表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
人喰い魔女の拾い物  作者: sino.
8/8

欲しかったものは栄養ではなかったのだ

「エリー、寂しいから一緒に寝ようね。」

その夜、いつも他の部屋で寝ていたギルが、枕を持って私の寝室に侵入して来た。

やはりギルは物分かりがいいわけがないんだ。分かったとは、そういうことだったのか。

「もちろん、断らないよね?エリー。」

断れないことは、入って来た時の顔から分かっていた。

私は一体、どこで育て方を間違えたのだろうか。



「まま、早くこの本読んで!」

私の膝に乗るのは、4歳になったばかりの可愛い息子である。

私によく似た黒髪に、奴によく似た琥珀色の瞳。

「こら、必要以上にままに触るな。ままは僕のだからね。ほら、おいでエリー。」

息子にさえ嫉妬するこの器量の狭い男、ギルの言うことは、絶対である。

おいでとは、ギルの膝の上か。全く、息子の前で何をやらせるんだ。

仕方なく、そこに座る。絵本を持ったまま。

「エリー、どうしてそっちを向くの?こっちを向いて座って。」

なんて事をさせるんだ。教育上良くないと思う。

「よくできました、可愛い僕のエリー、愛してるよ。」

こんな雰囲気は、教育上よくない。

「エリーは?」

有無を言わせないような瞳で見なくても、もうとっくに私は諦めてしまった。

「…愛してるよ、ギル。世界で一番だ。」

自分の気持ちに、目を逸らし続ける事を。

きっと私は、最初からこいつに絆されていたんだ。

「エリー!愛してる。僕の方こそ、愛してる!!」

急に上がったテンションに、私は溜息をつく。

無駄な事を言ってしまった。今夜はきっと、寝られない。

どこで間違えたんだ。

きっと、最初からだったんだ。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ