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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
738/746

第155話-1 もっと不利になる?

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 【第155話 もっと不利になる?】


 礼奈の側―…。

 礼奈は悔しそうな顔をしているが、それでも、冷静さを失うわけにはいかないと理解している。

 どうしてそのように理解しているのか?

 それは、この戦いにおいて、最初に凍らせた六人が、キャラバンの方へと向かって行ったからだ。

 そのおかげで、礼奈は八対一という状況は解消されることになるのだが―…。

 有利な状況ではないのは確かだが―…。

 「そんなに一人であの六人を倒そうとでもしていたのか。それはお前の目測の誤りだ。あいつらは、奇襲されて行動不能にされることがなければ、普通に実力者と言っても良い実力を有している。そういう意味で、お前は何度も何度も言うが、戦闘的センスが類まれなんだよなぁ~。そこの雑魚で何も分からずやのラーグラと比べて―…。だけど、どんな天才であったとしても、人である以上ミスをしない人間は誰一人としていない。」

 長は言う。

 長は、人生いろいろな経験をしている以上、いろんな人間を見てきた。

 そこから分かることは数多くあり、その中で、人はミスをしないことはない、ということだ。

 そう、人はミスをする生き物であり、間違わない人間は存在しない。

 だからこそ、自分が完璧である人間だと自負しているのを見れば、長からしてみれば、あまりにもそいつは馬鹿らしい存在にしか見えず、無知にも等しい存在にしか見えなくなる。

 そして、自身も完璧ではない思っていると、完璧に成功することはないが、調子に乗ったり、誰かを平然と馬鹿にしたりするようなことが少なくなる。

 自分もそうなる可能性があると理解しているからであろう。

 それと同時に、自身を完璧だと思い、合理的な存在だと思ってしまっている人間が、自らの誤りを考えないような素振りを見せることは何と愚かなことでしかない。

 愚か者は、いろんな意味で過信する。

 自己評価を高めに設定する。

 それが上手くいく時もあろうが、すべての面で上手くいくとは限らないし、往々にして、自分の欠点や問題点、物事の同様なことを見落としてしまうことがあり、それが失敗へと繋がっていく。

 失敗した時になって、そんなことはないとか、自分は責任はない、という無責任なことを言うのだ。本人で変えることができない事情において、不幸に陥っている者を見つけては、その人の不幸を自己責任だというあまりにも身勝手なことを罵声のような声で言う。そして、そういう人間が人々にとって耳障りの良いことだけしか言わず、かつ、不都合な面は一切に言おうとしないのだ。そのようなことに対して、何も調べず、考えず、危険を察知しようとせず、自らの心の中での快楽を楽をして得ようとしている輩が騙されていくのだ。

 そのような輩たちの中にあって、真面に過ごしている人が彼らという厄災の被害を受け、その尻拭いをさせられ、かつ、その厄災を起こした者や協力した者達による云われのない罵詈雑言を受け、さらに、損失を蒙るのだ。このような状態になった社会が良い結果を導くかと言えば、それは否であろう。世界がそんな自己都合の人達のために優しいのであれば、そんなことを世界は完全に許すことはないだろう。なぜなら、彼らの選んだ道は破滅の道であり、そのような行動には関わらないようにしたりするなどの対抗策を用いるし、信頼を失った奴らの言葉など聞きはしないし、薄々気づかれるものだ。

 忘れてはならない。あなたにとって耳障りが良く、何かしらの強い言葉を仕切りに叫ぶような奴らの中には真面なことを言う人もいるかもしれないが、大抵はろくでもない輩でしかない。

 なぜなら、自分の弱さを隠すために、自分の弱さを否定しがたいがために、言っているだけに過ぎず、その人の普段の何気ない行動やピンチに陥った時の行動で、本性は簡単にバレてしまうし、行動面でバレるからだ。

 今までの過去からどのように自分の心情が変化しているとか、などのいろんな面で―…。

 ゆえに、人々にしっかりと意志の言葉を宿っている者の言葉は決して耳障りなことばかりを言わないし、しっかりと人々と話し合いながらも、一定の理解を示すものだ。伝え方が下手な人はいるであろうが、行動面でも不器用な人はいるであろうが、何をしているのかは意外にも理解される場合があるのだ。必死さというものを感じることができれば―…。

 だからこそ、ただ強気なことを言っているだけでなく、話術だけでなく、その人の本性を見るために、いろいろと偏りなくいろんな情報を調べ、日頃から学び、じっくりと考える習慣、理解しようとする習慣を身に付けることが絶対であるし、そこから間違うことがないと自身で思いながら、戒めることだ。

 さて、長という人間は、自分がミスをしないことはないと理解しているからこそ、自分を冷静に戒めることができるし、どのような選択が良いのかを完全に合理的で、何の欠陥も選ぶことができないわけではないが、時間内で納得できる選択をすることが多い。

 それが、最悪の結果を導く可能性の少ないものであることが多い。

 そういう慎重さが、今まで、略奪団が生き残る上で重要であったことは間違いない。

 ゆえに、礼奈の意図も見破った上で、敢えて言っているのだ。

 そして、礼奈の戦闘センスが天才の類のものであることを素直に認めながら―…。

 「だからこそ人である。だからこそ、俺でも勝てる可能性はしっかりとあるということだ。」

 長が動く。

 長も礼奈からの勝利を手に入れることを諦めてはいない。

 諦めることはよっぽどのことがなければないだろう。

 どんな天才であったとしても、人である以上、ミスをしない人間はいないし、そこを上手く気づき、つくことができれば、長は勝利ができる公算している。

 そのような計算ができる理由は、長の願望も入っていないわけではないが、礼奈がまだ子どもであることと、天成獣の宿っている武器の扱い方は上手いとは言っても、凍らせることで相手を倒そうとしていることであり、水の属性ならば、敵の体内の水を使った攻撃も十分に可能ではあるし、凍らすことをしたとしても、それを砕くようなことをしたって良いだろうに、そのようなことをしないことから考えると、甘ちゃんの類なのが分かる。

 だからこそ、その面をつくことができれば良い。

 それを長自身が言えることではないが、今回、礼奈が三人組の一人だと分かっている以上、殺さないという選択肢はない。

 ゆえに、動くし、降参も今のところはしない。

 一方で、礼奈の方は―…。

 (…………………………やるしかない。)

 心の中で僅かばかりだけど覚悟を決めるのだった。


 クローナの方では―…。

 周囲には砂煙と思われるものが発生している。

 これは、クローナがレグの攻撃を防ごうとして、風を用いたことによって、両者の放った技が衝突した結果だ。

 そして、クローナの方は無事に防ぐことに成功したのだろう。

 「ゴホッ、ゴホッ!!!」

 クローナは咳き込みながらも、周囲への警戒を怠らない。

 そのようなことをしてしまえば、自分をピンチの状態に招きかねないと理解しているからだ。

 そうであったとしても、油断しているわけではないにしても、このように戦いの中で咳き込むことは十分にあり得る。

 砂埃が舞っているのだから余計にそうであろう。

 (………………………これは防いだだけだから、敵は倒せてない。油断禁物。)

 クローナはそう思いながら、どうやって倒すのかを考える。

 次のレグの方の一手を気にしながら―…。

 一方で、レグの方は―…。

 (………………………………………………放つ技が相殺、相殺の連続―…………。こっちだって我慢比べだとは分かってるけど、ここまでで倒せないとなると結構きつい―…………………。戦うべき相手を間違えたか。)

 レグの心の中では、クローナと対決したことを半分だけだけど、後悔している。

 どうして後悔しているのか?

 それは、クローナが何度も何度もレグの技を防ぐようなことをしているからだ。

 それも、クローナにダメージを与えるような感じではなかったのである。

 だからこそ、このような後悔もありながら、その裏に焦りという感情を抱いており、それを必死に隠している感じなのだ。

 レグからしたら、焦りの感情はないと必死に思おうとしているが、それを誤魔化すことは不可能であろう。

 そして、レグは視線を目の前に向ける。

 そこには―…。

 砂煙が動くのが分かる。

 そして、その動きから、こちらへと向かっているのではないかと察する。軌道などをレグは無意識のうちに計算したのだろう。

 ゆえに、大斧を構え、防御の体勢をとる。

 そうこうしているうちに、砂煙の中から、クローナが姿を現わすのだった。

 クローナは、レグの次の一手を気にしながらも、こっちから仕掛けないといけないと思い、一回攻めようと判断するのだった。

 キーン。

 クローナの振るった武器の刃の部分とレグの斧の刃の部分が衝突する。

 クローナの方は、風を纏っており、すでに最初から攻撃の準備をしていたのではないかと思う人もいるかもしれないが、攻撃をすると決めたのはさっきの咄嗟のことであり、あまり準備はできていない以上、行き当たりばったりという誹りがあるのなら、それに対する反論するはできないであろう。

 だが、何が起こるかを完全に予測することができない以上、完全にこれはダメだと言える人はいない。

 チャレンジすることは大切な場合もあったりするのだ。

 そして、この攻撃はクローナの奇襲のようなものであったが―…。

 (………防がれたか。)

 クローナは心の中でこのように思う。

 それでも、悔しそうな顔をしていないのは、失敗してもおかしくはないと、感じているからであろう。

 成功すれば御の字。

 そういう気持ちを持ち合わせながら―…。

 それと同時に、クローナはレグから距離を取る。

 そのような選択をした理由は一旦、距離を取った上で、大きな技を放つのが正解だと認識しているようだ。

 レグはすでに―…。

 (こっちは準備完了だ。これを―…。)

 斧には、光がすでに覆われており、その覆われている量がどんどん輝きが増すようにして、増大しているのだ。

 その光に対して、クローナはしっかりと自身が着目してしまっていることに気づくし、そこから嫌な予感がしているのだから、当たり前のことだ。

 だからこそ、急いで、風を纏う量を多くするのだった。

 「白の水晶」で展開した防御テント(バリア)を破壊したのだから、「白の水晶」ばかりに頼ることはできない。だけど―…。

 (さあ、これを喰らえ!!!)

 そして、レグは大斧を上に振り上げ、そこからクローナに向かって行動移動するかのようにして振るう。

 「光斧速斬!!!」

 この一撃はレグが光の速さで大斧を振るい、光の斬撃をかなりの量で放つ技だ。

 その威力は、クローナが「白の水晶」で展開した防御テント(バリア)を破壊したものよりもはるかに上の威力を誇る。

 クローナの方もその威力がとんでもないものなのではないかというのを肌感覚で感じる。

 だからこそ―…。

 (両方に頼るしかない!!!)

 そして―…。


 イスドラークのスラム街。

 歩く二人の人物。

 その人物は誰かを探しているわけではないようだ。

 「なぜ、こんな場所に―…。」

 一人の女性の方が訪ねる。

 少女と言ってもおかしくはない。

 十代後半だと見た目から思わせる人物であり、首の方には鼠色……いや、銀色をしたマフラーで覆っており、明らかにこの暑い砂漠の中オアシスの都市では不似合いな感じの様相だ。

 それでも、この少女が気にすることはないし、スラムで襲われるようなことがあったとしても負けるようなことはない。

 「駄目か。俺からしたら、このイスドラークという街の縮図というのは、スラムにあるもんだ。闇の部分が―…。どんな統治体制を敷いたとしても、そこから取りこぼされる者はいる。その大小が為政者としての良し悪しを決めるものだ。そして、このスラムは大きい。つまり、ここの支配者はろくな為政者じゃないことがわかるだろ。それは俺たちからしたら困ったもんだ。商売をする上で、人々の生活が潤っているのは大事なことだし、俺たちも彼らの生活が良きものであることを祈るのだよ。それを忘れ、自分だけが得をしようとするように支配者がなってしまった場合、国も社会も、滅びの道へと真っすぐと進むだけだ。」

 もう一人は、四十代に入った頃合いの男性であり、剃られたであろう髭を擦りながら、少女の方に対して、何かしらを説くように言う。

 この人物からしたら、スラムというのは社会の縮図を知るためには良い場所なのだということを、理解している。

 それがどういったわけで理解しているのか、ここでは意味のないことなので省略する。

 この男性から見て、イスドラークのスラムを見る限り、イスドラークは良い統治されておらず、自分達の商売にとっては都合が悪いということだ。

 彼にとって、人々の生活が豊かであった方が、高級な品が売れるし、生活物資だけを売っているだけでは多くを稼ぐことができないので、困ったことになる。

 要は、自分も稼ぎたいがために、イスドラークの人々には豊かな生活を多くの人が送って欲しいと思っているわけだ。

 そのようなことを私欲だという人もいるだろうし、私欲の面があることを否定することはできない。

 しかし、自分だけではなく、人が栄えることを肯定しており、そのように本音から思っているのだ。

 その面は重要なことであり、自分が儲けることができれば、他者が貧しくなることを肯定するようなことはできないし、そのようなことになってしまえば、最後は自分自身の首を絞める結果となって、長期的な面では良いことにはならないのだ。

 そうだと思うと、欲の使い方もしっかりと考えないといけないし、気を付けないといけないことが分かる。

 「そんな高尚なことを言っても無駄。ここにいる人間には誰も分からないし、目の前のことで精一杯。」

 少女の言っていることに間違いはない。

 衣食住……特に食……が満たされるようなことがなければ、人は自らの生存を求めることに必死になり、後先を考えるようなことができなくなる。ゆえに、男性の言っていることを理解したとしても、無駄な言葉にしかならない。

 どんなに素晴らしいことを言ったとしても、それを達成するための環境がしっかりと提供しなければ意味はない。

 それを男は理解できないはずがない。

 「だろうな。だからこそ、俺はこの都市で革命が起こることを望む。たとえ、イスドラークの民が死ぬことになったとしても―…。」

 男の今の言葉は麻薬でしかなかった。

第155話-2 もっと不利になる? に続く。

誤字・脱字については、気づける範囲で修正もしくは加筆をしていくと思います。


少し展開が変わりますが、また、重要キャラクターが出てきましたぁ~。

ある程度、すでに設定も固まっているのですが、ネームと登場のさせ方が違うので、イスドラークでの話と上手く繋ぎ合わせられるように頑張っていきます。

キャラの名前も決まっていますよぉ~。

ということで、では―…。

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