第六話□ 兄と俺と妹
自宅で自らの歴史を振り返る村山。
木曜日に行われていた入学式。残念ながら参加できなかったので先生に目を付けられる。
金曜日、オリエンテーションを兼ねたホームルームと教科書の配布。それと部活動見学で下着を見た。ついでに武藤という仲間ができた。
休日の昼下がり、入学式を終えた俺にちょっかいを出すためか、寂しくなったのか兄が帰ってきていた。ダイニングにて俺はミカンを食いながらテレビを見ていると、兄が話しかけてきた。
「はぁ…」
自分の過去を振り返って(いままでの過去は無しとして高校からの話ね)ため息をついちゃう俺様。
「弟よ、何をため息をつく?」
それを見て問いを投げかけてくる兄。ちなみに兄はいつもこんな口ぶりだ。
「それはこれからの高校生活に対し、悪い予感しか感じ得られないため」
「そして、それを直すために篤志は何をする?」
「努力」
「勇気」
「「勝利!!!」」
「うっせーよ!」
リビングにてのんびりテレビを見ていた妹が俺達に怒鳴ってくる。母はお前をそんな風に育てた覚えはないそうだぞ。
「まあいいではないか妹よ。兄のめでたい入学式なんだぞ? 中学校から兄が消えてさぞかしうれしいだろう」
こらあんた。それは俺に対する文句かね?
「…バカアニキが居なくなって清々したわ!」
「そんなこと言うと勉強教えないぞ」
分からないことを一回鼻で笑ったら鼻を殴られたことがあったしな。これから独り立ちをする良い機会だ。
「それだけは止めて!」
妹はこの一言にだけは弱い。
「ッフ」
その反応に鼻で笑ったらいきなり妹が立ち上がり、一気に間合いを詰めてかかってきた。運動能力は一流なんだけどな。少しブレインがウィークなところがプロブレム。
「このクソ兄貴!!!」
バカアニキを昇進しました。そして、鉄拳が飛んでくる。オフウッ…。
「ハッハッハッハ。お前達はいつも仲が良いな」
兄がケラケラ笑っている。こっちは鼻が痛くて涙流してるんだけどな!
「なんでこいつと私が仲が良いのよ!」
妹が俺を指さしながら兄に怒鳴る。人を指さしちゃいけないって親に教わらなかったのか? おい俺の親!
「いやだってね、世間では結構妹と兄との仲が希薄になってくる世帯が多い。しかしお前達は今でもそんなにコミュニケーションを交わしている。それは実に素晴らしいことだ」
「なんで素晴らしいのよ! 大体こいつがいつもちょっかい出してくるからいけないのよ! いけないのはこいつ!」
「そのころ妹は心で…(いつも寂しいのよ! お兄ちゃんも最近はかまってくれなくなってきたし…)ゴフゥッ!?」
いってえ! 心の声らしき理想をやってみたがやっぱり殴られるよな。
「やっぱり仲が良いじゃん」
さらに腹を抱えながら笑う兄。
「…もういいもん!!」
あらら、ドアを開けて出て行っちゃったよ。
「…アフターケアは?」
兄が問いを投げかけてくる。
「無し」
俺はきっぱりと答えてやった。




