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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
723/746

第152話-1 分断される

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 李章は、真面に受けてしまった。

 体にかなりのダメージが入るのだが、それでも、致命傷にならないようにする。

 ポンガルの一撃がかなり強さを持っていることを、身をもって体験しているのだから―…。

 「グッ!!!」

と、李章は堪える。

 だけど、そんな堪えるという行為もそう長くは続くことはなかった。

 そう、後ろへと吹っ飛ばされるのだった。

 (………俺の一撃はかなりのもの。真面に防ごうと考えるのは愚かなことでしかない。馬鹿な真似だな。)

と、ポンガルは心の中で言う。

 ポンガルからしてみれば、李章の今の、ポンガルの攻撃を真面に腕をクロスして、胸部を守ろうとする体勢で防ごうとするのは、さっきの攻撃での体験から何も学習していない愚か者の選択のようにしか思えなかった。

 ゆえに、ポンガルは他の狙いだと思われる方へと視線を向けようとしたのだ。

 そう、それを油断と言う言葉に該当するものであるかのようにして―…。

 李章は、すぐに、体勢を立て直し、そこから、ほとんどのラグを発生させることなく、ポンガルを攻撃するために向かう。

 李章からしたら、ポンガルを倒すための策というものが頭にないわけではない。

 刀をどこで展開するか。

 それだけなのだ。

 そして、すぐに攻める!!!

 「!!!」

 (もう体勢を整えて、攻めて来ているのか!!! チッ!!! 失敗し(しくじっ)た!!!)

 ポンガルは自身が油断したことを認める。

 ポンガルからしたら、李章がすぐに攻撃態勢から攻撃へと向かうことを予想することができなかった。

 それはポンガルのミスであり、そのようなミスは誰にでも起こりうることであるし、そのミスをしないと言っている人間は、ミスをしないと思い込みたいだけか、ミスをしないために最大限慎重に冷静に、時間という制限がある中でしっかりと考えながら判断している人間である。

 前者のミスをしないと思い込みたい人間は、結局、自分がミスをしないという思い込みを抱き、自分から何かしら普段から対策をとったり、学んだりするような輩ではなく、他者に対して傲慢な態度を心の中や外面において、抱いているだけの存在でしかない。そういう人間は、結局、何も成長することのない愚かな存在でしかなく、最終的には周囲に不幸を起こし、巻き込むだけの哀れな人に成り下がるだけの存在だ。

 一方で、後者の方に関しては、自らがミスする可能性をしっかりと自認している者が多いだろうし、時間という制約があり、完全にミスをしないというわけではないが、日頃からいろんな可能性をできる限り考慮していることから、危険な選択に気づける可能性は高く、ミスを往々にして犯すことは少ない。安全な選択肢ばかりをする欠点はあるかもしれないが、決して、人を不幸にする可能性の低い存在であろう。

 すべてがすべて、このようなことに当て嵌まるとは限らないし、複合的な要素があるかもしれない。その点については、複雑化していく、要は選択肢数の増加が発生することにより、時間を消費して思考する人間という存在にとって、思考の整理にはかなりの時間および精査を要することになり、簡単に結論を下すことはできないであろう。

 複雑化していくというのは、数の増加による、選択の場合が増加にするようなことに対して、使われる言葉なのであるから―…。

 さて、話を戻し、ポンガルは自身のミスを認めながらも、何も対策をとれないというわけではない。

 (だけど、何もできないわけじゃねぇ!!!)

と、ポンガルは心の中で言いながら―…。

 一方で、李章はすでに、ポンガルに攻撃をすることができる範囲内に入っており、すぐに、右足で蹴りを入れる段階に入っていた。

 そして、迷わず蹴りの攻撃をする。

 ドォン!!!

 そのような音がしてもおかしくないほどに―…。

 李章は暫くの間、ポンガルの方へと視線を向けながら―…。

 (……………効き目なし……ですか…………………………………………。)

と、李章は心の中で言う。

 さらに、李章は、自身の今の攻撃がポンガルに一切、効いていないどころか、何かに触れており、それが危険であることを十分に理解することができる。

 李章が右足から感じるのは、自身の右足が握りつぶされるのではないかと思えるものだ。

 それでも、李章に焦りの感情はない。

 すでに、右足の蹴りの攻撃に効果がなかった時のことは考えている。

 一方、ポンガルは―…。

 「残念だったなぁ~。」

と、言う。

 ポンガルにとって、間一髪で、李章の攻撃を防ぐことに成功するのだった。

 それがどういう意味を示すのか。

 それは、ポンガル自身にしか分からないことであろうが、焦りというものはほとんどポンガルにはなかった。

 やるべきことは決まっている。

 「お前の右足を―…。」

と、ポンガルが言っている間に―…。

 李章は素早くポンガルから距離を取り、右足をポンガルの右腕から離す。

 その時に、ポンガルの方を後ろへと下がらせるために―…。

 「グッ!!!」

 ポンガルは声を出してしまう。

 さらに、後ろへとほんの少しであるが、一、二歩といった感じであるが、下がるのだった。

 そして、自身はどんな攻撃をされたのかを理解する。

 (あいつ―…、右足に天成獣から借りた力を利用して上手く距離を取ろうしたのか。そのことにより、俺の右腕にダメージを与えることを考えたってことか。だが―…。)

と、ポンガルは心の中で思う。

 ポンガルからしたら、この程度はダメージのうちに入らないと言いたいのだろう。

 ポンガルも戦闘経験がある以上、自分の戦闘スタイルから、何度も右手にダメージを受けるようなことはあった。

 だからこそ、日頃から天成獣から力を借りるということを怠るようなことはしないようにしている。それが自身の身を守り、自身に勝利をもたらすものとして必要であると自覚しているのだから―…。

 そうである以上、ポンガルは李章が自身を一歩も二歩も後ろへと下がらせたことに対して、危機感に近い感情を抱くのだった。

 そう、後ろへと下がらされたことは、略奪団のボスや幹部以外では初めてなのだ。

 そうであるからこそ、ポンガルは李章を警戒するレベルを一気に上げるのだった。

 一方で、李章は、後ろへと引きながら、バク転をして、立つ体勢へと持っていくのだった。

 そして、次の攻撃は決まっている―…。

 刀で―…。


 【第152話 分断される】


 李章とポンガルが戦いになっている間に、どこかへと向かった礼奈以外は、全員、略奪団の一員を相手することになる。

 「弱い奴を狙え――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

と、略奪団の幹部の一人が言う。

 ソルの近くにいる人であり、少しだけ中年に差し掛かっている男性で、顎鬚を生やすことを趣味としている感じだ。

 略奪団の者達は、それぞれが弱いと判断した者の方へと向かう。

 その標的の中で、一番に狙われたのが―…。

 「?」

 疑問な表情をしているクローナであった。

 「あいつを殺せぇ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」

 略奪団の一人の言葉に、多くの者がクローナの方へと向かう。

 そのスピードは、獲物に群がるハイエナのごとく。

 狙われる対象になったことに対してクローナは、驚くしかなかった。

 表情がすでにそのような感じになってしまっており、簡単に思考することができない―…。

 わけではない。

 「白の水晶(すいしょう)。」

と、クローナが言うと―…。

 「!!!」

 「!!!」

 「何だ!!!」

 「どうなっていやがる!!!」

 今度は、クローナではなく、クローナを襲おうとした略奪団の者達が、クローナの発動した「白の水晶」の効果により、防御テント(バリア)の中に閉じ込められたのだ。クローナとともに―…。

 このバリアは、ドームのような形をしており、半径数十メートルの長さを持つ、大きなものである。

 そして、このようなバリアに閉じ込められるような経験のない略奪団の者達にとっては、自身の身に何が起こったのか理解することができないほど、途方に暮れてもおかしくはないものであった。

 だけど、そのようなことを許してくれる時間など存在はしない。

 「閉じ込められたというか!!!」

 「じゃあ―…。」

 と、いろいろと声がしているようだが、そんな声を出すことに一体、何の意味があるのだろうか?

 そのことによって、事態が簡単に解決されるようなことがあるのであれば良いのだが、そうではない。

 「ということで―…。」

 クローナは言いながら、自身の武器に風を纏わせ―…。

 それをクロスされる軌道で両腕を移動させ、風の一撃を放つ!!!

 「風切り!!!」

 その風の攻撃により、「白の水晶」のバリアの中に閉じ込められた略奪団の者達が吹き飛ばされていき―…。

 「ダアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 「ウワアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」

 という声を出し、バリアの壁に衝突していく。

 その数、数十。

 数えるのも面倒になるぐらいであり、それだけ、クローナの「風切り」の威力が強かったということだ。

 バリアにぶつかり、気絶していくものが多くなる。

 そうである以上、戦闘可能な略奪団の一員の数は減っていく。

 (ふう~、こんなに私を狙わなくても、ミランさんの方を狙った方が得なのに―…。こっちには―…。)

と、クローナは心の中で言う。

 どうしてそのようなことを言っているのか。

 日頃から、自分が馬鹿なことをして、怒られるので、それに対するほのかな反抗と表現しても良いかもしれない。

 第三者から見れば、クローナの方が悪いの決まりきったことであり、クローナがミランへ向ける恨みは逆恨みの類でしかない。

 ゆえに、クローナの言っていることが自分勝手なものであることが分かるであろう。

 そんなことをクローナは言いながらも、自身が警戒を怠るようなことはしなかった。

 できるはずもない。

 いくら多くの敵を倒したとしても、倒れていないのがいるのだから―…。

 「はあ~、随分と良い一撃だなぁ~。略奪団の幹部が一人―…、レグ様には効かなかったがなぁ~。」

と、一人の人物の声がする。

 その人物は、「白の水晶」で展開されたバリアの中にいながら、クローナの攻撃を受けることもなく、倒れた味方の人間を見ながらも、悲しみの表情を浮かべることもなく、目の前にいる敵の強さにビビることもなく、ただただ、戦いを心の底から楽しむかのようにして、突っ立っているのだ。

 そして、このレグと言われる人物は、右手に大きな自らの身長と同じくらいの斧を一つ持っているのだった。先端の左右に相手を切ることができるかのような斧を―…。

 レグは、長身で、筋骨隆々の如何にもマッチョマンと言ってもおかしくない中年の男性であった。

 (マジ…………。それにあの大きな斧。もう一回攻撃してみるか。)

 クローナはこのように心の中で言いながら、すぐに、右手に持っている武器で横に腕を振りながら、一撃をレグに向かって放つ。

 「風裂(ふうれつ)。」

 この攻撃は、風の斬撃による攻撃であり、さっきの「風切り」よりも威力が少しだけ強めのものである。

 その攻撃で駄目になるとはクローナには思えなかった。

 たとえ、斧を武器だとしても、天成獣の宿っている武器を扱っているようなことではない限り、無理であろう。防ぐことは―…。

 「その程度の攻撃か―…。一振りで十分。」

 レグはそのように言うと、すぐに、斧に天成獣から借りられる力を用いて覆い、クローナの「風裂」の斬撃が自身の攻撃できる範囲へとやってくるタイミングを図り、その範囲内に入ると―…。

 (そこだ!!!)

 斧を一振り。

 その右手だけで持ちながら、横に一振り。

 その一振りで、「風裂」は消える。

 クローナにとっては驚きでしかないと同時に―…。

 (あれは、天成獣から借りてくる力のそれ―…。ということは、この人―…、天成獣の宿っている武器を扱うってこと。分断されたのはマズイかなぁ~。)

と。

 クローナからしたら、略奪団の中に天成獣の宿っている武器を扱う者がいるのは予想できないわけではないが、複数いるのかは分からなかった以上、どうしても、複数、自分達の数以上いるのなら、こっちの方が不利になる可能性は十分にあるのだ。

 そうだとすると、分断されているような状態になっているのはあまり良い傾向だとは言えない。サポートもできなくなるのだから―…。

 そして、クローナは、レグが天成獣の宿っている武器を扱うことができると判断すると、すぐに、そっちの方へと視線を向ける。この相手に手加減するのは危険なことでしかないのを理解するのだった。


第152話-2 分断される に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していくと思います。


では―…。

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