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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
728/747

第153話-2 人を喰う兵器

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。

 話は戻って、クローナの方―…。

 そこでは、向かい合っているクローナとレグ。

 両者とも動きを見せてはいなかったが―…。

 (もう一度―…。)

 クローナはそう言うと、すぐに攻撃に移る。

 「はああああああああああああああああああああああああああああああああああ。」

 その言葉を言いながら、右手に持っている武器の一つを左側に振り、レグのいる方向へと風の攻撃を放つ。

 ブオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン。

 そのような音をさせながら―…。

 レグの方もその攻撃に気づき―…。

 (良い一撃だな。)

 そのように、クローナの攻撃を褒める。

 これはレグの本心であり、素晴らしい風の攻撃だということを理解する。

 だけど、それを簡単に喰らってあげるほど、お人好しというわけではない。

 なので、クローナの攻撃を喰らってあげる優しさはないし、それをそのままにしておく理由もない。

 ならば、やることは決まっている。

 レグは、自らの武器である斧を振り上げる。

 レグはただ、恐怖という感じをなくし、そして、これからの自身の攻撃で、クローナが放った風は完全に意味もなく相殺される、そのようなイメージを抱き―…。

 その間に、斧の方に天成獣から借りた力を流し、飛ぶ斬撃でも放つのではないかと思わせるような感じになる。

 そう、これは―…。

 両手で持った斧を上から下に振る。

 そこから、天成獣から借りた力であり、斧に覆った力がクローナの放った風の方に向かって放たれるのだった。

 「はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。」

 レグの方も叫ぶ。

 そして―…。

 ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!

 衝突する。

 凄まじい音をさせながら―…。


 礼奈のいる方―…。

 礼奈以外は全員が凍らされている。

 そのような結果になっている以上、礼奈の方が勝者になったのだと。

 そう判断としてもおかしくはないし、真面な判断であろうと評価されてもおかしくはない。

 この状況を見た第三者からすれば―…。

 だけど、そのようなことを簡単に許してくれるかは、未来のある一地点において分かることであるのは確かである。

 (……………何とか倒すことができた。だけど、この人数を運ぶのは無理だろうし、私が向こうへと戻って行くしかない。)

 礼奈からしたら、こんな大の大人を運ぶだけの力はない。

 まあ、天成獣の力を借りることができるのであれば、難しいことではないが、ここで今、無駄遣いするのは良くないと判断している。

 なぜなら、まだ敵を完全に倒しているわけではない以上、天成獣の力を無駄遣いするわけにはいかないからだ。

 そうである以上、兎に角、一時的な放置になることは避けられないが、仕方のないことだと割り切るのだった。

 だが―…。

 パリィー……………。

 ほんの小さな音ではあるけど、何か嫌な音がした。

 クローナは自身の体に違和感というのを感じなかった。

 そうであると判断すると、どういう状況になっているのかを理解するというか、範囲というものを絞ることは簡単になった。

 砂漠である以上、多様なものは少なく、考えられることが自分ではないとすると、相手の方である。

 パリィン。

 そのさっきよりも大きな音。

 その音を聞こえたので、凍らされた敵の方へと視線を向けると―…。

 長は凍らされたにもかかわらず、氷を破壊して、戦える状態に復帰してしまったのだ。

 礼奈には驚きにしか感じられなかった。

 長からしたら、そんなに難しいことではない。

 「女、お前の戦闘センスには脱帽してしまう。だが、ここは砂漠だ。氷なんて解けやすいものを攻撃手段として使っている時点で、俺らを、そして、この砂漠世界を舐めているとしか思えない。いくら戦闘に関するセンスがあったとしても、柔軟性を欠くようなことをしているのであれば、大成はしない。」

 長の言っていることはしっかりと一つの面で真実というのをついているのは確かだ。

 礼奈の方もその認識がないわけではない。

 だけど、あくまでも相手を殺す手段としての戦闘をしているわけではなく、相手を降伏させるように、礼奈には敵わないように思わせることに重点をおいているのだ。

 そうなってくると、どこかしらの甘さというものが出てくるのは避けることができないことである。

 そうであったとしても、礼奈は自分のプライドというか方針を変えるようなことはしないだろう。

 なぜなら、殺すことが目的なのであれば、最初から水を使って、敵の体内にある水を利用した方が得であるからだ。

 そのようにしないのも、殺人に対する恐れ、良くないことであるということを学校教育や社会のルールの中で教えられているからだ。

 その考えを間違っていると言う人はほとんどいないであろうが、それでも、こういう場では仕方ないと言う人もいるだろう。その選択が正しいこともないわけではないが、むやみやたらに人を殺すことを肯定するのは危険であるし、和解の可能性も十分にあり得るのだから、その可能を考慮に入れないようなことを簡単に判断できるのはよっぽどの場合であり、間違わない可能性を完全に排除するようなことはできない。

 悲しいことで現実的なことではあるが、そのような最悪の結果にならないようにするのが大事であるし、そうなってしまった場合、自分は失敗をしたと理解し、責任を取らなければならないということを理解し、素直にそれを実行しないといけない。

 それがなされたと判断するのは、味方ではない第三者であり、周囲の者達のある程度の自由な意思および抑圧されていない意思によってなされるようなことでなければならない。

 そして、礼奈は自分のプライドというものを人一倍頑固に持っているような存在であるが、それでも、ピンチになって戦略を変えずに、敗北するようなことはしない。

 センスだけでなく、状況をしっかりと見極めていきながら、しっかりとおこなう。

 その重要性をしっかりと理解しているのだから、味方の戦いを見ながら―…。

 「忠告…ありがとうございます。それでも、凍らせて勝利することに拘ります。」

 礼奈は長く言わないようにする。

 言葉を発することは、どういう言葉を言わないといけないのかを考えることとなるので、そのことに時間を割いている暇はないが、それでも、返事をしないわけにはいかないので、簡素な言葉で言えるようにするのであるが、少しだけ、簡素とは言えないような長さになってしまうのだった。

 礼奈からすれば、そのことに対する目的が達成できたと判断する暇はないので、今後の反省材料になるかもしれないが、それよりも、戦いに集中しないといけない。

 ゆえに、長の方へと視線を向ける。

 凍らされたのに破られてしまっている以上、何かしらの策を用いないといけないことは分かり切っている。

 冷静に、クールに、そのように無意識的にするようにする。

 そうすれば良いということを本能的に知っているからであろう。

 (……………こいつ―……、戦闘センスがかなりあるのは事実だが、ここで慌てたり意固地になるような態度を見せていない。頑固な一面があるにはあるが、状況によっては、戦略をはっきりと変えてくる可能性は十分にあるな。こういう奴の相手は危険としか言いようがないな。戦況次第だと、素早く降参するという選択も頭の中に入れておかないといけないなぁ~。厄介なのに目を付けられたなぁ~。)

と、長は心の中で悔しそうに言う。

 悔しさがあるのは確かだが、表情に出すようなことはしない。

 礼奈は焦るという感情を表に出すようなことをせず、そのような状況であったとしても、冷静に振舞っているのを見ると、長からしたら厄介な相手にぶつかってしまったという気持ちを抱くのだった。

 そのような気持ちになるのも不思議ではない。

 相手は、自らの弱点を指摘されたとしても、焦るような表情を見せるようなことをしなかったのだ。

 そんな相手は、精神面での実力はかなりのものであるし、戦闘の中で何が一番に自らのピンチを招くかと言えば、精神面での脆弱性が発揮されるような状態なのだ。

 人の実力は精神が要因によって左右されるものではないという人もいるかもしれないが、精神に左右されることは往々にしてあるし、精神力で乗り越えられる場合も存在するのだ。ただ、何でもかんでも精神で何とかなるという精神論のような精神が全てであるという考えに陥るのは危険なことでしかないし、精神がすべての物事を全能的に左右させるということはあり得ないのだから―…。

 物事の流れというものはいろんな要素が時に、その割合を変化させながら、成り立っている以上、一つのことがすべての物事の要因を決めるという判断は、物事を真の意味で見ているわけではない。そして、人は思考することに対して、時間を消費してしまう以上、どうしても思考できることには限度というものが存在し、物事に対する全ての要因を見ることができたという確認もしくは要因を見ることができないので、どうしてもどこかしらに見ることができなかったという面と、完全に見たということの判断を本当の意味で下すことはできない。

 そのせいで、物事を完全に把握することは無理ということになる。そのことによる恩恵も受けている。

 その恩恵は、永続的に思考をし続けることができるということと何度も何度も思考によって、結論を変化させることができるということである。

 そのことによって、自ら世界を知ろうとすることに対する終わりがないということを意味し、人は思考沼に陥ることができるし、いろんなことを知る機会を永遠に保障されるようなことにもなるであろう。世界で知ることができることの量が無限であるのか、無限に思えるほどの有限であるのかが分かっていない以上、知る機会を永遠に保障されるのかということを断定的に言うことはできず、かつ、生きている限りという規則があると、その人が知れる機会というものは有限的なものになるのは避けることができないであろう。

 さて、話が逸れそうになるので、戻すことにしよう。

 長は自らの後悔している気持ちを表に出すようなことはせずに、自分がどんな相手と戦っているのかを理解し、それでも、敗北しない可能性は消えたことを認識し、いろんな考えを頭の中に浮かべながら、タイミングを窺う。

 選択をミスすれば大変なことになる。

 それを理解しながら―…。

 「そうか。何かしらを究めた者というのは、何かしらの拘りというものがあるものだ。それは素晴らしいことだが、そのためにやられるような愚か者にはなりたくはない。」

 長にとって、何かしらを究めた者、特に職人の例なのであるが、彼らには何かしらの拘りというものがあり、その拘りにはかなり五月蠅いというものを知っている。

 それが、彼らに何かしらを究めるための成果を与えているのだろう。

 そう、長には思えたのだ。

 だけど、それと同時に、その拘りゆえに、新たな可能性へと挑戦しないような者もいるのだということを知っている。

 それは、結局、成功体験から抜け出せない。

 いや、新たな挑戦をして失敗した場合の何かしらのリスクを恐れているのだろう。そこには失うという言葉が似合うような感じの―…。

 折角、手に入れたものを失うというのは、かなりの痛みを伴うものであることを本能的に知っているからこそ、いや、経験的に知っているからこそ、恐れ、無くさないようにするのだ。その行動を間違っていると言うのは簡単なのであろうが、失うことに対する痛みから回復するのは簡単な場合もあるが、それとは真逆の場合だって勿論ある。そうだと考えると、簡単に間違っているという言うことはできない。

 だけど、何かしらの挑戦をしないといけないのも事実だし、自らに対する変化もまた重要になる。それは自らが生き延びていくため、人という存在が生き続けていくためには必要なことである。

 ゆえに、変化していくことの方向を見定めながらも、常にそれが正しいのか間違っているのか自問自答を繰り返しながら、悩みながら、失敗の可能性も考慮に入れながら、進んでいくしかない。

 それが人の歩む道の一つなのだから―…。いや、一つの性質というべきであろう。

 そして、長はしっかりと大剣を再度構え、すぐに、移動を開始する。

 自身が凍らされるようなことが二度とないようにするために、動くのだった。

 礼奈の方も―…。

 (こうも早く対策をしようとしてくる人がいるなんて―…。だけど、それだけでは意味がない。)

 礼奈はこういう相手がいることを想定していないわけではないので、驚くようなことはない。

 後は対策をするだけなのだ。

 それだけだ。


第153話-3 人を喰う兵器 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していくと思います。


では―…。

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