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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
706/746

第147話-4 そして、護衛の依頼を手に入れる

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 その後、金額に関しての交渉もおこなわれた。

 ミランは交渉をし終えると、李章たちのいる場所へと向かうのだった。

 そして、隊商のトップとしては、ここで笑顔になるようなことはできなかった。

 それは、アイビックサソリに襲われたのに、喜ぶようなことをしてしまえば、そのことによって、何かしらの損害を受けた者をあざ笑っているかのように感じられる場合があるからだ。

 そのようなことになってしまえば、イスドラークへの移動中に、妨害まではしないであろうが、気まずい雰囲気になったり、最悪の場合は略奪者と通じて、この隊商を襲わせるようなことになってもおかしくはない。

 つまり、隊商にとっても良くないことの連鎖でしかなく、自らを、隊商をも守るためには絶対に避けないといけないことだ。

 厳格さというものは、時に必要な場合もあるのだ。生き残る上で―…。

 楽しいだけが人の人生でないように、厳格さの必要のない人生など存在しないのかもしれない。

 まあ、厳格さのない人生も十分にあり得ようが、それが本当に良い人生であるかどうかは、その人個人の判断になるので、ここで細かく言及するのは避けないといけない。

 こういう個別ケースというものは、例を挙げれば、キリがないということが往々にしてあり得るのだから―…。

 そんな隊商のトップが厳格さを保っているところに、一人の人物がやってくる。

 隊商のトップであるミグリアは、その人物の方へと視線を向ける。

 「ミグリアさん。あの少年に護衛の依頼を―…。」

と、言いかけるが―…。

 「護衛の依頼は受けてもらることになった。イスドラークまでだが―…。彼らがいれば、向こうへと無事に辿り着けるようなこともあろう。後は、イスドラークで新たに護衛を雇えば良い。」

と、ミグリアは言う。

 ラナトールでは護衛を雇えなかったが、それでも、イスドラークではそんなことはないだろう。

 「人に創られし人」の一族も隊商の護衛の依頼を受けたりするし、さらに、彼らと商売をすることもできる。「人に創られし人」の一族が扱っている商品の中には、ラナトールでは珍しいものもあるし、サンバリアで定価で売られている物が値は高いが、売られている場合がある。

 ラナトールの上役たちも、そういうサンバリアの製品が珍しくて、自慢のために欲しがったりもする。ゆえに、破格で売れることもある。隊商の人間からしたら大きな利益となるが、それでも、彼らの多くの者の態度は気に入らないし、商売を馬鹿にしているし、住民のことを馬鹿にしているので、あまり良い顔を心の底からすることはできない。

 商売人である以上、利益というものが大切なのであるが、結局、相手との信頼がなければ、不買運動のようなことをされたり、隊商の方へと損害になるようなことを加えられたりするようなことがあったりするのだ。そんなことをされれば、最悪の場合、商売を続けられなくなってしまう。

 搾取ばかりするような輩では、本当の意味で、商売を持続的に続けるようなことはできない。商会のトップなら、従業員にも配慮し、お客様へも配慮し、しっかりと上手く良い関係を築きあげておかないと、持続的に長い商売を続けることができなくなるので、一時的に儲けるようなことができても結局、自分の代で自滅させてしまうだけなのである。

 商人は、良き未来の担い手とならなければいけない。色んな人々の良き人生のために―…。

 そういうことが長く続ける秘訣であると、ラナトールやリースの界隈では言われていたりする。

 そのことを忘れたことによる教訓があったのだろうか?

 その真偽に関しては、不明である。

 さて、話を戻すとしよう。

 「はあ、そうなりましょうが、アイビックサソリを一人で追い返すほどの実力者となりますと、かなりの金額が発生してしまうかもしれないと思いますが―…。」

と、ミグリアと会話している者が言う。

 この人物からしてみれば、ラナトールの隊商への護衛依頼は実入りの良いものではあるが、それと同時に、その人物の実力によって、報酬額が変動し、アイビックサソリを一人で追い返すということになると、かなりの金額となる。

 具体的な金額を言えるわけではないが、ラナトールの護衛依頼を受ける者達の中で一番額の高いものよりも数倍の額になる可能性が高い。

 そうである以上、この人物からしてみれば、李章に護衛の依頼をして良かったのだろうか、と申し訳なく思ってしまうのだ。

 誠実な商人であることが分かるだろう。

 「それは仕方のないことだ。実力がある者にはしっかりと報酬を支払う。それは商人として当たり前のことだ。そのことを疎かにするような輩は、その社会をも崩壊させる愚か者だ。我々は、我々の相場での誠意を見せなければならない。経済が上手くいくためには必要なことなのだ。我々の商売が将来にわたって、上手くいくためには……な。アルバディエド。」

と、ミグリアが言う。

 ミグリアからしてみれば、実力というのは、出世して偉いからということではなく、ちゃんとある場面によって、問題解決および商談成功のために成果を挙げた者、素晴らしい商品を作った者、それらをしっかりと支え、繋ぎ合わせた者達に対して、しっかりとその成果にあった報酬を与えないといけないし、持続的に給料を上げていかないといけない。時には独立できるようにもしていかないといけない。

 商会のトップを率いるのなら、いろんなことを考えないといけないし、威張っている暇など本当は一切ないのだ。それでも、自分が偉いと威張っているような輩は、結局として、自分やその利益のことしか考えず、返って、自らの商会を衰退させることになる。

 それを自業自得だと言って終わらせるのは簡単なことであるが、そこで真面に仕事をしている人がいると思えば、彼らの生活を最悪でも保障しないといけない。どこかへと移れば良いと言うかもしれないが、それが簡単にできるのであれば苦労はしないだろうし、そのような引き抜きもしくは慈善的な行動をとってくるケースなどかなり珍しいことであり、そういう引き抜きをするためにはよっぽどの実力が周囲に知られていないといけない。

 まあ、その商会を潰したいから人材を引き抜くということなら、多くはないけど、さっきのことよりも有り得そうだが―…。

 実際、これが正しいのかと言われれば、全ての可能性を考慮というか調べていない以上、簡単に正解だと、正しいと判断するのは早計なことでしかないであろうが、簡単にいくわけではないということを理解しておいて欲しい。

 ゆえに、腐敗の冗長となっている商会のトップを追い出すということをしないといけないが、これも簡単なことではないし、そのトップに味方する有力なコネを持っている人間がいて、簡単に潰されてしまうことだってある。そうなると、より厳しい条件での労働へと変更される場合だってあるのだ。トップに反抗した者達や、それに関係した者を含めて―…。

 そうだと考えると、何かしらを変えるということは簡単なことではないし、簡単に上手くいく場合は少ないのだ。そんなのは物語の世界での話でしかない、と思ってもらう方がどれだけ正解に近いのだろうか。

 そういうわけであるから、簡単に自己責任だとして判断することは危険なことでしかない。より深い理解というものが必要になってくるのだ。

 アルバディエドは、ミグリアの言っていることが分からないわけではない以上、複雑な気持ちになりながらも―…、自分達の利益がなくなるどころか、赤字になるのではないかと心配しながらも―…、言うべきことは決めっているのだ。

 「ええ、背に腹は代えられません。こんなラッキーを逃すようなことはできません。」

と、アルバディエドは言う。

 アルバディエドからしてみれば、イスドラークまでの護衛であったとしても、李章のようなアイビックサソリを一人で退けられるような人がいれば、安全は確保されたものである以上、彼らが護衛の依頼を受けてくれるのなら、そんなラッキーなことを見逃すようなことなんてあり得るだろうか。

 そんな馬鹿なことをするのは、商人として大成できるはずがない。

 チャンスは逃すな。

 そんな教えを信じながら―…。

 その後、会話をしているわけにはいかないし、隊商の品物や被害状況を確認するのだった。


 一方―…。

 「やったわ。依頼をとってきたわ。李章のおかげよ。これでイスドラークへと安全に行けるわ。」

と、ミランは調子良い感じで言う。

 イスドラークへとは、隊商の護衛の依頼を受けて向かう予定であったからだ。

 そうである以上、願ったり叶ったりなのだ。

 それなりの依頼の報酬金も入ってくるだろうから、そういう意味では収入も手に入れてラッキーだと言うことになる。イスドラークでも少しぐらい長く滞在することができるし、サンバリアへと向かう隊商を探すこと、いや、「人に創られし人」の一族に接触できるための情報を手に入れることができる。

 そういう意味でもラッキーなのだ。

 「お姉ちゃん、さっきと言っていることが―…。」

と、瑠璃が呆れて言う。

 瑠璃からしてみれば、さっき、李章の単独行動を否定していたよね。

 そんなことを暗に言いたいのだ。

 瑠璃の言っていることは間違っていないし、礼奈の方は瑠璃の言葉に納得するのだった。

 クローナにおいてもそうなのだから―…。

 「お姉ちゃんって言うな――――――――――――――――――!!! これで、安心してイスドラークへ行けるのよ!!! だから、李章の身勝手な行動は不問に付すわ!!! 念願の隊商の護衛よぉ~。」

と、ミランは言う。

 まるで、自分にとって都合が良い結果になったからこそ、自分勝手に喜んでいるのだ。

 それを完全に否定する気持ちもなくなった面々、その後、ミグリアの隊商と合流し、イスドラークへと目指すのだった。


 【第147話 Fin】


次回、砂漠を行く。そして、その裏で―…。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していくと思います。


次回の投稿日は、2025年7月1日頃の予定です。

では―…。

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