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呼応  作者: はじめ


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子供の頃、母は夜中にドライブと言って私を連れ出すことがあった

母はドライブの途中で知人宅の前で車を停め、ちょっと待っててと言って知人宅へ向かう

私はお気に入りの曲を集めたカセットテープを聴いて待つ

田舎の夜は暗く、車のフロントガラスごしに見上げる空には無数の星が見えた

時には真っ白い満月が田舎の畦道を電灯のように明るく照らしていることも

その頃流行りのオルタナティブは狭い車の中から見上げる星空によく似合っていた

私はその時間がとても好きだった

長い世間話を終えた母が戻ってくる気配を酷く残念に思っていた

子供のときにはわからなかったことだ

真っ暗な車の中の音楽と夜空が美しく心地よい時間であった

それが疑いようもなければないほど私が込み上げるのは無理のないことだろう?

長い世間話が多い母のことだからいつも長い世間話と疑いもしなかった

父も私と似た性分で疑いもしていなかったろう母親と子供が時々ただのドライブに行くことを

そろそろ吐いてもいいかな

大人になってわかるようになってそれでも吐く手前で留まれているのは

それもやはりあの一人の時間は疑いようもなく美しく

私が吐こうが吐くまいがそれは絶対に変わらないのだという事実それだけだ


ぐわぁと叫びたいような夜である

書店に行って美術書の上にレモンを置いてこようか

その後レストランへ行ってトチメンボーを注文して

二十億光年に思いを馳せてくしゃみをする

なにものも無かりき宇宙の開闢にだって思い至るし

月夜の浜辺へ行ってボタンも探す

最後はやっぱりD51に乗って讃美歌306番(320番)を聴きながら石炭袋に潜り込もう

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