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水穂戦記  作者: 江川 凛
第7章 東郷の国
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模擬戦 2

 当初話を聞いていた通り、あとは40対40の繰返しであった。

 しかし、それもこちらには信義を中心とした中央突破かあるので、殆ど問題はなかった。

 というのは、相手の方が、俺たちが中央突破でくるのか、包囲戦でくるのか、迷ってしまいどうしたら良いかわからなくなってしまったためだ。


 二戦目がまさにそれで、俺たちに中央突破以外に、包囲戦もあると知ると、その包囲戦にも備えられる様に、ある程度陣を横に敷いたので、当然の如く、中央をきれいに切り裂かせてもらった。


 三戦目は俺たちが二面目を中央突破で勝利したため、明らかに中央突破を警戒した陣形で、縦長にさつまいもの様な形に陣を敷いてきた。

 俺もさすがに、この頃になると班の中に配属されている者の中で、誰が剣術が強いかということも大体分かってきたので、彼らを信義の脇につけた。

 相手の陣は縦長なので基本的に、直接敵に対する人数は少数になる。

 こちらは信義を含め、三名程度で相手の進軍を抑えることができたので、そのまま包囲戦を展開して容易に勝つことができた。


 四戦目は明らかに中央突破を警戒しつつ、包囲戦にも対抗できるように、相手は三角形の陣を敷いてきた。

 やろうとしていることは理解できる。

 おそらくこれまでの戦いから言えば、多分この陣が一番理想的かもしれない。

 しかし、これを破るのは難しくない。こちらも三角形の陣を敷いてしまえばよいだけだ。

 こうなれば、先頭に布陣されたものの戦闘能力だけで勝敗が決するわけだから、負けるはずがない。

 当然のように4連勝を飾った。


 東郷領主は、そんな俺たちの模擬戦を興味深そうに眺めていた。

 俺たちの班の者は、連勝に沸いている。しかし、困ったことが起きているが起きているのは俺の目には明確だった。

 あまりにも信義を多用しているため、彼が疲れてきってしまっているのだ。

 さすがに他人には疲れていることがわかるようなそぶりは見せていないが、一緒に剣の練習をした俺にはわかる。

 あれほど疲れてっている彼を見るのは、はじめてだ。


 さて、もうこれまでのような信義を中心とした戦法は使えないからどうしようかと思っていたら、教師が領主に呼ばれている。

 何かあったのかと思っていると、教師が俺のところにやってきて、「このまま40対40でやっていても時間の無駄だから、最後に80対80をして終わりにしたいと思うがどうか?」と言ってきた。

 信義が使えない以上、俺に断る選択肢はなかったので、これを受け入れた。


 模擬戦が始まるまで、しばらく時間が与えられ、班の再編成と、どのような陣をつくるかを相談することとなった。

 敵は、信義が使い物にならないことを知らないだろうから、おそらく今回をも俺たちが中央突破を狙ってくると思っているだろう。

 そうなると間違いなく中央にはそれなりの数を敷いてくる。ただ、三角陣は既に破られているから、どうくるか考えなくてはならない。


 これまでは40人ほどだったので、ある程度途中から陣を変えることも可能だった。

 しかし、80人となれば、途中で陣を変えるのは困難だから、おそらく最初の陣の形が勝敗を決めることになろう。

 ま、所詮は模擬戦と割り切って負けてもどうなるものでもないと考えれば、それほど難しいことはない。

 腹を決めて、陣形の指示を出し、模擬戦に臨む。


 敵は方陣(正方形のような陣)を敷いてきた。

 ある意味予想どおりだった。俺たちは包囲戦用の陣を敷いていた。

 そのまま相手を取り囲んで戦力を削っていく。相手は密集陣で、中央部にも兵力を温存している形となるため、外で直接戦闘に携われる人数は俺たちより少ない。

 結果としては、俺たちは連戦の疲れもあり、かなりの消耗戦となってしまったが、陣形の関係で、何とか自分たちより少数の兵を相手にすることが可能であったため、勝つことができた。


 俺が安堵の大きな息をついていると、領主がいつの間にか俺の脇にきており、「見事だった。」とほめてくれた。

 「信義のおかげです。」と答えると、何か考えるような顔をして、そのまま黙り込んでしまった。

 そして、「以前依頼しておいた東郷の学校制度の感想が聞きたい。」と言われた。

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