ばあちゃん
読んで戴けたら嬉しいです。(人´▽`*)♪
辺りは既に薄暗くなっていた。
無事月里村に着いたが、ばあちゃんの家は村の停留所から五キロ先にあった。
それを夜戯に言うと、夜戯は急にボクを抱き上げた。
ボクは慌てて言った。
「何するの?! 」
「紗月の歩調に合わせていたら、陽が暮れてしまう
ソレガシが走れば五キロなど、あっと言う間だ」
言われて見ればそうたなって思う。
今朝アイツ等に出くわして走った時、彼女は加減して走ってくれた。
それでもボクの身体にはキツくて、気付いた夜戯はボクを抱き上げて走ってくれた。
多分夜戯には解るんだろう。
今ボクがとても疲れていて、酷く身体が怠い事、そして背中が重くて、とても痛い事··············。
とても見栄と意地だけで五キロの道のりは乗り切れないと思ったから、夜戯に従うことにした。
夜戯に抱き上げられて、ボクはあることに気付いてしまった。
「ちょっと待って、夜戯············」
「ん? 」
「この体勢はちょっと·············」
「なんの事だ? 」
「当たるんだ········その·······胸が············」
夜戯は思わず顔を逸らしてボクを落とした。
当然ボクは落ちて強か尻を打った。
メチャクチャ背中に響いて息ができないくらい痛い。
それでも男の子だから、好きな娘の前で必死にカッコつけてしまう。
今更と云う気もするけど。
ボクはなんでも無いと云う顔で言う。
「酷いよお、急に落とすなんてえ」
夜戯は無言でボクの前に背を向けて屈んだ。
おんぶしてくれると云う事みたいだ。
「ありがとう··········」
ボクは夜戯の背中に掴まった。
夜戯の背中にしがみつきながら、堪え難い怠さと痛みに顔が歪む。
気を紛らそうと山々が暮れて暗闇に沈んで行くさまを揺れながら見ていた。
やっぱり好きな娘におんぶられるのはちょっと、いや、かなり屈辱だ。
途中、ばあちゃんの果樹園が暗く沈んでいるのを見た。
子供の頃、よくここで迷子になってばあちゃんに見付けて貰ったのを思い出す。
「着いたぞ」
夜戯はそっとボクを背中から下ろしてくれる。
見慣れた玄関が常夜灯に照らされている。
呼び鈴を鳴らすと聞き慣れた声が聞こえてドアが開いた。
ボクを見たばあちゃんはみるみる目を大きく見開いて、笑顔になった。
「紗月!
どうしたの?!
まあお入りなさい、一人で来たの? 」
「いや、一人じゃないんだ」
ボクは夜戯が見えるように、ドアの端に身体を寄せた。
夜戯を見たばあちゃんは目を丸くして言った。
「彼女連れ?
紗月も隅に置けないね」
そう言ってボクの肩を軽く小突いた。
それにしても、ばあちゃんは相変わらずのようだ。
銀髪のストレート、どっかのバンドのロゴ入りTシャツに皮パンツ、もう四十年若かったら立派なバンギャ(バンドギャル)だ。
因みにばあちゃんは七十近い。
さすがの夜戯もその出で立ちに面食らって、思い出したように小さくお辞儀した。
「相変わらずバンドばばあだね」
ばあちゃんは口を尖らせて言う。
「ちゃんとバンギャとお言い
夕食まだだろう?
来るなら来るって言ってくれたら、色々用意したのにぃ
父さんと母さんは元気? 」
ばあちゃんは茶の間に散らばった新聞や雑誌なんかを片付けながら、止めどない質問を繰り返してキッチンに消えた。
振り返ると合理的な夜戯は臆することなく家に上がり込んでいた。
夜戯は笑っているつもりの、不自然な歪めた顔で言った。
「派手なばあちゃんだな」
「驚くのはまだ早いよ」
ボクは奥の部屋の襖を開けた。
そこには大量のヴィジュアル系バンドの雑誌が本棚やラックに収められている。
壁には処狭しとお化粧してドレスアップした見知らぬバンドのポスターが、そしてガラスケースにはフィギュアが············。
ばあちゃん曰く、この部屋はばあちゃんの聖域だそうだ。
このばあちゃんの趣味のせいでボクはどれだけ酷い目に遭ったことか。
「こら!
人の聖域に勝手に入りよって!」
そう言いながらばあちゃんは笑っていた。
でもボクを見てその笑顔が曇る。
「紗月、随分顔色が悪いね
具合でも悪いの? 」
さすが伊達に半世紀以上生きてないな。
ボクはそれまで張りつめていた緊張か急に解けてしまった。
一瞬で暗闇に落ちる。
ボクは堪え切れずに気を失ったようだ。
読んで戴き有り難うございます❗゜+.゜(´▽`人)゜+.゜
Dexcore の曲に「Earthworm」(みみず)って曲があるんですよ。
その歌詞に♪穢ねえミミズ見えない処で死んでく♪ってデスヴォで歌ってるのんですが、私最初♪穢ねえミミズ見えない処で死んでくれ♪って歌ってるって思ってたんですよね。
皆様見たこと無いですか❔
雨が降るとミミズがアスファルトの上で潰れて死んでたりするの。
私はそれを歌ってるのかな、って思ってたんですけど、名古屋ここよりは凄く都会だから、ミミズが雨の日にアスファルトで死んでる光景なんて、見ること無いですよね。笑笑




