番はないですが、最終章には―…。あの対決が―…。

ということで、お楽しみにしていてください。

では―…。

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