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水晶  作者: 秋月良羽
現実世界石化、異世界冒険編
703/747

第147話-1 そして、護衛の依頼を手に入れる

『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。


『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138


『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):

(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/

(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542


興味のある方は、ぜひ読んで見てください。


宣伝以上。


前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。

 そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。

 詳しくは本編を読み進めて欲しい。

 そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。

 一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。

 そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。


 砂塵が舞う。

 人々は、砂に飲み込まないように顔を隠す。

 ゆえに、誰が倒したのかは分かっていない。

 少年?

 そのような疑問というか、そういうものは分かっているだろうが、確定的な答えを抱くことはできていない。

 少し見えたぐらいでは、判断の下しようはないし、別の可能性だって十分に存在するのだから、別の可能性を否定するようなことはできない。

 そうだとすると、確定させるようなことが証拠が欲しくなるのは仕方ないことである。

 分からないということは恐怖でしかないのだから―…。

 何かしらの仮説でも、仮定でも、根拠なき説明であったとしても、何かしらの納得できるようなことがあれば、それを確定的にした方が気持ちとしては安心できる。

 そうすることで、精神的な安定を保とうとしているのである。

 (…………………アイビックサソリは―…………。)

と、一人の人物は心の中で思う。

 今、アイビックサソリがいるのだ。

 人を襲って来る―…。

 そのような存在が一瞬ではあるが、地面に叩きつけられるという映像を見たのであるが、それは幻なのか、現実なのかを区別するまでには至っていない。

 そうである以上、一人の人物からしたら、どうなったのかは砂煙が晴れるまで、分からないと言った方が良い。

 そして、砂煙は次第に薄らいでいくのだった。


 少し離れた場所。

 そこでは、砂煙が発生しているのが見える。

 移動している瑠璃たちは、その光景を見る。

 「李章君がやったんだ!!!」

と、瑠璃が興奮するように言う。

 李章の実力を知っているからこそ、アイビックサソリというモンスターが倒されたのだと思うのだった。

 まだ、決着が着いたとは限らないのだから―…。

 そうだと思うと、瑠璃の言っていることは間違った可能性のあることであり、油断に繋がる一歩手前だと戦闘経験の長い者達から判断されてもおかしくはない。

 そういう意味では、瑠璃はまだまだ戦闘経験が浅いと言える。

 仕方のないことであるが―…。

 「分かんないわ!!! あいつは刀を使って戦っていないのだから、簡単に倒せるとは思わないけど―…。」

と、ミランは瑠璃に注意するように言う。

 ミランからしたら、瑠璃の今の言葉は、浅はかなことでしかないことは分かり切っている。

 ゆえに、しっかりと言っておかないといけない。

 モンスターが簡単に倒されるということはあまりない。

 天成獣の宿っている武器を扱う者であったとしても、モンスターにやられるということは十分にあり得るのだ。モンスターの実力次第では―…。

 ラナトールでアイビックサソリを倒せるまではできなくても、追い払うことができる実力の持ち主はいたりするが、今、この隊商の中にはいない。

 そうである以上、アイビックサソリにやられるしかないが、それとは逆のことが起こる可能性は十分にあろうが、モンスターを簡単に倒せるということがあまりないのは、強力なモンスターは比較相手を出すなら、アンバイドが本気を出して倒せるかどうかという具合だと説明するのが分かりやすいであろう。

 それだけ、伝説の傭兵であったとしても、倒せるかどうかは分からないのだ。

 だからこそ、油断する理由はないし、油断は自らの命が奪われる最悪の事態に繋がることだってあり得るのだから―…。

 そして、砂煙が晴れるのが見える―…。

 そう―…。


 【第147話 そして、護衛の依頼を手に入れる】


 砂煙が晴れる―…。

 そして、顔を覆って、砂が体の中に入るのを防いでいたのを止める。

 それがなくなっているのだと思い―…。

 ターバンごしから見る。

 その視界に映ったのは、アイビックサソリが地面に伏している状態であり、かつ、その背の上に何かあるのではないかと思わせるような感じだった。

 それが何なんのかは今のところ分からない。

 分からないのだ。

 そして、それを確かめるために近づく。

 慎重に、慎重に―…。

 アイビックサソリがまだ、完全に倒されていないのではないかという可能性を考慮しながら、動く―…。

 そのように慎重に考えることは、自分達が生き残る上では必要なことなのだから―…。

 そして、ゆっくりと向かって行くのが数人―…。

 さまざまな角度から確かめることが重要なのだということを判断してのことだろう。

 (…………………………………………………………。)

 言葉を発するようなことはしない。

 そのようなことをすれば、アイビックサソリが目覚めるかもしれない。

 そして、そのようなことがあれば、こちらとしては最悪なことでしかない。

 アイビックサソリが再度襲って来るかもしれないからだ。

 自分達の命を守ることが商売を大成する上で、重要なことなのだから―…。 

 恥はいくらでも、生きている限り、晴らすことはできるのだから―…。

 そういうことを理解しているからこそ、慎重に、慎重に、……近づく。

 そして―…。

 「!!!」

 何かが飛んだのではないかという気配を感じる。

 そして、それは、隊商の一人の近くで着地する。

 ドン!!!

 僅かであるか砂煙を発生させながら―…。

 隊商のアイビックサソリに向かっている者達のうちの一人が驚くが―…。

 その気配の主は、近くにいた隊商の人に近づく。

 「すいません。この大きなサソリを倒したのですがぁ~。」

と、気配の主である李章は言う。

 李章からしてみれば、アイビックサソリの名前は知らないが、蹴りだけで倒すことが可能な程度のモンスターであることは認識できていた。

 決して弱いわけではないが、過去に対決したヒルバスよりは明らかに弱いと感じたし、刀を使うまでもないな、と思っていた。

 それと同時に、このアイビックサソリは何か理由があって人里を襲っているのではないかと思ったのだ。

 それを証拠づけるものはないが、どこか悲しそうに見えたのだ。

 モンスターは人の感情を理解できるほどの存在であり、また、僅かであるが人に対して、何かしらの意志を伝えることができる存在なのだ。

 そういう意味では、モンスターは恐怖なのであるが、それと同時に、分かり合える可能性は十分にある。

 この異世界においてはそうだし、別の異世界で同じような場合もあるかもしれないが、違う場合もある。

 郷に入れては郷に従えとあるが、それぞれの世界にはそれぞれの世界の独自の特性というか、特徴や性質があるということなのだ。ゆえに、違いを理解することは大切なことである。

 そして、同時に、共通点も存在するので、そのことについての理解もしっかりとしていかないといけない。

 相違と共通点という相反する二つを切り離すことはできない。これは、人が命を終えることに共通点はあるが、どのように命を終えるのかということに違いが存在する、そのような感じで理解していただけると助かる。

 このようなあまり良くない例を挙げてしまっているが、もっと良い例は存在すると思われるので、その例を発見することができれば、その例で理解していただけると幸いである。

 一方で、李章に声をかけられた隊商の一人は驚くのだった。

 李章は偶然にも、隊商の中でも一番の責任者のもとへと向かうことができた。

 年を少しだけ召していたということからの李章本人の判断であろうが、この場では間違っていなかったということであろう。

 簡単に、思い込みで正解できる場合もあれば、そうでない場合もあるので、慎重をきすことも大事だ。

 それでも、隊商のトップは、ここで自分が動揺するわけにはいかないと判断し、李章に対して、何かしらの返事をするのだった。

 今の李章の会話を思い出しながら―…。

 「あ~、君が―…。」

 それでも、アイビックサソリを倒したのだ。

 それも、こんなまだ、大人にもなっていない少年が倒したのだから―…。

 それだけ、実力があるのか、実力のある人に教えられたのか?

 それを判断することはできないが、アイビックサソリを倒すことができるだけの実力があることは確かだ。

 アイビックサソリが目を覚まし、再度、襲って来る可能性からは逃れたわけではないが、最低でも、時間を稼ぐことはできたような、そんな感じだ。

 そして、驚いてしまっている気持ちを無理矢理に整理をつけようとしたが、上手くはいっていないようだ。

 そんな簡単に上手くいくのであれば、苦労しないだろうが―…。

 李章の方も、困惑しているのを感じ、相手の方が話してくれるのを待つ。

 いや―…、そんな暇はないだろうが、空気を読んでしまうと、そんな感じになってしまう。

 そして、整理ができたのか、隊商のトップである人は言い始める。

 「すごい実力だな。だけど、気絶しているだけでは、本当の意味で倒したことにはならない。こいつはアイビックサソリと言ってね。ラナトールを時々、襲って来るモンスターなんだ。だから、始末しないと―…。」

 そう、自らの命が奪われるのではないかという結末の可能性がある以上、確実に、その根を絶っておかないといけない。そうしない限り、安心は訪れないのだから―…。

 たとえ、別の可能性があったとしても―…。

 人は思考するのに時間というものを消費している以上、さらに、その解決のための時間が決められている以上、どうしても思いつける解決策に対して、限度というものが存在し、見落としが発生することを避けることはできない。

 そして、解決までの時間が具体的にどれだけかというのは、完全にはっきりと分かることではなく、あくまでもある程度近づいた時になって分かるか、知ることができずに、タイムオーバーになるか、などということである。

 なので、本当の意味で合理的で、最高の解答を見つけられているかどうかを判断することはできない。

 だからこそ、人はいろんな可能性を考えることができるし、いろんなアイデアを思い浮かべる可能性があるのかもしれない。後者の方に関しては、あまりにも飛躍しているようなことを言っているが、人が完璧にもなれないし、完全にもなれないということを付け加えることで、簡単な説明というか、理由にしておきたい。

 李章は、隊商のトップが言っていることを理解できないわけではない。

 だけど―…。

 「このモンスター。アイビックサソリは、たぶんだけど、人に傷つけられることがあったから、人を襲うようになったのだと思います。戦っている時、相手の中までは見えないことの方が多いのですが、このアイビックサソリに関しては見えました。それに、このアイビックサソリは後々、ラナトールのためになると思います。」

と、李章は最後の方ははっきりと言う。

 李章は、「緑の水晶」から危機察知が急に来て、このモンスターは生かして気絶だけさせろというのだ。

 そして、「緑の水晶」は李章を何度も危機から救ってきている以上、これを信頼するな、という方が無理なことであろう。なので、今回は信じることにしているし、次回もその可能性が高い。

 物事において、何かしらの要因にずっと依存的に信頼して良いということはない。何度も、何度も、確認するような作業をおこなっておく必要はある。

 この世が完全であるならば、そのような必要は必要でないだろうが、今、世界が完全で、完璧であるという保障はどこにもないし、本当の意味で証明されているのかも怪しい。可能性はあるが、その可能性はちゃんと証明というか、何度も確認という作業で使えることが分かっているだけで、何かしらの要因でひっくり返される可能性を排除しているわけではない。

 そういう曖昧を確定的な扱いをすることで、人類の社会というものは成り立っているのだから―…。虚構か現実かの判断はできないであろうが、自らに映ること、認識できていることは現実だと完全に断定することはできなくても、現実だと確定的に思うことによって正常に成り立つであろうし、虚構は現実と認識されているものの中にしっかりと染み込んでいることであろう。

 さて、話を戻し、李章の言っていることの意味を隊商のトップは理解できなかったが、商人としての長年の勘からして、嘘を言っているようには見えなかった。

 (この少年の言っていることは間違っていないのだが―…。)

と、心の中で思っているが、そうだとしても、他が納得できるかと言えば、そうは思えなかった。

 この隊商のトップからしてみれば、隊商の安全を保障すること、商売を成功させることが大事なことなのだから―…。隊商に属している者達、家族の生活を守らないといけないのだから―…。

 そうだと思うと、アイビックサソリを始末してしまうのが得策であるし、自分達で殺すようなことをしないといけない。

 刃が入るかは分からないが―…。

 そう思っているうちに、何かが動き出すのだった。

 そう―…。

 「うわぁ!!!」

 アイビックサソリに近づいて者の一人が驚き、声を上げるのだった。

 李章のその声で視線を向けると―…。

 そこには、アイビックサソリが目覚めて、起き上がるのだった。


第147話-2 そして、護衛の依頼を手に入れる に続く。

誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していくと思います。


では―…。

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