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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
734/747

第154話-4 膠着する戦い

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 「!!!」

 ソルは驚く。

 驚かないわけがない。

 しっかりと隙を狙ったし、気づかれていないと思っていた。

 ある程度近づくまでの間に、何も反応を示さなかったのに、急に振り向いてくるのだから、驚くなというのが無理な話であろう。

 ソルは、短剣を見ながらも、今のところ何もないことを理解しながら、考える。

 警戒をしっかりとしながら―…。

 (雷!!! 急にここに現れるなんて―……。考えられることは―…。)

 ソルは嫌な予感を感じていた。

 どうするのか?

 それを瞬時に考えないといけない。

 そういうことを理解してしまうほど、焦りというものはしっかりと出てくるものだ。

 そうである以上、理解しても実践が難しいという場面に遭遇し、自身を不利な状況にしてしまうことは往々にしてある。

 それがまさに、今だ。

 一方で、瑠璃の方は準備ができている。

 「征け。」

 その言葉とともに、雷の球体は瑠璃が倒すと定めた敵へと電流を流す。

 そう―…。

 「!!!」

 ソルへと―…。

 「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア。」

 叫ばざるにはおれなかった。

 それだけの威力なのだから―…。

 瑠璃としても、早めに決着をつけられるのなら、つけるに越したことはない。

 それに加えて、まだまだ、略奪団の人間で戦闘が可能なのはそれなりに残っているのだから―…。

 そうだと考えると、さっさと決着をつける方が良いし、天成獣から借りられる力の量に関しても、節約していかないといけない。

 次の戦闘で、大量消費する可能性が十分にあり得るからだ。

 瑠璃に、今、容赦という概念はないし、あったとしても頭の隅っこで大人しく、事態の推移を見守るだけの存在に座している。そうせざるをえない。

 一方で、雷の攻撃を受けているソルは、ダメージを受けながらも必死に耐える。

 それでも、瑠璃の方はさっきの相手以上の雷の威力にしており、その運に勝たなければソルは倒されるというだけなのだ。

 そして―…。

 瑠璃が距離を取る。

 ソルを倒せたのだろうと思った。

 だけど―…。

 シュウウウウウウウウウ、と音を立てながらも、ソルの方は耐えきったようだ。

 「ふう~。」

 だけど、ダメージが一切なかったわけではなかった。

 天成獣の宿っている武器をしっかりと扱うようなことができなければ、ソルは瀕死になっていたとしてもおかしくはなかったし、それほどの威力を瑠璃は放ったのだ。

 (…………何とかなった。こんな威力だと先行の一人が倒されてもおかしくはないな。天成獣の宿っている武器をしっかりと扱うことができなければ、修練を積むことができなければ、俺はここで簡単に敗北していたなぁ~。だが、こいつが危険であることははっきりした。厄介なんてレベルじゃない。)

 ソルであったとしても、相手の実力を計り間違うようなことはある。

 なぜなら、人は完璧にも完全にも物事を理解することができない存在であり、かつ、その判断方法を持ち合わせていないのだから―…。

 そうである以上、何かしらのミスをしないということを避けて通ることはできない。

 ソルのミスがここであったことに対して、驚くようなことはないし、そういうこともある。

 だけど、そのことが自分にとって最悪の結果の引き金になることは十分にあり得る。

 だからこそ、ミスをするタイミングというのも重要であったりするし、その判断が難しいからこそ、人は思い通りにならない結果になるのかもしれない。

 人は、ミスを避けられないからこそ、ミスをした時の可能性をしっかりと考えないといけないし、想定外のことが起こったとしても、おかしくないと認識しておかないといけない。

 人は自身が完璧だと思うことと、誰かを完璧な存在であり、完全に正しい存在であると認識することは間違い以外の何物でもないし、そのような思考に陥っていることに気づかないことは人として大きなミスをする前触れの可能性だって存在する。周囲を巻き込むようなことだってあるのだから―…。悪い方向に―…。

 ゆえに、人は、自らの無力さと同時に完璧ではないということを思うことを忘れてはいけないし、生きる上では、そう思いながらも、しっかりと何かしらの判断を完璧ではなくても、下さないといけないのだから―…。

 言葉足らずなのかもしれないが、そのことに関してはしっかりと深めていくしかない。これもまた、完璧な考えではないのだから―…。

 さて、話を戻し、ソルは、瑠璃の方をしっかりと警戒しながらも、相手の動向を窺うのだった。

 一方で、瑠璃の方は―…。

 (駄目だった。……だけど、倒せないと落ち込んじゃいけない。落ち込む暇があるのだったら、反省する暇があるのだったら、今をどうにかするしかない。)

 このように心の中で言いながら、兎に角、前を向いて、今の状況を好転させることに集中する。

 反省をしないのは良くないが、反省する時間がない場合は往々にしてある。

 その時、後に回さざるをえないかもしれないが、それでも、僅かでも反省ができる時間があるのなら、その反省をしっかりとすべきであろうし、いろんな情報を集めたり、いろんなことを学び、経験し、自分ができなかった可能性はどうすれば良いのかを考えることが大切である。

 実行することも勿論、重要であることに間違いはない。

 そんな考える中で悩むこともあろう。

 悩むことを悪いというふうに考える人はいるだろうが、悩むことは決して悪いことではないし、悩むことはその問題に対して、向き合っていることの証明でもあるから、悩んでいるのであれば、その問題に向き合えているということを理解して、気持ちを少しだけ楽にするのが良い。

 そうすれば、少しだけでもプラス思考になるであろうし、そのプラス思考が悩みを解決させてくれるヒントを提供してくるきっかけになるかもしれない。また、信頼できる他者に話すということによって、他者からの知識や経験を聞くということによって、僅かばかりではあるが、手に入れられることだってある。それを組み合わせるというのが大変であるが、それができた時は、少しばかりではあるが、成長しているかもしれないし、成長していると感じることはあるであろう。

 だからこそ、悩むことを悪いと思わないで欲しいし、悩んでいる暇がないのなら、悩むのを後回しにしても良い。

 だけど、いつかはしっかりと悩まないといけない。自らの問題に向き合うために―…。

 そして、瑠璃の方は悩んでいる暇がないほどの状況に陥っている。本人が以上のようなことに気づいているのか怪しいが、この状況で悩んで、さらに、不利にするようなことをお勧めするようなことはできない。

 自らの命を落とす結果となってしまっては、意味がないのだから―…。

 そうである以上、瑠璃の今の状況での選択肢は、仕方ないことである。正当化できるかというのはケースバイケースである以上、難しいことであろう。

 瑠璃の方も、ソルの動きに警戒するのだった。


 場所はかわって、礼奈のいる場所。

 長は自らの武器である大剣を構えながらも、周囲を警戒する。

 自身が一回、礼奈の攻撃によって凍らされたことを身をもって体験したからだ。

 礼奈の方も、長が氷を破ったということを理解し、どうすれば良いのか完全に理解できないというわけではない以上、自分が何をしないといけないのかを急に考えさせられる展開となった。

 礼奈は、自身の武器である槍を構える。

 槍での戦い方は一通り、サンバリアにいる時にやったことはあるが、ランシュが仕掛けたゲームではあんまり槍を使うことなく、敵を撃破してしまっている以上、実戦での経験はそこまでない。

 つまり、実戦での槍の戦い方に関しては、未熟であると言って良い。

 ゆえに、礼奈は気持ちとしては不安を感じながらも、やるしかないと自分自身に言い聞かせる。

 (やるしかない。)

 そして、槍に氷を纏わせる。

 すでに、次の攻撃の準備はしている。

 「凍れ―…。」

 今度は、さっきよりも大きな威力で―…。

 だけど―…。

 「一度受けた攻撃を受けるほど愚かじゃない。」

 長は大剣を地面に突き刺し、砂漠の砂を切り裂くような動作をする。

 その結果、砂が浮く。

 その砂が―…。

 「チッ!!!」

 礼奈の方が舌打ちをする。

 自分がどうやって相手を凍らせているのかというトリックを見破られたと感じたからだ。

 そして、砂が凍っている間に、長はさらに距離を取りながらも、礼奈が見えない場所にはいかないようにする。

 「そういうことか。地面を利用して、凍らせていたというわけか。視線をわざわざ地面に向けるような愚かな真似をしない。そこを突いたトリックというわけか。戦闘センスはピカイチだと言ってやろう。だが、見切られれば意味はない。」

 長の言っていることは本心だ。

 敵と戦っている者達が、敵から視線を逸らすようなことはしないし、敵の足元まで見ているようなことはあまりしない。

 ゆえに、その見落としている視点をついて、気づかれる段階ではもうすでに対処できないようにする。

 礼奈の戦いは基本的にこのようなものであるが、それと同時に、そのような基本的展開に落とし込めるようにしていく。

 単純だが、戦闘センスのいる戦い方をする。

 だけど、長も言っているように、長ほどの実力となると、トリックさえ理解すれば、それなり対処できてしまうものだ。

 なぜなら、戦闘経験があるからこそ、見落としていることに気づくし、それに加えて、いろんな戦いで相手の動きを見ている以上、そして、そこからいろいろと考えている以上、引き出しの多さと、経験の多さから、いろんな解決策を容易に見つけ出すことができるのだから―…。

 そうである以上、礼奈のやっていることへと長を陥らせるようなことはかなり難しくなる。

 だけど、そればかり礼奈の戦い方ではない―…。

 凍らせることがすべてではないと知っているし、最悪の場合、是が非でも自分のプライドに反する手を使うことに躊躇しない。

 「これだけが私の戦いのすべてじゃない。」

 礼奈は、槍を右から左に向かって振るい、そこから、五つの氷の小さな鏃のようなものが発生する。

 それは、長のいる方へと向かって発射される。

 礼奈はその攻撃を長には見えないぐらいの大きさの氷でするのだった。

 長の方は―…。

 大剣を構え、タイミングを見計らい―…。

 (……氷の矢だな。だが、そんなものは簡単に対処できる。)

 長は心の中で言いながら、自身に向かってくる氷の鏃をはたいて自身に当たらないようにするのだった。

 「意味はないな。」

 長は言う。

 だけど、礼奈からしたら、その言葉を言っている暇などない。

 「凍れ。」

 礼奈がそう言うと、長は凍らされるのだった。

 (基本的な手ではあるけど、それに落とし込めるための方法はいくらでも準備をしてる。だって、対処してくる相手は必ずいる。そこを怠ってはいけない。)

 礼奈から言わせれば、相手が自分と戦う時、何かしらの対策をしないということはあり得ない以上、自分の方からもある程度、考えておいて、しっかりと対処された時の対策を準備しないといけない。

 それが、戦いの中での動揺を抑えるためには必要なことなのだから―…。

 冷静さを失った者から負けるのだから―…。

 礼奈の中では若干の気の緩みというのは感じられるようだが、油断している状態ではない。

 相手は、一回ほど氷を破ってくるほどの実力者なのだから―…。

 (そして―…、さっきのよりも氷は厚めにしたから―…。)

 そういう面も怠らないのだった。

第154話-5 膠着する戦い に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で加筆もしくは修正していくと思います。


では―…。

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