第149話－2 六人を倒すことに成功するが―…
『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。
『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中)：https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138
『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中)：
(小説家になろう)；https://ncode.syosetu.com/n5935hy/
(カクヨム)；https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542
興味のある方は、ぜひ読んで見てください。
宣伝以上。
前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。
そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。
詳しくは本編を読み進めて欲しい。
そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。
一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。
そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。
隊商の一人が見る。
遠目だけど、何かしらの存在がやってくるのが分かる。
そして、護衛の方から敵が襲ってきたことは分かっている。
そこから判断すると―…。
「敵が攻めてきた――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」
と、声を上げる。
隊商の商人たち全員が安全な中へと入り、緊張した面持ちになる。
これからは護衛の仕事だ。
護衛が敵を蹴散らしてくれることに期待するしかない。
自分達がいくら武力を手にしたところで、訓練もしていない一介の商人でしかないのだから―…。
場所は礼奈とミランがいる場所。
(敵の姿が見えてきたわね。)
と、ミランは心の中で言う。
ほんの数秒前から敵の姿を目視できるようになった。
数は五。
だけど、さっき、一人だけ何の対処もすることができずに、越されることになった。
そして、クローナと瑠璃で倒したのだということを、礼奈が後ろを見ていて、そのことをミランに告げたのだ。
ミランの方からしても、礼奈に告げる必要がある。
「敵は五人。一人先を越されるような失態を演じたけど、今度は―…、そうはさせる気はない。闇玉。」
と、ミランは言いながら、自らの頭上に黒い球体を展開する。
最初は小さなものであり、ミランの小指よりも小さな直径を持つ存在でしかなかったが、次第に大きくなっていく。
それは、ミランが相手へと大きな一撃を与えるために、それに相手を怯ませるためには大きなものはかなりの意味で有効なのだ。
自分より大きいということを形の大きさでは、誰もが目に映るということからできるのであり、そのことは理解されやすい。ゆえに、自分より強いということが嫌でも理解できる。まあ、どうして大きいから強いのかの理由までは分かっていないが、現に、分かりやすいということ、視覚的に見えるものが人に与える印象が強いからなのであろうか。
疑問は尽きないものであるし、人は物事の全てを理解することができずに滅び去ることになる存在でしかなく、何も理解しないという状態には人と判断される段階から永続になることはない、ということにある存在なのだから―…。
何も知らないということはあり得ないのだ。生まれたということを理解できているかは分からないが、世界を理解しようとしていることを知っているのだから、何も知らないということはないのである。
そうである以上、人は経験や得た知識やそれらを組み合わせることによって物事を判断しているだけに過ぎず、結局、相手を理解できないのは相手への理解力がないのではなく、理解しようとしないということが心のどこかにあるからなのではないだろうか。もしくは分かったつもりでいるという気持ちがあるのかもしれない。
でも、理解してはならないことが正解になる時もあるので、相手を理解すべきかどうかなどの判断はかなり難しいものであると言わなければならない。
この世界において、何が正しいのかもしくは正しくないのかは、かなり難しいことであると同時に、簡単にこれが正解だと言えるようなことは実際にはないのかもしれないし、経験や知識からそのように思っているだけに過ぎないのかもしれない。
さて、話がかなり逸れてしまったので、戻すことにしよう。
ミランの展開した「闇玉」の大きさは、ミランの身長よりも長い直径を有するまでになっており、そこまでになるのにスピードで数秒とかかることはなく、ミランが納得するほどの大きさとなり―…。
「えいっ!!!」
と、大きなボールでも投げるような動作をすると、「闇玉」は敵のいる方向へと投げる軌道のようになる。
そして、敵の方からも見えないわけではなく―…。
「あれはかなり危ない。だが、利用できる。全員散開し、それぞれ護衛と戦え。」
と、ポンガルが言う。
ポンガルからしてみれば、今の「闇玉」の攻撃を受けてしまうのは良いことではないし、自分達が簡単に倒されるということを本能的に理解する。
正確に言えば、そのように推測することができる。
そうである以上、ミランの「闇玉」という攻撃を受けるのは危険だし、わざわざダメージを負うようなことはしない方が良い。
そんなことをするのは戦闘狂の中でも馬鹿な類でしかない。
これは略奪するための戦闘であり、自分達の戦力を減らすようなことを意図的にやる必要はないことなのである。
そして、ポンガルの言葉を聞いた者達は、一斉に散開する。
狙いは三人組であり、護衛として雇われていることが分かっている以上、商品を狙うよりも護衛を狙う方が目的となる。
依頼を遂行することは大切なことである以上、どうしても敵側から不自然と思えるような行動をしないといけない。
そして、散開している間に、ミランの「闇玉」は砂漠の地面に到達する。
そう、ポンガルらがさっきまでいた場所に―…。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!
そのような大きな音をさせながら―…。
(チッ、すぐに気づいて回避したか。)
ミランからしてみれば、あの攻撃で一人だけでも真面に当たれば、倒せて、数を減らせると思ったのに―…。
そういう意味では、ミランも敵がそんな簡単な相手ではないと理解するし―…。
(天成獣の宿っている武器を扱う可能性もあると判断した方が良いわね。)
と、心の中で思いながら、
「天成獣を扱っているかもしれないから、油断するんじゃないわよ!!!」
と、鼓舞する。
大きな声で―…。
つまり、ミランはキャラバン全体に伝わるように言って、瑠璃たちに警戒すべきだということを言うのだった。
そういう情報共有は大切なことであり、自分達が生き残るためには必要なこと。
そうであると瞬時に判断することができているからこそ、言うのである。
そういう意味で、戦闘経験というものが生きているであろうが、敵の方もそんな感じである以上、ここで簡単に優位なアドバンテージが手に入れられたわけではない。
一方で、キャラバンの人間からしたら、天成獣というものが分かっているのであれば、敵がかなりの強い人間であることを理解するのに、時間がかかることではない。
そうである以上、護衛の実力に期待するしかない。
そして、移動している敵の方は―…。
(すげぇ～、あんな大きなのを最初から放てるなんてぇ～。)
一人の人物は、ミランの「闇玉」を見て、自分ではそのような攻撃ができないことを理解し、ミランと交戦するのは危険だと判断して、別の相手を探そうとする。
雷を扱っていると思われる人物は避けた方が良いし、風の人間もあまり相手にはしたくない。
なので、キャラバンの先頭を狙うのが良いのではないかと直感的に判断すると―…。
「!!!」
何かの気配に気づく。
ゆえに、すぐに攻撃態勢に移行し、防御するように構えると、足の先に何かしらのものが衝突したのではないかと思えるような衝撃を受ける。
「キャラバンに被害を受けさせるようなことはさせません!!!」
この人物に攻撃してきたのは、李章である。
李章はすぐに先頭が狙われるのではないかと判断して、そっちの対処へと向かったのだ。
(チッ!!! 隙を突いてくるとは―…。こっちのお株なのに!!!)
と、心の中で悔しそうな顔を李章の蹴りに対処している人物は、心の中で思うのだった。
一方、そこから少し離れた場所―…。
長とラーグラがいる場所。
「ポンガルらで様子見を考えようとしたが、あのままじゃ何の情報も得られることはないだろうなぁ～。」
と、長は言う。
長からしてみれば、自分達の派遣した者達の方がすぐに不利であることを理解する。
ゆえに、すぐに考えを改める。
「ここまでやってくるとなると、ポンガル以外が倒されるまでに、さらに数を増やすということをしないといけないなぁ～。投入できる数だけ投入するか。俺とラーグラを含めて、五人以外は、全員、キャラバンの方を襲え。」
と、長は命令する。
長はそれぐらいの戦力が必要であると直感的に見抜き、すぐに、キャラバンの方へと向かわせようとする。
(物量はいるなぁ～。厄介なのがいて―…。)
同じ天成獣の宿っている武器を扱っている可能性をすぐに見破ったからこそ、変に出し惜しみするのは危険だと判断し、一気に攻める方針へと変更する。
このような指示を朝令暮改のようにしていれば、誰からも信頼できなくなるのであろうが、長は普段から部下を統率しながらも、信頼を得られるように日々、努めてきた。
ゆえに、長が何を言おうとしているのかをある程度理解できるので、すぐに自らの武器を持ち、すぐにでも、移動できるように準備するのだった。
そして、長はそれを確認して―…。
「行け!!!」
その長の号令とともに、部下の五人を残し、全員がキャラバンの方へと向かうのであった。
その動きは一種の軍隊のような感じをさせるものであったが、それでも、すぐにそれぞれにとって都合が良い動きができるようにすることは簡単にできるようにしていた。
なぜなら、彼らは戦闘においても、プロと言って差し支えないのだから―…。
第149話－3 六人を倒すことに成功するが―… に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していくと思います。
では―…。
