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28%

 読んで戴きましたら嬉しいです。(人´▽`*)♪

 彼女は時間にして十秒くらいボクを見詰めて言った。


「確かにオヌシは致命的な病に侵されているようだ」


 ボクの告白は無視された。


 負けるな、自分!


 ボクは言った。


「向こうはアナタ一人で行動していると思っている筈だ

 二人連れなら目眩ましになる」


 最大のセールスポイントで攻めてみる。


 彼女は食卓の椅子の背凭れを持つとくるりと半回転させてそこに腰掛けた。


「オヌシはそれほどソレガシを愛しいと思っているのか? 」


 ボクは急に恥ずかしくなって、俯き加減で大きく頷いて下を向いた。


 上目遣いで覗き見るとさすがアンドロイド、無表情で話し始めた。


「ソレガシの父は優れたサイエンティストだった 

 ソレガシもオヌシと同様当時では不治とされている病に侵されていた」


 ボクはソファに腰を下ろして彼女の話を聞き入った。


「父はずっと研究し続けていたこの身体にソレガシの脳を移植する事に成功した」


 あまりの衝撃的な話にボクは思い切り顔を上げた。


「ちょっと待って!

 じゃあアナタの脳はAIじゃなくてその科学者さんの娘さんの生身の脳ってこと? 」


「いかにも··········

 だからソレガシはアンドロイドと言うよりトランスヒューマノイドに近い存在だろう」


 質問したいことが幾つか浮かんだが、取り敢えず彼女の話を最後まで聞こうと思ってボクは沈黙した。


 彼女は話を続けた。


「生身のソレガシにサイバーウィルスは効果が無い

 狂ったアンドロイドたちを静止できたのはソレガシの脳が28%覚醒していたからだ

 ある日雷に打たれてソレガシの脳は28%機能するようになった」


「28%·············?! 」


 一般的に人間は脳の7%程度しか機能させていないと言う。


 28%も能力を解放した脳の可能性は計りしれない。


 ボクの驚きを無視して彼女は続ける。


「しかし、世界総てのアンドロイドを停止させた時からソレガシの脳は急速に退化し始めた

 父はそれを止める為、【月の時】と言う樹木の花から抽出した液体に閉じ込めソレガシの時を止めた」


 月の時、聞いたことがある。

 

 月から持ち帰った土から生えた樹木で、その花には時を止める力があると言う········。


「月の住人によってソレガシの時は再び進み始めた

 ソレガシの脳はやがて子供に返り赤ん坊の様になって死に至る


 だが、あ奴らはそれを知らない

 ソレガシのこの身を手に入れ、奴らの望みが叶わない事を知ったとしても、この身体の存在を悪用するやもしれぬ

 

 ソレガシはそうなる前にこの身体を消滅させて、阻止せねばならない 

 その為に月の住人はソレガシを解放したのだ」


「消滅させるって、死ぬこと? 」


「そうだ」


「他に方法は無いの?! 」


「無い·········

 所詮死ぬ運命、足掻いても仕方あるまい」


「そんな!!

 アナタはそれでいいと言うの?! 」


 ボクは思わず、立ち上がっていた。


 彼女は顔色ひとつ変えずに言った。


「死への恐怖に怯えるより、世界の秩序を守る事が重要と考える方が合理的ではないか? 」


「合理的って········」


「雷に打たれてから、ソレガシは感情と云う物が欠落してしまった

 オヌシはソレガシを愛しいと感じてくれている様だが、一緒に行動したとしても、オヌシの気持ちに応える事はできないだろう」


 ボクは力無くソファにへたり込んだ。


 とてつも無く絶望的な事を言ってくれる·······。


 彼女が話してくれたのは、彼女の願いに協力したボクへの、彼女なりの礼儀なのだろう。


 だが、やっと意思の疎通ができる様になったのに、酷い現状にボクは言葉を失った。


 まるで奈落の底に叩き落とされた気分だ。


 彼女は徐に立ち上がると、椅子を元に戻して部屋を出て行こうとした。


 ボクはリュックを持って立ち上がった。


「それでもボクはアナタと行く!

 決して足手まといにはならないと誓うよ! 」


 彼女は振り返らずに言った。


「好きにするがよかろう」


 あんまり彼女がすんなりと承諾したので、ボクは念を押した。


「本当に、付いて行っていいの? 」


 彼女は、向きを変えてボクに正面を向けた。


「オヌシの強い意志の前には致し方なかろう········」


「じゃあさ、ちょっとだけ待ってくれる?

 ボクもこの匂いをどうにかしないと·········」


 部屋の出入口の傍に居た彼女はボクが座っていたソファまで来るとそこに座って言った。


「ソレガシはここでこうして待っている故、シャワーを浴びて来るがよかろう」


 ボクは彼女の肩に念を籠めるようにして手を置いた。


「ちゃんと待っていて

 勝手にどっかへ行ったりしないで」


 彼女はボクの目を見て言った。


「解っておる故、早く浴びて参れ」


 ボクはバスルームへ急いで行き、シャワーを浴びた。


 浴びてる間、気が気ではなくて何度か彼女に声を掛ける。


「ソレガシはちゃんとここにおる! 」


 と云う返事が返って来て安堵するが、どうにも落ち着かなくて手早く全身を洗うとリビングになだれ込んだ。


 そして、そこに彼女の姿は無かった··············。








 読んで戴き有り難うございます❗(o´▽`o)ノ


 私は常々ヴィジュアル系ロックやるって、普通にロックやってより大変だなあ、と思うのですよ。

 格好がアレで、演奏が下手だったり曲がコンセプトに外れてたりダサかったりしたら、凄く恥ずかしいじゃないですか。

 いや、そうゆうバンドも居るんですけどね。(ー_ー;)

 DIAURAなんかは第一線で頑張ってますが、曲いいし、音いいし、それを保ってイメージに合ったカッコよさを保ってるって凄くないですか。

 ヴィジュアル系って体毛、日焼けNGでそうした処にもしっかり気を使って、お金掛けてたりするんですよね。

 ロックってカッコいい音楽な訳で、カッコよくいるって凄く努力いると思うんですよね。

 ヴィジュアル系って歌舞伎のお国ならではの文化だと思うんです。

 今絶滅危惧種と言われてますが、頑張って欲しいです。

 

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― 新着の感想 ―
[一言] どこに消えてしまったのでしょうか… SF的な美しさが最高です!
2022/12/20 19:04 退会済み
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