表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
727/748

第153話-1 人を喰う兵器

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 【第153話 人を喰う兵器】


 クローナは視線をレグの方へと向けながら、警戒する。

 (………………風裂が駄目だったかぁ~。あの斧の一振りは危険だね。だけど、動きが素早いようには見えなかった。そこだけがこっちにとっての良い点―…。)

 クローナは心の中でそう思いながらも、レグという人間が強いということだけは理解できた。

 それでも、倒せない相手ではないという認識はしっかりと抱くことはできていた。

 それが心の中における余裕をしっかりと生み出し、焦りが邪魔をするようなことは見事に防いでおり、傲慢はまだ、クローナの頭の中へ占めて邪魔をするようなことはまだしていない。様子を窺っているが―…。

 そんななか、クローナは他への警戒という面に関しては、少しだけ疎かにならざるを得なかった。

 それは―…。

 (…………………大分、数を減らされてしまったかぁ~。無暗に突っ込んで攻めるのは危険だねぇ~。そうなると、大人しく、相手の気づかない場所へと向かって、慎重に動いて攻撃しないといけないなぁ~。そ~と、そ~っと。)

 略奪団の一人の人物は心の中でそのように思いながら、クローナに気づかれないように移動する。

 クローナに気づかれれば、何かしらの攻撃を受けることになる可能性があるし、さらに、レグの足を引っ張るような展開になれば、どのような仕打ちを受けるのか分かったものではない。

 実際、レグは暴力的な人間に思われ気味であるが、そこまでの人物ではなく、ただ、馬鹿なことはしないでくれの軽いどつきのようなことをしてくる。

 それがシャレにならないのであるが、レグ本人は気づいていないのだが―…。

 指摘しづらいのが原因であるし、レグの筋骨隆々ぶりは迫力があり、話すのにも躊躇いの気持ちを抱かせてしまうのだ。

 レグ本人は気づいていないだろうが、見た目というのは周囲に良い印象を抱かせる場合もあれば、その逆もしっかりとあるし、それはどの場面で見た目を見せるかということによっても変化することであるので、時と場合というのは見た目においてかなりの重要要素を占めている。

 見た目が大事だと言われるようなことはあるが、見た目だけ良くしても結局、自身の中身が伴っていなければ、結局のところ、最初に抱いた良い印象が悪い印象へと変わり、周囲からの信頼を落とす結果となる。

 一方で、見た目は最初の入りとしては、途轍もなく強い力を発揮させるので、見た目に一切拘らないのはあまりお勧めできることでもない。印象が良いと、人からの好感度を得られる可能性を上げるし、良い縁を作る最初のきっかけにもなる。良い縁は幸運を引き寄せるためには必要なことであろう。

 ゆえに、見た目というものは大事であるが、そこばかりに囚われるようなことになってはいけない。扱いが難しいものである。

 さて、話を戻し、レグの方は、クローナへと視線を向けながらも、自分が何をしなければならないのかは十分に分かっている。

 (この変なドームみたいなのを解除させないといけないが、それは、この娘を倒さない限り、不可能であろうな。)

 レグは心の中で、自分がしなければならないことを理解しており、さらに、クローナを倒すための方法が何であるかを考え始める。その間にも、幹部ではない略奪団の者がクローナの隙を狙っているのに気づくが、クローナに気づかせないように、少しだけ視線をずらすようなことをするのみにして、クローナの方へと視線の方を集中させる。

 レグも戦闘経験はしっかりと持っている以上、今、してはいけないことを直感的ではあるが、できるようになっているのだ。

 幹部の一人として、自らの実力をパワーだけで示せばよいというのは、あまりにも愚かであることを知っているからこそ、他の面にもしっかりと自分の力があるのかということに目を向けた結果なのであろう。

 そして、レグとクローナが対峙している間に、略奪団の中でクローナに倒された者達以外の、防御テント(バリア)の中にいる者達が、少しずつではあるが、クローナに気づかれないようにしながら、動く。

 クローナはいまだに、レグの方へと視線を向けている。

 ゆえに、略奪団の一員達からは、気づかれていないのではないかという気持ちを抱かせるには十分であった。

 (大丈夫、気づかれていないようだ。油断せず、じっくりと―…。)

 心の中で思いながら、略奪団の一員のある者は慎重に、慎重に動く。

 足音や手の音などをたてないようにしながら―…。

 一歩、一歩、と―…。

 そのようにしながら、クローナに気づかれていないかを確かめる。

 慎重を要するし、さらに、集中力を要することから、精神的な消耗はかなりのものであり、戦闘の中の緊張感というものがその消耗をさらに促していく。

 そうであったとしても、簡単に攻めるようなことばかりでは、略奪団は簡単に壊滅するだけの運命を迎えるだけしかないが、そうなっていないのは、こういう慎重に行動をする者達がいるからだ。

 そして―…。

 このようにしておけば、確実に、クローナの方に近づくことができる。

 (……ここからなら―…。)

 そう思えば、一直線に、クローナを始末するために行動するのみ!!!

 そして―…。

 (獲物ゲット!!!)

 心の中で、自らの勝利を確信する。

 そのことに、気づかないクローナではない。

 すでにやるべきことは決まっている。

 風はすでに武器に纏わせることができている。

 両手を広げ、武器を持ちながら、一回転するだけ。

 そうすれば、周囲に向けて、風の攻撃が全方位に放たれるのだ。

 近づきすぎた者達からしてみれば―…。

 「!!!」

 驚くしかない。

 だけど、そんな時間なんて本来は存在するはずもない。

 あるのは、ほんの僅かな時間で、クローナの攻撃から自身の身を守らないといけない、そのことだけだ。

 時間はほんの少し。

 思考することによって、時間を消費するようなことが現実に存在すれば、ほんの少ししか思考することはできない。

 人は生まれ、命をいずれは落とすという宿命にある以上、思考をするという行為を無限にすることはできない存在であるし、時間が区切られている以上、思考に時間を消費している以上、限られた思考の結果の中から素早く選択し、完全だとは証明されていないものを使って、偶然の要素も絡まり合いながら、自らにとって良い結果を実現させないといけない。

 それがどういうことかと言えば、人生の中での選択にはギャンブルの要素を完全に排除することはできないし、完全に安全と言える選択肢など存在はしないということだ。そもそも、それを証明することができないのだから―…。

 そうである以上、失敗は常に自らの近くに存在しており、それに当たらないようにすることは可能性を減らすことはできても、完全にはできないので、覚悟はどんな時でも必要にはなろう。

 後悔をしないというのは、結局は、自らが失敗する可能性を受け入れることに等しいのかもしれない。

 そして、クローナの隙を突こうとして、慎重に攻撃をしてきた者達は―…。

 自らの考えを纏めることもできずに、タイムオーバーをするのだった。

 それが何を意味するのか。

 答えは―…。

 「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア。」

 「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア。」

 に、代表されるような攻撃を受けるという結末に辿り着くのだった。

 人は失敗から完全に逃れるようなことはできないし、完全に安全な場所に辿り着くこともできない。

 何かしらの危険と隣り合わせになっており、その中で、運も加わった上で、上手く生きることしかできず、それは一蓮托生のようなものとなってしまっているのだ。

 悲しきかな。

 永遠の安寧など、この世になく、この世の永遠の安寧を保障してくれる楽園などは、永遠という面で存在はしない。

 ゆえに、我々、危険の中で、思考をし続け、選択をし続け、成功と失敗という両面と上手く付き合っていくしかない。

 それが我々、人における人生の宿命なのだ。

 向き合うしかないし、付き合っていくしかない。

 そして、クローナの風の攻撃を受けてしまった者達は、防御テント(バリア)の方へと衝突していくこととなり、簡単に戦闘不能へとなっていくのだった。

 その様子をレグは見ながらも、決して、助けるような真似はしなかった。

 今、この場で、味方を助けるということは、自分を危険な目に遭わせるのと同じであり、相手にチャンスを与えるだけでしかないのだ。

 そうだとすると、レグが動かないという選択肢を安易な正義論から批判するのは、ただの自らの正義に酔っているだけの存在でしかない。

 なぜなら、この場でクローナを倒すことができ、三人組を始末して、キャラバンから略奪することが容易な段階になれば、クローナに倒された者に対して、安全に回復させることが可能になるのだ。そういうことを頭の中に入れておかないと、安易な正義論の行動のせいで、自分だけでなく、味方すらも危険な目に遭わせる結果となり、最悪の場合、味方を全滅させる結果になることだってある。

 そのことを理解した上で、安易な正義論を唱えるのであれば、それは安易なものにはならないであろうが、軽い気持ちで正義論を唱えることしか頭にないものは、その言葉と責任の重みから結果として逃げ出すしかなく、それは、迷惑なものでしかない。

 安易な言葉だけを言って、そのことに酔いしれるだけの人間にはなるな。重みを知った上で軽くなるのなら、そいつにはそいつなりの覚悟があろうが、それすら、持てない存在は結局、善人の言葉はアクセサリーをつけて、自分を良く見せたいだけのものであり、似合っていないのを無理矢理に似合うようにしているだけの愚かな存在でしかない。

 残念だが、そういう人間は中身をしっかりと作るべきだと思う。まずは―…。

 さて、話が逸れてしまったので、戻すことにする。

 レグは自分が今、何をしないといけないのか。

 味方を救うためには、クローナを倒す方法が手っ取り早いし、味方を回復させるような手段を持ち合わせていない以上、自分の選択肢が限られることを知っている。

 そして、レグは怒りの感情は頭の思考によってヒートアップするかのように熱くなのであるが、それでも、最後の心の中にある氷のような冷静さを失わないようにしながら、クローナの方を見ながら、タイミングを窺う。

 熱くて、冷静沈着。

 この二律背反しているものを上手く同居させながら、自らのパフォーマンスを最大化させていく。限度はあるが、その限度は越えることができる。だけど、簡単なことではないのは確かだ。

 ゆえに、動くようなことを今はしない。

 クローナの方も、レグが強いのは分かっているので、迂闊に攻撃するようなことはしない。

 「風裂」も簡単に破るほどなのだから―…。

 (……これで、あの娘と戦えるのは、俺のみか―…。他の幹部はそれぞれ別の相手にかかりきりになっているだろうし―…。)

 レグはそのように思いながら、クローナを見ながら、お互いにタイミングを図るのだった。

 強者の戦いというものであろうか。

 そう思わせるには十分だ。


 一方、礼奈のいる方では―…。

 長が大剣を構えながら、礼奈の方へと視線を向ける。

 (…………凍らされることには気をつけないとな。感覚を奪われるようなことがあれば注意だな―…。)

 長は凍らされるという感覚を知っているわけではないが、冷たいという感覚なら知っている。

 この寒さを知らないような土地柄であったとしても、氷を作るような技術は存在しないにしても、遠い国から氷が船で運ばれるようなことがあり、そこで、氷に触れる機会があったのだ。その時に冷たいという感覚が何であるかを知ることはできている。

 そのため、感覚を失うような感覚があれば、危険であると理解するのだった。

 氷を扱う相手への戦いの経験はないが、似たような例から推測を入れながら考えることは、長にとっては難しいことではない。

 それが正解かどうかは分からなくても、目印のようなものをしっかりと付けることはできる。

 そうである以上、調べる範囲を最初から膨大だと感じ、気力を落とすようなことをしなくて済ませることができた。

 そういう意味では、上手く対応できているとも言えるのだが―…。

 一方の礼奈は、すでに攻撃の準備を開始しており、実行に移していた。

 「凍れ!!!」

 そう言うと、長は氷漬けにされるのだった。


第153話-2 人を喰う兵器 に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していくと思います。


本編はこのような砂漠の中での戦いを進めながら、サンバリアに関しても少しばかり動きがあります。

では―…。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ