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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
736/747

第154話-6 膠着する戦い

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 李章のいる場所。

 李章は見事に着地し、ダメージを減らすのだった。

 (……………………………………………………………………………。)

 李章は無言でありながらも、考える。

 ポンガルの方へと視線を外すようなことをしないようにしながら―…。

 ポンガルの方も、李章の視線に気づきながらも、何をしようとしているのか分からなかったことから、イラつきの感情を少しだけ見せる。

 そして、李章がなかなか倒せないので、そのイラつきの感情は少しばかり怒りに満ちたものになるのだった。

 「しつけぇ~な。テメェ~。」

 だけど、ポンガルに冷静さがなくなったかと言えば、そうではない。

 イラつきの感情を抱きながらも、自分が何をしないといけないのかは分かっており、敵を冷静に分析できるぐらいの余裕はある。

 だからこそ、李章の今の状態を理解するのだった。

 「蹴りを主体とするけど、蹴りで倒せるほど俺は甘くない。だから―…。」

 ポンガルが李章を攻めようとした時、ポンガルの第六感が警報を鳴らす。

 何の警報なのか?

 それをすぐに理解しろとは言えないが、明らかに李章の様子がおかしいのだ。

 苦しんでいるわけではなく、李章の目の前に光が発生し、そこから何かしらのものが展開されようとしているのだ。

 そのことから察するに、ポンガルは何かしらの秘策を出してくるのだろうと考えるのだった。

 ポンガルの戦闘は近距離がメインである以上、相手に近づいて、相手に攻撃を当てる方がダメージを大きくすることができる。

 だけど、距離を詰めてはいけないと言われているような感覚がするのだ。

 ポンガルからしたら、どういうことだ、ということになって、感情の揺れが発生する。

 動揺と言い換えても良いものが―…。

 ゆえに、ポンガルは確かめるように―…。

 「奥の手か―…。」

と、言う。

 その言葉は、ポンガル自身にとって良い結果を導き出すのか、最悪の結果を導き出すのか、どっちなのかという関心のもとであろう。その関心は、自らの生命の命運に直結するかもしれない以上、必要なことであることはしっかりと無意識のうちに理解する。

 ゆえに、不意に言葉が出る。そのような感じだ。

 「斬り殺しはしません。だけど―……、捕まって、目的を吐かせて、二度と襲えないようにします。」

 李章の今の言葉には、怒りの感情以上に、自らの目的のための意志がはっきりと分かるほどの感情が籠っている。

 理解できない人間は、あまりいないだろう。

 それだけ、強く、奥に秘めた思いを出しているのだ。

 まさに、軽くない意志の本音。

 ゆえに、相手にはこいつはヤバいと思わせることができる。

 軽い言葉に頷くようなものは、耳障りの良いことばかりを言っているだけであり、それに共感するような人間は、自分がかなり追いつめられており、何でも縋りたいという気持ちが出ているからこそなのだろう。

 だからこそ、少しだけ、呼吸を整え、冷静になって見る必要がある。考える必要がある。直感は正しいことがあるかもしれないが、決して、間違わないわけではない。

 ゆえに、落ち着いて考えるということは、気持ちの面では大事だし、そこから自分はどうしてそのような直感を抱いたのだろうかというのを探るのだし、そこから、本当にその直感が正しいのかを第三者に近い視点で見るための機会を得る。

 そのような機会は自らの気持ちに熱が帯びている時には必要なことであり、自らの間違った選択肢を選ぶという可能性を少しでも減らすためには重要なことなのだ。

 要は、人はこれをすれば正しいということが常に保障されているわけではないので、時には別の視点に立って考えることが必要だということを言いたい。

 別の視点というものが自らの可能性を拡げることがあるかもしれないし、新たな可能性を見つけることにより、視野というものを広くすることができる。その拡大した視野こそが、未来におけるある一地点において、自らを助けることは十分にあるし、その視点を他者と共有することによって、経験から共有される知識となり、社会における繁栄の見えない礎になることはある。

 人は何かしらの繁栄を目の前の直接的要因ばかり目を向けることが往々にしてあるが、それだけではなく、いろんな要因を深く考える必要があるし、目の前のことがまやかしである場合はあるので、そうではないことを確かめるためにも考えることは重要なのだ。

 人は考えることができるがゆえに、いろんなパターンを形成することが可能なのであろう。可能性を拡げることも―…。

 決まった反応ばかりでは、生き残ることはできなかったのかもしれない。これを証明する方法を持ち合わせていないが、複雑さ……パターンの多様さは生き残る上で必要なのかもしれない。

 さて、話を戻すと、李章の言葉に軽さがないのは、ぶっ飛んだことを言うのかもしれないが、奥にあるその人の経験が如実に表されているのである。

 意志の強さとは、完全にはそうではないだろうが、その人の人生経験によって得られた思いというものが宿るものである。

 軽い言葉で誰かを騙そうという人の言葉は誰かを騙すために心地よく感じさせるようなことを言うし、誰かを癒そうとする人はこれに似た作用があるだろうが、誰の気持ちを心地よくさせるが、冷静になったとしても不快感のないものとなる。

 一旦、冷静になって、不快感があるかどうかを考えるのも一つの手段であろうが、不快感は人それぞれどのように感じるか千差万別である以上、これだけを判断基準にするのは危険だ。人生を経験を積んで、しっかりと学習することが大事であることは、言うまでもないが、大切なことである。

 李章の言葉が軽い感じではなく、重い感じになったのをポンガルは感じとったのか、真剣な表情で聞いて―…。

 「そんなことをさせ―…。」

 ポンガルが言いかけたところで、李章は自らの武器である刀を展開し終え、一気に高速移動し、ポンガルに攻撃できる範囲より少し離れているが―…。

 李章は刀を横に振るう。

 ズン。

 「生刀(せいとう) 生飛斬撃(せいひざんげき)。」

 李章が刀を振るった場所からポンガルに向かって、斬撃は放たれるのだった。

 李章はポンガルを殺す目的でこの技を放ったのではない。

 ポンガルの実力から考えて、このぐらいの攻撃をすれば、ポンガルを倒せる判断したからだ。

 そして、「緑の水晶」が危機を鳴らしていないので、大丈夫だろうと判断して―…。

 一方で、ポンガルは―…。

 (近すぎる!!!)

 そう、近すぎるのだ。

 ポンガルが回避することができる時間から―…。

 ゆえに―…。

 ポンガルは、李章の「生刀 生飛斬撃」の攻撃を受けるのだった。

 受けるしかなかったとも言える。

 「ガァッ……。」

 それは、ポンガルを戦闘不能するぐらいの威力であった。

 ポンガルは意識を失い、地面に倒れるのだった。


 礼奈のいる場所。

 そこでは、さっきまで凍らされていて、それを破ったラーグラが礼奈と対峙していた。

 礼奈は驚きの感情はありながらも、冷静さを失うようなことはなかった。

 「…………………………………………………………。」

 礼奈は言葉を発することはなかった。

 言葉を発する時間があるのなら、相手の隙を探り、周囲を警戒することに時間を費やした方が良いと判断する。

 これを合理的であると判断することは簡単であろうが、人は完全に合理的であり、それ以上の方法はないと決めつけるようなことはできないし、そのような判断基準すら持ち合わせることは一切できないし、未来においてもそうであろう。

 それは人が思考するのに時間を消費しているからであり、始点と終点がある物事において存在する場合、その有効範囲が発生していることから、無限に考え続けられるようにもできず、無限の数かは分からないが、それに近いかもしれない方法をすべて考え、結論付けることもできない。

 要は、人はある決まった時間内―詳しくは言えば、人がある物事に対して制限時間内に結論を導き出さないといけない場合であり、その制限時間を意識的に知ることができるか知ることができないかはケースバイケースのことがある―に何かしらの結論を出すが、それは全てのことを検討したわけではなく、考えられる範囲で考えて結論を下しただけに過ぎず、合理的だと思っているのは、その範囲内で、検討できた部分の中で主観的に言っているだけで、本当の意味で合理的かどうかは分からないのであり、合理的でない場合だって往々にしてあるということだ。

 そのことを忘れて、自らが合理的な人間であると思うのは、ただ、自らの妄想を現実だと思っているだけに過ぎず、傍から見れば、ただの空想に取りつかれた頭のおかしい人でしかない。結局は、合理的だと言っている人間が周囲に合理的だからそのようにするように勧めることは、ただの押し付けでしかない場合もある。それが上手くいけば良いが、上手くいかない場合があったりするのだ。そして、なぜ彼らがそのような選択をしているのかを、もう少し、いろんな見地から考えることをお勧めする。

 人は愚かであり、かつ、賢いことも、真面なこともする生きものだ。

 だからこそ、生き残るにはそれなりの背景があることをしっかりと考えてから、物事は言うべきであろうし、自らの考えていることのデメリットをしっかりと考えるべきであろう。そのデメリットがどうすれば良いのかをしっかりと検討した上で、責任をもって―…。

 話を戻し、礼奈は、しっかりとラーグラの方へと視線を向けながらも、攻撃する素振りすら見せない。凍らせることはできるが、今回は、それを突破してくるのが多いので、相手側も対策してくるであろうから、別のパターンを試さないといけないと気づいているから、その思考もおこなっている。

 (冷静になるしかない。ぶっつけ本番、上等!!!)

 礼奈は覚悟を決めるのだった。

 そして、ラーグラはビビりながらも、それでも、礼奈に対する逆恨みがあるのか―…。

 「テメェ~が俺の行動を邪魔しているのか。確か、三人組の一人だな。お前を殺せば、姉ちゃんに良い土産になる。」

 ラーグラは言う。

 勝てるかどうかは分からなくても、礼奈を殺すことができれば、ラーグラにとって大きな成果になるのは間違いないことだ。

 それに、ラーグラからしたら、凍らされても破ることができると分かっているので、気持ちに少しだけ余裕が持てているからこそ、言えるのだろう。

 ラーグラは、自らが持っている天成獣の宿っている武器を完全に扱うことはできていないし、どういう力があるのかを知っているわけではない。天成獣に選ばれたからと言っても、まだまだ、という段階であり、多くの天成獣の宿っている武器を扱う者はそんな感じだ。

 そうである以上、ラーグラはサンバリアの中では一番弱くても、世界で比べれば、そこまで弱い方に分類することはできない。

 だけど、強くもないので、このような言葉を言って、良い場面ではないだろうが―…。心に少しだけ余裕があったとしても―…。

 ラーグラの今の言葉を聞いた礼奈は、冷静さと同時に、本気で倒さないといけないと思ったのか。

 「命を狙ってるってことは、サンバリアの関係者ということね。瑠璃の命を狙ったのだから、その理由、しっかりと吐いてもらう。」

 礼奈は威圧を放つ。

 それは意図的に放っているのではなく、無意識的に放つというような感じだ。

 礼奈からしたら、自分達の命を狙ってくるのだから、サンバリアと関係があるのではないかと思い、確信的にも似た感じで言う。

 礼奈からしたら、確定的なことであろう。

 一歩間違えれば、思い込みの類のものでしかなく、危険な結果を招き寄せない。

 だけど、今回、この場においてはそうはならないという感じであろう。

 それと同時に、このような発言は、控えるようにした方が良い。間違う危険性を考えれば―…。

 そして、礼奈の言葉は今回は合っているからこそ、ラーグラは少しだけ動揺を見せながら、舌打ちをするのだった。

 それでも、礼奈に気づかれていないと思いながら―…。

 「殺してやる!!!」

 ラーグラは弓に矢を番える。

 そのようにしていると―…。

 「面白くなってきたなぁ~。」

 声がするのだった。

 その声に、礼奈は自身の状況が悪い方向に転がったことを理解し、ラーグラは自分に有利な状況になったことを理解する。

 そう―…。

 凍らされた長が再度、自らを凍らせていた氷を撃破するのだった。


第154話-7 膠着する戦い に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で加筆もしくは修正していくと思います。


次回の投稿日は、2025年9月23日頃を予定しています。

では―…。

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