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ガーデン

 読んで戴けたら嬉しいです。(人´▽`*)♪

 ボクは慌てて服を着ると開かれていたパソコンを覗いた後、リュックを掴んで外へと飛び出して行った。


 当然彼女の姿は見あたら無い。


 辺りは薄明かるくなっていた。


 静寂に固まってしまった住宅街をボクは彼女を追い求めて走り出した。


 五分と経たない内に、シャワー浴びたての身体は汗だくになった。


 行く処は解っている。


 パソコンに残された画面は一軒の邸宅を映していた。


 おそらくそこは彼女の住んでいた家だろう。


 ボクは死にもの狂いで走る。


 彼女は時を止められていたから、記憶されていないかもしれない。


 だけどボクには彼女との想い出が在った。


 雨の日だろうと風の日だろうとボクは思い付くと彼女に逢いに行った。


 そして下らない話から愚痴まで色んな事を話して来た。


 入試が受かった時も真っ先に彼女に報告に行った。


 彼女は何を言おうと応えてはくれなかったが、それでもボクは彼女に逢えるだけで幸福だった。


 時々、通行する人に奇異な目で見られたけど、そるでも恋と云う魔法は外界を遮断するには充分だった。


 人にはこの恋は奇異に映るかもしれない。


 でも最期を目の前にしたボクにとってこの恋は総てだ。


 住宅街を抜けた角を曲がり、少し広い道路に出た時、信号が在る十字路に彼女の姿を認めた。


 細身の見るからに俊敏そうな黒服の男達に周りを囲まれている。


 恐らく彼女を捕えようとしている組織の連中だろう。


 この時ボクは初めて女神が何者かに狙われていることをはっきり認識した。


 それまで掴み処が無くて実感が湧かなかった。


 彼女は男達に囲まれていると言うのに、相変わらず冷静そのものの表情で奴らの出方を待っているように見える。


 奴らは大きな円柱形の銃を持って彼女を狙っていた。


 テレビで反乱を起こしたアンドロイドを映した映像で見たことが在る。

 

 高圧電流で彼女をショートさせる気だ。


 多分あいつらは彼女がAIでできていると思っているに違いない。


 男の一人が言う。


「大人しく付いて来れば何もする気は無い」


「ソレガシに何をさせる気か? 」


「そんな事は俺たちを雇った奴に直接訊いてくれ」


「拒否すると言ったら? 」


 男達は銃を目の高さまで上げて彼女に狙いを定める。


「捕獲させて貰う」


 ボクは考える間も無く、叫びながら男達に突進して行った。


 男達はこっちに注目する。

 

 走っている途中、ボクは彼女を盗み見た。


 彼女はボクを認めると落ち着き払って男達に視線を向け、手を軽く上げた。


 次の瞬間、男たちは皆崩れるようにして地面に倒れて行った。


 これも彼女の28%解放された脳の破壊力なのだと解った。


 ボクも急に目の前が真っ暗になり、意識が遠退いた。


 なんで?


 なんでボクまで··········。




 どれくらい経ったのか目を覚ますとボクは見たこともない室内に居た。


 部屋は荒れ果てていて、家具や衣類が散乱していた。


 カーテンや散らばる衣類で女性の部屋だった事がなんとなく解る。


 ボクはベッドの枕元に置いてあったリュックを背負った。


 破れたカーテンが垂れ下がる窓を見るとすっかり明るくなっていて四角い青空が見える。


 近付いてみるとここは二階で、窓の下には広い荒れ果てた庭園が拡がっていた。


 踊る彼女が見える。


 雑草の茂る花壇に忘れられた薔薇が思い出したようにひとつふたつ花を咲かせている。


 それらを慈しむように、綺麗な弧を描いてターンを繰り返す彼女はまるで音楽が聴こえているように優雅に舞った。


 とても機械の身体とは思えないしなやかな動きは、ダンサーの様に堂にいっていて、ボクはこの美しさにある種感動を覚えた。


 多分、彼女は人間だった時、ダンスを習っていたのだと思う。


 おそらくここは彼女が暮らしていた家だろう。


 この庭、パソコンの画面に映っていた。


 多分彼女は今想い出と踊っているのだろう。


 彼女にとってここは想い出深い場所だろうから。


 ボクは視線を室内に移し部屋を見回した。


 きっとこの部屋は彼女の部屋だったのだろう。


 街の不良たちが荒らして行ったのだろう、廊下にもゴミゴミと物が散乱していた。


 どれほどの時を放置されていたのだろう。


 階段を降りると広いリビングに出た。


 乱雑に荒らされ、かつての面影は無い。


 彼女はこの光景をどんな想いで眺めたのだろう。


 彼女の記憶では居心地のいい部屋だったのに違いない。


 時が止められていた彼女にとって、目覚めたらいきなり自分の家が廃屋になっていた事になる。


 父と云う人ももうこの世には居ないだろう。


 胸が痛む。




 読んで下さり有り難うございます❗(o´▽`o)ノ


 さっきHydeさんの「ケイプ オブ ストーム」と云う曲を聴いていたのですが、この曲聴く度に映画「下弦の月」が観たくなるんですよね。

 Hyde さんの役処は病気で死んだ恋人の後を追って自殺し、生まれ変わった恋人を19年後に迎えに行く孤独な男。

 ロマンティックですよね。゜+.゜(´▽`人)゜+.゜

 もう何回観たか解らないです。

 本当に魅力的な映画だと私は思うんです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] スカーレット・ヨハンソンの映画『LUCY』を彷彿させるシーンを読んで、やはりSFはこうでなければ!と思いました。 女神さんがカッコいいです(⋈◍>◡<◍)。✧♡
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