第146話-13 砂漠へ―…
『水晶』以外にも以下の作品を投稿しています。
『ウィザーズ コンダクター』(「カクヨム」で投稿中):https://kakuyomu.jp/works/16816452219293614138
『この異世界に救済を』(「小説家になろう」と「カクヨム」で投稿中):
(小説家になろう);https://ncode.syosetu.com/n5935hy/
(カクヨム);https://kakuyomu.jp/works/16817139558088118542
興味のある方は、ぜひ読んで見てください。
宣伝以上。
前回までの『水晶』のあらすじは、クリスマスの日、世界が石化するという現象が起き、石化されなかった瑠璃、李章、礼奈は異世界からやってきたギーランによって、異世界へと送られるのだった。そして、魔術師ローの話により、世界を石化させたのはベルグの可能性があり、彼を探すために異世界の冒険に出ることになるのだった。そんな中で、クローナを仲間に加え、アンバイドを一時的な協力関係を結ぶことになり、リースへとたどり着く。
そこでは、ベルグの部下で幹部の一人であるランシュが仕掛けたゲームに参加することになるが、そこで、リース王族の一人であるセルティーと知り合うこととなり、チームを組んでランシュのゲームの中で最終的にはランシュを倒すのだった。それを利用したかつてのリース王国の権力者側であったラーンドル一派の野望は、それを知っていた王族でセルティーの母親であるリーンウルネによって防がれることになる。
詳しくは本編を読み進めて欲しい。
そして、リースは王族とランシュの共同体制ということで決着することになる。
一方で、ベルグの部下の一人であり、ランシュと同等の地位にあるフェーナがベルグの命により、ベルグの目的達成のために、その部下ラナを使って瑠璃のいる場所を襲うが失敗。その時に、サンバリア側の刺客であることがバレて、瑠璃、李章、礼奈、それに加え、クローナ、ミランとともに、サンバリアへと向かうのだった。これは陽動作戦であり、ローもそのことを知っていて、瑠璃たちを成長させるために敢えて、乗るのであった。
そして、瑠璃たちは、セルティー、ローらと別れ、船の乗り、サンバリアを目指すのだった。
「!!!」
(地震!!?)
李章は揺れを地震なのではないかと判断する。
これには、大きな根拠があるわけではないが、経験上、そのように判断する。
現実世界における日本という国では、地震が起こったりする頻度がかなりあるので、そういう揺れの経験が多分にある。
だが、李章たちは、大規模大震災級のような地震を直接に経験したことはないので、要は、震度の高い地震を経験したことはないので、強い揺れがどういうものかを正確に予測することができるわけではない。
経験上から、弱い揺れでも地震と判断することになる。
そして、この異世界においても、地震というものは知られている地域において十分に知られており、現実世界の過去の日本のように鯰が地震を起こしているのではないかというような迷信の類も信じられている場所も存在する。
そういう意味では、現実世界とこの異世界における地震の原因の概念が似ている面があるといえる。
そして、李章はこの揺れから瑠璃を守るために行動しないといけないという気持ちになり、警戒度を上げる。
(ここの近くにプレートの境目があるのだろうか?)
と、礼奈は心の中で思う。
実際、この異世界のラナトールから数百キロメートル離れた場所の地下に大きな断層というものがあるのは事実だが、そのことを知っている人はこの時代にはいない。
リースやラナトールのある場所では、まだ、地震における研究は迷信に近いことが信じられるぐらいに計器などや概念における進展は一切、ないに近いぐらいなのだ。
アウリア大陸でもサンバリアなら、そういうことができるぐらいの科学技術水準はあるだろうが、サンバリアは侵略戦争に夢中なため、ラナトールまでやってきて、プレートに関する調査などは一切しないであろう。
それよりも軍事科学を優先しており、サンバリアとその周辺の自然環境の研究にしか回されていないという現状である。
軍事費用も馬鹿にはならないので―…。
「………………何だぁ~。」
「この揺れ―…。」
周囲の人々の緩い、長く続く揺れに気づき、どうなっているのか外に出る者、窓近くから見る者が多数出てくる。
そんななか、ある人が指を指す。
若い男性であり、中肉中背だが、そこそこに立派な筋肉を持っており、イケメンではないが、ほどほどにガテン系と言っても良い人は、視力だけはかなり良く、二キロ先でも見えるぐらいのものである。ちなみに、この若い男性は能力者でも、天成獣の宿っている武器を扱うことができる人でもない。
「おい!!! キャラバンの方を見ろ!!! 何か、動いてるぞ!!!」
と、若い男性が大声で言う。
全員が今、瑠璃たちが見つけたキャラバンの方へと視線を向ける。
そこには少しだけ揺れているような感じがする。
そして、キャラバンの方は止まっているのである。
揺れのせいであることは、この場にいる者達なら、そう推測しても間違いではないし、事実なのだ。
この場に全員がそっちの方へと視線を向けていると―…。
「何、何かが―…。」
ミランは言いながらも、これ、地震ではないということに勘付く。
(地震が二分以上も続くことなんてありえない。それも一回の揺れが続くことは―…。)
と、心の中で思いながら―…。
一回の地震が二分以上続くということはないわけではないだろうが、それでも、珍しい類であり、何回も連続して地震が続くということは十分にあり得るだろう。
そうだとすると、ミランの判断が地震から地震ではないのだろうか、という考えは間違ってはいないのかもしれないが、断定することはできない。
人はすべての物事を知ることはできないし、それができずに滅ぶことになるだけなのだから―…。
そして、ミランの判断が間違っていたかどうかは、未来のある一地点においてはっきりと証明されることであろう。
そう、五分ほどの小地震のような揺れが続いた後、キャラバンのいる方面の目の前で砂漠の砂が噴水のように上へと一気に上昇するのであった。間欠泉が噴き出す、まさに、そのような感じで―…。
地中で動く存在。
昔、青年に助けられたそれは、その両親から可愛がられた。
その両親の愛は、自らが失っていたかの命を生きながらえさせ、過去に人に殺されたそれの両親から与えられた愛と同じように感じられた。
だからこそ、その両親と青年を愛していた。
それは、恋愛感情というものでは決してなく、親子愛や親愛という類のものだ。
だけど、その両親が流行り病で他界すると、村の者達はそれの大きさに恐怖し始め、青年をはじめ、それをも迫害するようになったのだ。
青年は砂漠の中で、飢餓のために命を落とすが、その時の青年の言葉に村の者への恨みはなかったが、それでも、許せなかった。
こんなに自分を愛してくれる人の命を奪う人間を―…。
だからこそ、それは人への復讐へと変化する。
たとえ、誰にも理解されるようなことがなかったとしても―…。
今日も―…。
一方、キャラバンの方―…。
そこでは、護衛を付けずに、イスドラークへと向かっていた。
護衛の依頼を受けてもらう者達は、全員、イスドラークではなく、別の都市への隊商の護衛の方へと行ってしまったのだ。さらに、ラナトールの全体を牛耳っている奴らと繋がっている商会がそっち方面への交易を拡大させたいがために、隊商の数を増やして―…。
そっちの方が報酬が良いのは確かなのだから、自分達のような中小の商会らでは、とてもではないが、払うことはできなかった。
そして、イスドラークの方は不穏な情勢になっているという情報があるが、それでも、日々の稼ぎを得るためには、イスドラークへと商品を運ぶしかない。
自転車操業も良いところであろう。
なので、今回は、護衛なしでのイスドラーク行きへとなったのだ。
このキャラバンの誰もが不安に感じているが、自分達が斡旋ギルドへと護衛依頼を出したとしても、依頼料でギルドに支払う分すら支払えないのだから―…。そこまで、依頼料が高騰しているということである。
危険は顧みるしかない。
だけど―…、ラナトールを出てすぐに、揺れに襲われたのだ。
不運以外の何ものでもない。
自分達がちゃんと護衛を雇わなかったから、神様がこのような罰を―…。
そのように思っていたとしてもおかしくはないだろうが、そうだとしても、行動による不運と判断されるものでしかない。
過去をああだ、こうだ、と判断したとしても、意味はないだろう。
目の前の状況に対処しないといけないのだから―…。
そして、キャラバンの先頭にいるラクダの前で大きな砂が真上に噴き出すのだった。
ゾオーン。
という音をさせながら―…。
見とれるしかなかった。
何が起こったのかは、分かっている。
だけど、完全に理解できず、頭の思考が追いつくものではなかったことである以上、恐怖という感情がキャラバンにいる者達を襲う。
それに飲み込まれてしまえば、正常な判断なんてしようものがない。
ならば、飲み込まれないようにしないといけないが、それができるのであれば、恐怖に対処することは容易であろう。
それが容易でないからこそ、この恐怖というものは脅威でしかないのだ。気づかないうちにやられることなんてザラなのだから―…。
砂の噴火と言ってもおかしくない場所には―………。
人の数倍の大きさをした背が五メートルほどのサソリが一体出現したのである。
モンスター。
この異世界において、ほとんど出現することもない生物であり、どれも狂暴であり、同時に、生き物の言葉を何となくではあるが理解することができる生物のことである。
人は、モンスターが人の言葉を理解できないものであるという認識を抱いているのが大半であるが、それは違う。
彼らは、人の言葉を何となく理解し、人の相棒になることもできる存在なのだ。
そして、このサソリもモンスターと同じ分類なのだ。
「アイビックサソリだ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」
目の前にいた人物は叫ぶ。
その生物の人側が読んでいる名を―…。
そして、誰もがその生物……アイビックサソリへと視線を向ける。
その大きさは彼らを一瞬の間、ひきつけるには十分だ。
そして、同時に、ある効果のようなものを付与するような感じなことも可能だ。
別に状態異常をアイビックサソリ自身ができるわけではない。
アイビックサソリに遭遇した者達の気持ちの中に、勝手に植え込まれ、生えてくるのだ。
恐怖が―…。
そして、更なる叫びが―…。
「出た――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」
別の一人が叫ぶ。
すでに、声を出すことすらできないほどに唇を震わせる者達が多数なのに―…。
そんな状況の中でも、声を出し、周囲に状況を知らせることができる者はいる。
「逃げろ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!」
その声は長く、発した人物の喉がつぶれてしまうのではないかと思われてもおかしくはない。
だけど、この状況をしっかりと知らせないと、皆を危険に遭わせてしまうのは分かっているのだ。
そして、アイビックサソリは声のした方向へと反応し、そこに人がいるのを確認する。
キャラバンだ。
人がいっぱいおり、あの日の復讐のことを思い出す。
そして―…、人への復讐を実行しようとして、襲う。
その攻撃は、鋏状のものをキャラバンのいる方へと向けて、動かす。
人を挟み殺すことも可能であろうし、挟んで切ることもできるであろう。
そのように行動するが―…。
アイビックサソリに衝撃が走る。
そのような衝撃を走らせたのは―…。
「大丈夫ですか!!!」
李章であった。
第146話-14 砂漠へ―… に続く。
誤字・脱字に関しては、気づける範囲で修正もしくは加筆していくと思います。
何とか完全ではありませんが、完全に近いぐらいに体調不良から回復しました。
本当に申し訳ございませんでした。
なので、無理をしないために、『この異世界に救済を』に関しては、暫くの間、投稿をお休みすることになりました。第二部を完結させたことも重なっていたので―…。再開時期は、2025年10月頃となっています。その頃までには、Bパートの部分が仕上がっていると思います。
『水晶』に関しては、急に投稿をお休みする場合があると思いますが、その時は簡単な体調不良の可能性があるとだけ、お伝えいたします。なるべく休む時には事前に言うことにしていますが―…。
なので、無理しない程度に、体調を気づかないながら、執筆していくことになります。
ほとんどいつものペースの投稿になるとは思いますが―…。
さて、『水晶』に関しては、第146話がそろそろ仕上がって、本格的な砂漠の上での話となります。今は、それと並行しておこっているサンバリアでの出来事を書きながら、イスドラークへと突入するためへと話を進めている感じです。
イスドラークは少しだけ長くなると思いますし、いろんな人を登場させないといけない。大変だぁ~。2025~2026年はそんな感じになりそうです。
ということで、皆様も無理しないように、体調には気をつけてください。
では―…。