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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
716/746

第149話-4 六人を倒すことに成功するが―…

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 「気づかれるとはな。」

と、ポンガルは言う。

 気づかれる可能性を考慮に入れているけど、そのように言わないといけない。

 相手に気づかれるはずはなかったというのを、相手側に思わせるために―…。

 そうするのは、相手に自分達の認識に対する齟齬を起こさせ、自分達の実力を把握されないように、少しでもするためであり、そのような可能性はかなり少ないものであるという認識をしているのであるが―…、しないよりかはマシであろうと思っているからだ。

 「気づかないとでも思ったの。あなた以外にも一人いるようだけど、そっちは、クローナと瑠璃に任せることにするわ。あんた、さっき礼奈が凍らせた奴らよりも強いわねぇ~。」

と、ミランは言う。

 ミランからしてみれば、ポンガルから発せられるのは強者に近いオーラ、それである。

 そうである以上、ミランもしっかりと警戒しないといけない。

 実力者だと思っても、分類されても、過言ではないのだから、ポンガルは―…。

 ゆえに、言葉を余計に多く発しているが、最悪の情報を渡す気はない。

 そして、ポンガルの方も自分達の情報を開示する気はない。

 情報は、時として、大きな武器になることを知っているからだ。

 敵に利する情報だと自分自身が判断している情報に関して、それを瞬時に判断しながら、話さないようにするのは大変だけど、今は、それを大変だと言っているいられる状態ではないし、情報という武器はここぞってタイミングで使うのが最も良い効果を発揮するのだから―…。

 そして、ポンガルは今のミランの言っている言葉から、情報を瞬時に整理する。

 得られる情報には限りというものが存在するであろうが、それでも、想像力によって正解かどうか、正確かどうかは分からないが、ある程度の状況を理解すること、全ての部分で合っているわけではないが、全ての部分で合っていないということはない、ということができる。

 要は、ある程度のことが今のミランの言葉からポンガルが相手のことを知れるということである。

 「俺の強さを見破るのは構わないが、もう、俺の出番かよぉ~、ぐらいには思えるのだが―…。まあ、まだ、こっちはほんの少ししか見せていないのだが―…。そして、ここで少しだけ時間稼ぎをした結果―…。導入することができるのだけど―…。やっぱり、最高だぜ―…。」

 (長。)

 長のことは絶対に言わない。

 ポンガルとしては、自分達の一番上の人間の名前を出すのはアホな奴のすることであり、自分は決してそのようなことをしない。

 なぜなら、敵に情報を渡さないようにするためであるし、よっぽどのことでない限り、そんなことはしない。

 そして、今はよっぽどの状態ではない以上、自分達の勝ちの可能性の方を信じる。

 それだけだ。

 ポンガルとの僅かな会話の中で、ポンガルは自身にとって好機が近づいてきているのを知る。

 二人は凍らされるような結果になったのだが、それでも、完全に自分達が不利になったとは思えない。

 有利になったと思えたとしても―…。

 「俺らは幸運だ。」

と、ポンガルは言うのだった。

 自らの幸運に心の中で感謝の思いを抱きながら―…。


 一方、李章の方は―…。

 「!!!」

 李章は、相手からの攻撃を防ぐ。

 左足で蹴りをする動作をしながら―…。

 ゆえに、李章と戦っている人物の方が驚く。

 驚かずにはいられない。

 李章に気づかれないように攻撃をしていたはずなのに、李章はしっかりと気づき対処していたのだから―…。

 そして、李章の方からしてみれば、さっきの敵の動きを見破ることなんて造作もないことである。

 そんな李章においても、迂闊に行動できないということははっきりと分かっている。

 なぜなら―…。

 「本当に、数にして六人だけど、それ以外にもまだ、誰かがこちらの方に向かっているんですが、どういうことでしょうか? ラナトールの商店の人が言っていた、ラナトールからイスドラークの砂漠に現れる略奪団の方でしょうか?」

と、疑問形のように言っているが、ある程度は事実であろうということに気づいているという感じだ。

 李章からすれば―…。

 「緑の水晶」と、さらに、ラナトールで砂漠越えのための商品を揃えている際に、店の人との会話になった時に、言っていたことを思い出し、それを照合すれば、己ずと、そのような結論を導き出すことができる。

 これが本当の意味で正しい答えかどうかは、李章が本当の意味で判断することができないし、それを知っているのはその略奪団側の人間であろう。

 そうである以上、李章が今、言っていることは推測から抜け出すことはできない。そんな感じだ。

 相手からの言葉から推測するという状態からも抜け出すことはできない。

 結局、限られた情報の中から判断を下すことから逃れることもできないということになる。

 そして、李章の言葉を聞きながらも、すぐに攻撃をしなかったことは、ちゃんと理由があるからだ。

 まず、李章の今、言っていることが嘘だとは思えないということが分かっていることと、李章の言っている言葉に味方がこちらへと向かって来ているというのだ。

 なら、時間を稼ぐかのように見せかけず、そのような結果になってくれるのであれば、しっかりとそのように振舞うのは当然のことである。

 自分達にとって有利になることを放棄するのは、愚か者のすることでしかないのだから―…。

 「そのことは、仮に俺が略奪団の一員であったとしても言う気はないな!!!」

と、言いながら、李章から距離を取る。

 そして、その時に少しだけ力を入れ、李章が少しだけ後ろに下がることを計算しながらの攻撃であった以上、李章はすぐに次の攻撃に移行することは難しいだろうという本能的で、経験的な類のものを無意識のうちに使う。

 それだけ戦闘慣れしているのは確かだ。

 そうである以上、自分が不利になる状況だって、それなりに知っているのであり、すべての状況がどういうものであるのかを知っているわけではない、そういうことだ。

 そして、今の敵の言っていることは、李章にある答えを抱かせるには十分だ。確信に近い解答というものを抱かせるのに―…。

 (つまり、襲ってきているのは略奪団。なら、狙いはキャラバンの商品。ならば、私たちの守るべき仕事内容と合います。)

と、李章は心の中で思いながら、倒すべき敵であり、手を抜く必要はないと判断する。

 そして、李章は、今度は素早く決着をつけようとして動く。

 そこに―…。

 (気づいていない。)

 ミランと礼奈のいる場所を越えて、キャラバンの中に向かっている略奪団の一員で、体術を得意とする人間であり、最初に、女、子どもを狙うのは定石だと理解しながらも、力量的に、一人を相手にしていて、弱っているのではないかと判断して、李章の方へと狙いを定めたのだ。

 そして、地面に右手をつけ、そこからバク転するようにしながら、李章に対して、攻撃する。

 その動きに李章は―…。

 「ガァッ!!!」

 李章の右肩に、バク転した時に右足がしっかりと当たる。

 それは重力に加え、回転の威力が付け加わり、李章に大きなダメージがそのまま受ければ、いってしまう。

 李章は声を出し、ダメージを受けている様子を見せる。

 (決まった!!!)

 李章に一撃を与えた者からしてみれば、今、李章は大きなダメージを受けたという認識を抱くには十分だ。

 それだけの威力があるのだから―…。

 そして、李章は自身から見た右側の方へと倒れるのだった。

 李章は倒れそうにしている間に、攻撃した敵の方は李章を倒したと判断して、瑠璃やクローナのいる方へと移動しようとする。

 「李章君!!!」

と、瑠璃は叫ぶ。

 李章があまりにも簡単に倒されるようなことになっているのだから、心配になって叫ばざるを得ない。

 これは瑠璃が李章に対して、恋心を抱いているからこそ、そのように叫ぶのだった。

 それは、李章のことを知っているようであり、知らなくなる、盲目になる可能性を秘めており、大事なのは、冷静さというものもしっかりと持ち合わせておくことが大事である、ということだ。

 瑠璃がそのことに気づけるには、成長だけでなく、経験ということ、それを知るための契機が必要であり、それを引き当てないといけない。

 ガチャの類ではないが、巡り合わせというものがある以上、引き当てるという表現は決して、間違ったものではないであろう。

 そして、瑠璃の心配とはよそに、李章を倒すことに成功した敵の方は、瑠璃たちの方へと向かう。

 「あんなのに苦戦していたのかよ。」

 「中々防御されていたんだよ。まさか、お前がこんなに簡単に倒すなんてな。」

 「へへ、じゃあ、二人の方を―…。」

 そんな感じで、李章を相手にしていた敵の側の者達は、瑠璃やクローナへと向かいながらも、どこかしら緊張感を欠いているような感じになっているのだった。

 一方で、倒れた李章は―…。

 (ふう~、ダメージは最小限にすることができました。)

 そう、李章は倒されているフリをしており、すぐに攻撃の準備をおこなうのだった。

 相手の方が油断しているのではないか、ということを予測しながら―…。

 〈フィルネ、最大スピードにすることはできますか?〉

 〈わかった。〉

 李章は、自身の武器の中に宿っている天成獣であるフィルネに念話をして、フィルネから許可をもらう。

 フィルネからしてみれば、これからの方が面白くなると感じて、嬉々として、今の李章に力を貸すのであった。

 そして、すぐにそれは達成され―…。

 (さあ、決めましょう。)

と、思うと、李章は素早く立ち上がり、すぐに、敵の方へと最大スピードで向かう。

 敵は二人。

 これからかなりの数がやってくる以上、なるべく一人でも敵を減らしておくのは、常套手段。

 相手の実力を考えれば、この二人をよりも強い人物がやってくるのが予想されるし、予想するのは簡単なことだ。

 こいつらは斥候の類のようなものであり、こちらの実力を調べるための小手調べのものであり、これからやってくるのが本隊だと判断しても良い。

 略奪団と言っても、どこかの国や都市のように兵力が多いというわけでもない。ならば、一気に投入してくることも考えられる。

 そして、李章は、相手に悟られることなく―…。

 決める!!!

 一気に右足の蹴りを敵に攻撃できる範囲に入り、敵を追い抜いて、自身が見えるようになる前に、前から蹴りの攻撃をするのだった。

 それも、相手の顎に当たるようにして、蹴りを―…。

 「ガハッ!!!」

と、さっき李章を倒したと思っていた人物が李章の攻撃を受けるのだった。

 そして、宙を舞い、その時にはすでに、気絶しているのではないかと思えるようになっていたが―…。

 地面に到着する前に―…。

 李章はすでに、次の攻撃態勢に移行しており―…。

 (もう一人!!!)

 そして、李章と最初に対峙した人間にも蹴りの攻撃で、腹部を蹴る。

 「ガァッ!!!」

 (………………騙された!!! しっかり倒しておけよ!!!)

 もう一人の方に愚痴を心の中で言いながら、李章の攻撃に耐えられなかったのか、意識を失うのであった。

 天成獣の宿っている武器を扱っていても、その扱いに差があれば、このようにあっさりと決着が着くということは往々にして存在することである。

 ガタン。

 「二人を倒しました。」

と、李章は言う。

 李章からしてみれば、防がれるようなことはあったとしても、刀を使わないと倒せないほどの実力者ではない。

 なので、少し苦労はしても、このような結果になる可能性は高く、現実にそうなっているのだから―…。

 「李章君、良かったぁ~。」

と、瑠璃は安心するのだった。

 これで、瑠璃たちは略奪のメンバーを五人を倒すことに成功するのであった。

第149話-5 六人を倒すことに成功するが―… に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していくと思います。


では―…。

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