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鉱山都市ランテル


 鉱山都市ランテル、ここで生産される鉱石を用いた加工品は品質が高く、交易都市として栄えていた。特に魔力に関した様々な性質を持つ鉱石が産出する周辺の地域特性から、魔法具と呼ばれるアイテムが発達し、人々を豊かに発展させていた。

 ランテル産の魔法具と言えば、他所の国では高く取引されており、これを専門に交易している商人も数多くいる程である。


 それらは奴隷による鉱山労働に支えられており、また都市の価値を上げている商工会により支配されていた。


 ◇◇◇  


 ユリウスとヴィクトリアは鉱山都市ランテルにいた。

 ヴィクトリアの転移の魔法により、鉱山都市の人目のつかない近郊の森へと転移したやってきたユリウス達は、ランテル内を散策していた。


 「ここが鉱山都市ランテルかぁ。一度来てみたかったんだよなぁ~。すごく発展してるね」


 そう声を漏らすユリウスは、ランテルに訪れたことがなかった。

 もともとユリウスが暮らしていた都市(グノシエンヌと呼ばれる)からは馬車で十日ほどの距離が離れており、さらにランテルは豊かな都市で知られているため、ユリウスの安月給では、おとずれることができなかった。


 ユリウスは、人の数に圧倒された。誰もが上質の衣服を着こみ、メインストリートは華やかさを気もし出している。店の看板は目を引く意匠を施されており、ありていに言えば活気に満ちていた。


 「留守にしていた数千年で、人類はとても発展したのね。こんなにもたくさんの人々が楽しそうに行きかう所なんて見たことがなかったわ」


 そう相槌を打つのは、地味な恰好をしたヴィクトリアである。そうやって周りを見渡すと、ヴィクトリアはとある店に目を奪われた。大通りに構えられた魔法具店で、『サンセ魔法具店』と看板が立っている。


 「アレは魔法具店だね。産出した鉱石を使って、便利な魔法具を売っているんだ。見ていくかい?」


 「えぇ、是非見てみたいわ! 魔女として新しい魔道具にはとても興味があります。早く行きましょう」


 ヴィクトリアはそういって一目散に魔法具店へかけていった。ユリウスは、ヴィクトリアがそうったものが好きなんだなぁと若干呆れながらも、ヴィクトリアの後ろを追いかけるのだった。


 ◇◇◇


 魔法具店の中は、豪華な装飾がなされ、キラキラと輝いていた。

 多くの人々が、木棚に置かれている魔道具を手に取っていた。


 ユリウスは眩暈がした。魔法具店は基本的に富裕層のための店で、魔道具は高価であった。そのほとんどが使い捨てのものであり、暮らしに余裕があるものでなければ買い求めれることができないからだ。


 特に人気なのは、火を起こすための魔道具であり、誰でも簡単に火を起こすことができるようになる。杖の形をしていて、杖にほんの少しの魔力を通すと、杖の先に取り付けられた鉱石より火がでるものだ。

 勿論魔法を使えば火はつくし、火の魔法は誰でも使える簡単な魔法なので、生活に必要不可欠な魔道具ではない。しかしながら、気軽にどこでも簡単に火がつけれる魔道具は慣れてしまうと、中々離れがたいものらしい。


 「これが魔道具ね。面白いことを考えるわね」


 ヴィクトリアは杖を持ち、少しの魔力を込めた。杖の先からは大きな火が飛び出て、天井を焦がす程の火柱といって差支えがない。周囲の客からは小さな悲鳴と動揺が見られる。ユリウスもその様子に驚き、尻餅をついてしまった。ヴィクトリアが持っている魔道具は、本来はそのような大きな火がでることはない。ヴィクトリアの魔力があまりに大きかったのかもしれないとユリウスは推察した。

 ヴィクトリアはすぐに火を止め、手を口元に持って小さく笑った。


 「あらら。驚かしちゃってごめんなさいね」


 ヴィクトリアが尻餅をついたユリウスに対して手を伸ばそうとした時、怒声が飛んだ。


 「何事だ! 火事か! お客様、お怪我はありませんか?」


 燕尾色のタキシードを着た老人が、ヴィクトリアの目の前に立っていた。


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