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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
715/748

第149話-3 六人を倒すことに成功するが―…

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 李章と一人が対峙する。

 「チッ………、やるなぁ~。」

と、一人の人物が言う。

 この人物からしたら、先頭にいた李章の動きを止めることは簡単にできそうだが、軽く把握した感じであると、全体的に、最初に派遣された人数では対処するのはかなり難しいことがわかる。

 見渡すようなことをしっかりとしているからこそ、そう判断できるのだ。

 そうしながらも、李章の強さを理解しているからこそ、自分が他へと向かうことはできないとすぐに判断する。

 「邪魔なので、さっさと倒させていただきます。」

と、李章は言う。

 李章からしたら、この相手をすぐにでも倒し、瑠璃たちやキャラバンの安全のために、他の襲撃してきた敵を制圧してしまいたいという気持ちを持っている。

 そうすることが、今、自分がするべき選択であり、それ以外の可能性は考慮しないわけではないが、重要ではないという認識に立っている。

 そうである以上、敵と会話している暇はない。

 「そんなことを言うなよぉ~。だけど、賛成だな。こっちも襲撃して、物を頂かないといけないのだからなぁ~。そして、依頼を達成しないといけない。」

と、一人の人物が言うと―…。

 李章は相手が言っているそばから攻撃に移ろうとするが―…。

 少しだけ、動きを止める。

 「緑の水晶」が告げるからだ。

 (ここで変に動くのはタイミングが悪い感じです。六人だけではないと思っていますが、まだ―…、そんなにも数がいるのですか?)

と、心の中で思いながら、慎重に行動しないといけないと思い、頭の中で思考を巡らせながら、目の前で対峙している相手の方を見ながら、タイミングを見計らうのだった。

 急に動きを止めたことに気づいた一人の人物は、

 「何だぁ~、動きを止めてぇ~。まあ、良いけど。」

と、言いながら、李章へと攻撃しようとするのだった。

 李章がそれに気づいていないわけではなく―…。


 一方―…、キャラバンの後方。

 ミランは、動きを止めながらも周囲を見る。

 (さらに、一人は越えられたけど、そっちの方は李章が対峙している感じね。瑠璃とクローナの方はのんびりしている感じで、敵襲の状態に良く呑気にできるわねぇ~。あいつら―…。)

と、ミランは心の中で言う。

 ミランからしてみれば、瑠璃やクローナは一人の敵を倒して、李章が一人と交戦中とあり、自分達の方に向かっていないのを理解しているのか、二人とも完全に油断しているのではないかというような、雰囲気を感じてしまうのだ。

 目線を瑠璃やクローナの方に向けているのではなく、そのように察知できるように周囲の状況把握の方法をしっかりと知っており、それを今、しっかりと実践することができているのだ。

 そんな感じなので、ミランは二人に対する怒りを抱きながらも、「闇玉」を使っても、一人も倒せなかったことから察するに、敵は天成獣の宿っている武器を扱っている可能性が高いと判断していて、それはすでに、大きな声を発して、瑠璃たちに知らせているので、変なところで油断することはないだろう。

 それでも、今の瑠璃とクローナのことを思うと、心配にしかならない。

 そして、礼奈の方は―…。

 (弱いな、あいつ―…。)

と、一人の人物は思いながら、礼奈の方へと攻撃を定めるのである。

 「あの女、か弱そうに見えるわ。護衛って柄じゃないわ。売れば男どもが群がるわねぇ~。」

と、敵の女がそのように思いながらも、実際に人身売買はあまり道徳的に良くないと、アウリア大陸では思われているし、それが慣習に近いものとなっている。

 そうである以上、敵の女からしても、自分達略奪団が恐怖されるべき存在であることを広めるために、敢えて、非人道的なことをしているのではないかと思わせるようなことを言っているのだ。

 恐怖は、狙っている対象を守るための力を弱らせることができると、想像以上に恐怖を思わせることで、狙っている対象側の力を十分に発揮させることができず、自分達の狙っている対象を手に入れることが容易になるのだ。

 さらに、戦わずして勝利することが可能になる場合だってある。その方が自分達の被害を少なくすることができるのだから、敢えて、損害を出すことを好むようなことをして、必要な時に必要な戦力を確保することができない方がよっぽど問題であることを認識している。

 大事な時は、どこで訪れるのか人のような存在には分からないのだから―…。

 そうであるからこそ、被害を減らすことに関してはしっかりとしないといけない。変な自分の妄想を上の立場の人間であるほど、切り捨てないといけない。その妄想というものは当の本人にとって現実だと思えることであるからこそ、気づきにくいものであり、他者の真面な指摘に対して、気づきにくい場合があるので、妄想に気づかずに、最悪の結末を迎えることが十分にあり得る。

 だからこそ、自分が正しいかどうかを疑うことをしっかりとして、確認しないといけない。間違いをしないのが人間なのではない。間違うことがあるからこそ、人間なのであると―…。

 そして、この二人は気づいていない。

 この護衛のメンバーの中で、誰が戦闘の才能を持ち合わせているのかを―…。

 まあ、人は見た目で判断することが多いだろうし、見た目にはその人を表す特徴がいっぱい見いだされる。だけど、忘れてはならない。いっぱい見いだされるのであって、すべてではないのだ。

 ゆえに、想定外というものはどんなことがあっても存在するのだ。

 そう―…。

 「二人……ね。」

と、礼奈が言うと―…。

 「気づかれ……………………。」

 敵の女がそのようなことを言いかけた時にはすでに、礼奈との戦いに敗北しているのだ。

 襲おうとした敵の二人が―…。

 (凍らされた!!!)

 少し後ろにいたポンガルは、礼奈を狙おうとした二人が一瞬にして凍らされたことに気づく。

 そのスピードは目で追える速さを越していたのではないかと思えるほどであった。

 そのような感覚をポンガルに抱かせる。

 礼奈としては、「青の水晶」と凍らせることを上手く組み合わせた結果に過ぎない。

 つまり、最初に、水を展開し、それに対象を凍らせるようにし、そのスピードを加速させるために、「青の水晶」の回復を用いたのである。

 そうである以上、天成獣の宿っている武器を扱っているポンガルの目に、あまりの速さで氷が拡大していくのを見たとしても、判断したとしてもおかしくはないのだ。

 そして、礼奈は冷静にそのようなことを言いながらも、すぐに、ポンガルのいる方向へと視線を向ける。

 (すでに気づいている可能性はあると思っていたが、こうも早くとは―…。長、援軍を送ってきてくださいよぉ~。)

 そのような不安な気持ちを抱きながらも、それを表情に見せるようなことをポンガルはしない。

 そのようなことをしてしまえば、相手に自分がどんな気持ちであるかを簡単に悟らされるようなことになってしまうからだ。

 そのことを望む気は一切ない。

 そうであるからこそ、毅然とした態度で、敵と対峙するのである。

 そうこうしているうちに―…。


 一方、長のいる場。

 そこでは、長は静かに動向を見ながらも、不安の色が見える。

 (あいつらの実力を見くびっていたのは俺らか。最悪のことも考えないといけないが、これだけの数を投入すれば、こちらが勝てる可能性は十分にあるかもしれねぇ~。)

と。

 さっきの礼奈の攻撃を見て、あれは天才の所業であることを理解させられる。

 技が決まるまでのスピードが明らかに、普通に天成獣の宿っている武器を扱っている者の中で、尋常に早いのだ。

 そんな相手と戦うのはかなり難しいし、場合によっては、何もすることができずに、倒されるようなことがあったとしてもおかしくはない。

 だけど、今の礼奈に弱点がないと言えば、それは嘘となるし―…、それに気づけない長ではない。

 (まあ、俺らが砂漠での略奪を生業にしていたことが幸いしたな。あの凍らせることが得意な少女の弱点も分かった。だけど、雷に関する弱点はどうしようもないな。)

と、長は、心の中で思いながら、戦況を見つめるのであった。

 長も戦闘力はそれなりにあるとは言っても、元々、護衛のような仕事をしていたわけではないし、武器を扱うことが滅茶苦茶得意というわけでもない。天成獣の宿っている武器を扱うことはできるが、それなりの戦闘力になるのは、そんな理由だからだ。

 人を見切る目はかなりある方なのだが―…。

 「俺が船の上で最大限の攻撃をした時に、防ぐのがやっとだったのに―……、なぁ~。」

と、ラーグラは言う。

 ラーグラからしたら、礼奈の氷の力というものをあまり強くは評価していないようだ。

 それもそうだろう。

 実際に、リースからラナトール間の豪華客船で、シエルマスの残党を使っての瑠璃たちの暗殺計画の実行面において、ラーグラは豪華客船を沈めることができるほどの威力の矢を放ち、礼奈の方はそれを防いで、豪華客船に接することのないようにするだけで精一杯だったのだ。

 そうであるからこそ、人を簡単に凍らせるようなことができたとしても、自身の経験があるからこそ、礼奈の実力を認めることができないでいる。

 礼奈は戦いの天才であり、分かるものからすれば、簡単に分かるものである。

 礼奈はあくまでも、ラーグラの攻撃を防ぐのと当時に、敵に攻められないようにしないといけなかったことから、どうしても十分に力を発揮させることが難しかった。それだけなのだ。

 そうである以上、ラーグラは礼奈の実力を正確に把握することができていない。

 人は思っている以上に、他者や自分のことをしっかりと理解できるわけではないし、理解できないわけでもない。それは、人が世界のすべての物事を知ることができないことに似ているし、それを知ることができないことに近いものである。

 それは、人が何かしらの間違いを犯すし、物事を把握するのに時間を消費していること、そして、人は生まれ、自らの寿命を全うするという時間の始まりから終わりという有限的な性質を持ち合わせた存在であるからこそ、起こりうることなのだ。これが正しいかどうかを完璧な方法で判断することはできないものでしかないが、それでも、人は完璧にも、完全にもなれない存在であることに間違いない。

 だからこそ、ラーグラが礼奈の実力をしっかりと把握できないことに対して、ラーグラを馬鹿にすることは愚か者であることを、馬鹿にしている者達は自身で認めていることになるのである。

 ここで大事なのは、自分も同様のミスをするかもしれないということと、完璧にも完全にもなれないからこそ、何かしらの学びやミスがあるということをしっかりと認識し、普段から注意が必要であることを、自分の頭の中に入れておくこと。そのようにすることで、自分の不完全さを理解しながらも、また、無力に感じるかもしれないが、大事なのは、何かしらの新たな可能性を受け入れられるということを理解しておくことなのだ。

 無力であったとしても、何もできないわけではない。それが人なのだ。

 さて、話を戻す。

 ラーグラの今の発言から長は、ラーグラの評価の仕方に違和感を覚えるのだった。

 (……………こいつは確かに弱い。だが―…、本来の天成獣の力を引き出すことができていないことによるものではないのか。まあ、それを指摘する気はないしな。俺の仲間ではない以上、そのようにする義理もない。)

と、長は心の中で思う。

 サンバリアの依頼で協力しているけど、そうであったとしても、どこで敵になるのか分からない以上、ラーグラにそのことを教える義理はないし、敵になる人間を強化して、強くさせる気もない。

 敵を強化しても良いことなど一切ないのだから―…。

 砂漠の中で生き残ることが必要であるこの場所においては―…。

 「そうか。」

と、長は簡単に頷くだけにする。

 これ以上、自分からラーグラに対する問題点を指摘して、ラーグラを強化するきっかけを与えないために―…。

 そうすることが、自分達を守るためには必要なことであると自覚しながら―…。

 暫くの間、長とラーグラは戦況を見つめるのであった。


 ドン!!!

 そのような音がなってもおかしくはないほど。

 戦闘は過熱している。

 (チッ!!!)

と、李章は心の中で思いながらも、汚い言葉だと思い、それを言葉にはしない。

 それは、李章は自分が立派な人間に、誰でも平等に接することができる人間にならないといけないという気持ちを抱いているからこそ、汚い言葉を使うわけにはいかないという感情になっているのだろう。

 それと同時に、李章は、現実において、誰にでも平等に接することができているかと言われれば、第三者の視点からすれば、できていないし、人は平等に他人と接することができるほどの実力を用いうることは少ないか、ないと言っても良い。

 平等に近い感じで接している人は、この世の中を探せば、どこかしらにでもいるだろうが、全員に対して、そのような態度をとれているわけではない。

 なるべく気をつけているか、自然にその近い状態へともっていっているかのどちらかであろう。別の可能性もあり得るであろうが―…。

 そんななか。

 李章を攻撃している者は―…。

 (しつこいなぁ~。)

と、思いながらも、素早い移動と攻撃を繰り返すのだった。


第149話-4 六人を倒すことに成功するが―… に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していくと思います。


では―…。

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