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私は完璧令嬢ですが、婚約者のポンコツ王子のせいで上手くいきません!  作者: 砂糖未満


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15:完璧令嬢と使用人



 またある日、私は使用人たちについて報告を受けていた。

 そこで知ったのは、使用人にも色々な人間がいるということだった。


 

 装飾品を横領するメイド。

 後輩いびりが趣味の侍女。

 主人の悪口を陰で囁き、仕事まで怠る使用人。


 

 ……どうやら、随分と問題があるらしい。

 まず、装飾品を横領していたメイドを呼び出した。

 


「申し訳ありません! どうかお許しください!」


 

 彼女は私の前でわざとらしく泣き崩れた。

 


「安心なさい」

「リーリエ様……!」

「泣けば許されるなら、法など必要ありませんもの」

 


 私は微笑みながら、盗まれた品の一覧を机に置いた。

 横領した品の代金を返還するよう命じ、正式な手続きを進めたうえで解雇する。返済についても、然るべき手段を取らせていただく。

 


 今後の生活が苦しくなるのは自業自得だ。

 人様の財産を盗んでおいて、何の責任も負わずに済むと思わないでいただきたい。


 

 次に、後輩を執拗に虐めていた侍女。

 こちらには、少々違う対応をすることにした。


 

 彼女が後輩に押しつけていた雑用を、今度は彼女自身にすべて担当させた。些細な失敗を大勢の前で責め立てていたと聞けば、彼女自身の仕事ぶりも周囲に確認してもらう。


 

 もちろん、正当な指導まで否定するつもりはない。だが、相手を泣かせることが目的なら話は別だ。

 


「どうして私がこんな目に……!」

「ご自分が後輩に何をしていたのか、もうお忘れになったのかしら?」

 


 私は首を傾げた。

 


「人は、自分がされて嫌なことを他人にしてはいけないと学ぶものですわ。今からでも覚えておきなさいな」


 

 彼女は反省するどころか、周囲に不満をぶつけ続けた。

 結局、態度を改める見込みがないと判断され、解雇となった。


 

 主人の悪口を言うだけの者まで追い出すつもりはない。陰口くらい、誰でも叩くものだ。

 けれど、仕事を怠り、他の使用人を巻き込んで職場を乱すのであれば、容赦する理由はない。

 


 私は証拠を集め、問題のある者を一人ずつ処分していった。

 さらに、性格に難のある令嬢たちについては、社交の場で事実を伝えることもあった。


 

 高位貴族のもとへ奉公に出る令嬢は多い。

 表向きは花嫁修業だが、本音は箔付けと良縁探し。名家で働いたという経歴は、結婚相手を探す際にも有利になるらしい。


 

 だからこそ、奉公先での振る舞いは重要だ。


 

「そういえば、あの方は後輩の侍女を随分と虐めていたそうですわ」

「まあ、本当ですの?」

「ええ。真面目に働く方々が気の毒で、私も困ってしまいましたの」

 


 私は悲しげに眉を下げた。

 もちろん、嘘をつくつもりはない。実際にあったことを、必要な方々へお伝えしているだけだ。


 

 やがて噂は広まり、彼女たちは良縁にも恵まれにくくなったという。

 


 賢い令息たちは、公爵令嬢であり未来の王妃である私から問題があると判断された令嬢を隣に置くことが、社交上のリスクになると理解しているのだろう。

 


 私の一言で縁談が消えるのだから、日頃の行いとは大切なものね。

 彼女たちにとっても、良い勉強になったことでしょう。


 

 そうして問題のある使用人を解雇し、真面目で優秀な人材を補充していくうちに、職場は随分と過ごしやすくなった。


 

 盗難はなくなり、侍女同士の揉め事も激減した。

 以前は怯えた様子だった使用人たちも、安心して働けるようになったらしい。

 自分の身の回りが綺麗になっていくのは、実に気持ちがいい。


 

 人も部屋も、定期的なお掃除が大切なのである。

 忠誠心のない使用人も、部屋に溜まった埃も同じこと。見つけ次第、綺麗に掃除してしまえばいいのだ。

 


 

 そんな風に平和な日々を送っていたある日。

 どうやら、私の武勇伝が両親の耳にまで入ってしまったらしい。


 

「リーリエ、少し話がある」


 お父様に呼び出された私は、首を傾げた。



 いったい何かしら。お兄様とは仲良く遊び、家庭教師も教育し、使用人たちも以前より快適に働けている。問題は解決し、むしろ褒められてもいいくらいだと思うのだけれど。


 

 ……まさか、お掃除の仕方に問題でもあったのかしら?


 

 私はいつも通りの微笑みを浮かべ、両親の待つ部屋へと向かった。

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