1.かつての英雄達と復活の邪神
2話まではできてます
もうどれほどの時が過ぎたであろうか。
儂はかつて仲間たちと共に魔王討伐、果ては邪神の封印までしたあるパーティで魔法剣士をしていた。
正直魔王や邪神などはどうでもよく、ただ己の実力を試して、もっと強い相手と戦い、もっと強くなりたい。
そんな気持ちで4人で冒険をしていたらいつしか邪神を封印出来てしまった。
封印してしまうともう戦う相手もおらず暇になってしまうとその時は本気で思っていた。
ただ現実は甘くなかった。世間では儂のことを英雄様と呼びもてはやしおる。更には時の王が侯爵位を取らせようとするものだから困ったものだ。
所詮わしらは田舎村出身の田舎者、そんな奴らに領地を与えられても何も出来ない。じゃからワシらは平穏を望んだ。
元来もてはやされるのは好きな質ではなかったのもあるが、皆それぞれの道を極めたいと思う言うなれば探求者としての気質があった。
まぁ盗賊の奴は渋ってはいたが。
しかし、現実は甘くない。
どこに行っても英雄様、英雄様と言われるのだから困る。
いい加減疲れきっておった所に神様がご降臨なされた。
なんでも神様がわしらの活躍を見ていてくださり、疲れきっておる状況を哀れんで下さったらしい。
そこで儂らはそれぞれ、孤島、山脈、密林、天空城とそれぞれ普通には人が来れないところに棲むことにした。
神はそこでいつまでも平穏に暮らすといいと言って下さった。
儂らはそこに住むにあたり、儂らだけが使える念話の魔道具と転移の魔道具を魔導師のやつに作ってもらいそれぞれが選んだ地へと旅立った。
初めの70年は時折お互い連絡し合ったりそれぞれの行った地に遊びに行ったりしておった。
異変に気づいたのは齢100を迎えた辺りで、何故か体が衰えない。いや、年相応に皺だらけにはなったが普通100を迎える人なぞいない。
そこで気づいた。神様が言った言葉の真意に気づいた。
『いつまでも』それは死ぬまで暮らせということではなく死なずにそれこそ永遠にいつまでも生きよ。
今となってはもう遅いが神様からの贈り物はそういう事だったのだろう。
それに皆が気づいてからの人生は長く永く退屈であった。
皆とも連絡を取らなくなってしばらくたった頃、昔感じた気配がした。
今となっては懐かしい、皆と冒険していた頃はいつもあった禍々しい気配。恐らく邪神が復活したのであろう。
皆もその気配に気づいたのであろう。久方ぶりに4人で集まろうという話になり、儂は魔導師の棲む密林の地下書庫に転移陣で向かった。
目がくらむような光は老体にはこたえる。光が納まった時そこにはもうほかの3人は来ていた。
「おう、魔法剣士!相変わらずか?」
「相変わらず来るのが遅いのぉ剣士の」
「急な呼びかけ来てくれてありがたい魔法剣士殿」
それぞれ盗賊、魔導師、モンクの3人、いや今はそれぞれ英雄譚では盗賊王、大賢者、最英霊じゃったか。
かくゆうワシも魔剣老師という仰々しい名がついてはいるがやはりワシらは昔の呼び方のがしっくりくる。
「久々じゃの、みんな元気にしておったか?」
「まぁ、俺たちは神の野郎に永遠の平穏を貰っちまったからな変わらずよ」
「神のことを悪くいうのはやめ頂きたいですな、盗賊殿」
わしの問いにそう答えた盗賊をモンクのやつが怒る。昔からの光景だ。その光景に少し懐かしくもなり、同時にあの時は戻ってこないと感じて寂しくもある。
「まぁまぁいつもの喧嘩はそれくらいにして早速本題を話すとするかぇ。なぁ皆の者」
そう魔導師が言うと2人はいつものじゃれあいをやめ、席に着く
「オラの魔法で偵察した所によると邪神を封印していた剣と石とが粉々になっておるのぉ。」
「てことはやっぱあれか?復活しやがったのかあいつが」
「えぇ、やはりこの長い時を経て封印が解けたのでしょうぞ」
そう口々に話していたその時、突然転移陣が光出した。いや、正確には転移陣の上、天井付近から光が差し込んでくる。
「まさか…いや、今更…有り得るのでしょうか…」
そうモンクのやつが呟くと転移陣には1人の幼子が立っておった。その姿には見覚えがある、いや身に覚えがありすぎて困るくらいだ
『500年振りであるな人の子らよ。息災であったか?』
そう仰々しく語り出したのはその幼子、いやわしらに平穏の地と永遠の命を与えて下さった神様であった。
「我が主よ、私共の前に再び来て下さりありがとうございます。」
『そう固く並んでも良い人の子ら、儂は貴殿らには感謝しておるのだぞ。儂の宿敵であった邪神の奴に封印を施した貴殿らには』
「勿体なきお言葉です主よ」
モンクのやつの信仰心は500年経っても少しも薄れてはいない。他のものはと言うと、盗賊の奴は悪態を着きたくてもさすがに逆らえないのか大人しくしている。魔導師のやつは相変わらず平穏そうな顔で茶をすすっていた。貴様らはよくもまぁ国教どころかこの世界を代表する宗教の主神様を前にしてそう居られるものだと素直に感心する。
「で、神様とやら要件はなんだい?まさかまた邪神の奴を封印してこいとか言うわけじゃないだろうな?」
「これ、盗賊殿!主に向かって失礼ではないか!」
『まあまあそう怒るでないわ、早速本題にいくが、皆邪神が復活したのは気づいているであろう?しかし貴殿らに再び戦ってもらう気はない。貴殿らには新たに英雄となる者を育てて貰いたいのだ。』
「なんだそりゃ、俺たちはもう老いぼれて使えないとでも言いたいのかい」
『そうでは無い。いくらかつての英雄と言えどもいつまでもこの世に災いがある度護り続けるというのも儂に望んだ平穏とは程遠いじゃろう。じゃからこの邪神復活を機に貴殿らの後続をそだててもらいたいのじゃ』
「なるほどのぉ。神様はつまりオラ達に弟子を取れと申しておるわけじゃのぉ」
『話が早くて助かるわ。流石魔導師たちの憧れ伝説の大賢者と呼ばれておるだけはあるのぉ』
神様の御言葉を平然と受け入れる2人に儂とモンクの奴は素直に感心している。いや、モンクのやつはただ呆れているだけか。しかし弟子を取るにしても1つ懸念すべきことがある
「しかし主よ、我らが住む地はどこも普通に人が来れるところではありませぬぞ。」
儂が神様に進言する前にモンクのやつが言ってくれた。そう、儂らはこの世に残る最後の秘境と呼ばれるような地に住んでいる。そんなところに来れる人も居ないし、なんならワシらですら転移陣を使わない移動は一苦労なもの。そこに来れる時点で儂らに教えを乞う必要などない。
『うむ。もちろんその点を考えてない訳では無い。貴殿らの住まう地にはそれぞれ神獣と呼ばれる獣がおるじゃろ。そヤツらを弟子入りへの登竜門もとし、神獣を倒せし者にだけ通れる転移陣を置くつもりじゃ』
「なるほどのぉ…それなら確かにわオラ達の所に来れるじゃろう。そして実力のそぐわん者はそもそも弟子になれないという算段というわけじゃ。いや、流石神様。素直に感心しますわい」
確かに魔導師の言う通りそれならある程度の実力がある者だけが弟子入りしに来ると言うわけか。
「しかし神様よ、いくら来易くなるとは言え、神獣のやつと戦って勝てる奴ってのもほとんどいないんじゃないかい?それにそれをどう人々に伝えるって言うんだい」
『ふむ、確かに今の人の子らは弱くなっている。それこそ神獣どころか魔獣にすら負けてしまうくらいにはな…ならば神獣に多重結界を掛け、お主らが冒険を始めた時程の実力なら何とか倒せる位にするかの。して、伝え方じゃが…』
「主よ私めに考えがございます」
『ふむ。申してみよ』
「私の住む山の麓に我らが英霊教の大司祭になったエルフが住み着いております。こやつは私の事も邪神封印前から知っておるので私が神託が降りたということで伝えればすぐさま世界中の英霊教の教会で発表してくださるでしょう」
『なるほどの、ならばお主の意見取り入れよう』
「有り難きお言葉心より感謝申し上げます」
「そうしたらオラは早速転移陣に神獣との繋がりを組み込んだ特殊術式を作るとするかのぉ」
どんどん話が儂抜きで進んでいく。ワシが出来るとこは特にないしいいのだが少し疎外感がある。そういえば旅をしている時もいつもこんな感じだったな。
そうしばらく昔の懐かしい記憶に浸っていると不意に盗賊が話しかけてきた
「魔法剣士それでかまわないか?そいでお前にはまた昔の様に俺たちや弟子たちをまとめて欲しいんだがいいか?」
「もうわしはその役目しかないと思っておったから大丈夫じゃよ。」
『決まったようじゃな。皆も準備があるじゃろう。今日のところはこれくらいにして各自自分達の所に帰ったらどうじゃ』
そう神様がまとめてくださった。確かにわしも準備な色々ある。皆も同じようでそれぞれが帰り支度を始めている。
「それじゃ皆あとはお互い頑張るとするかの」
「おう!」
「うむ」
「はい」
それぞれがそれぞれの返事をする。なんだかんだみんな久しぶりに変化があって心なしか楽しそうである。そんな時こっそりと盗賊が近づいてきた。周りには聞こえない声、いや、神様に聞かれたくないようである
「魔法剣士、今夜家の離れに来てくれ。詳しくはそこで話す」
その一言を伝え盗賊は帰って行った
公開可能な設定資料2.名前に関して
この世界では名前はあるが、魔族や悪魔に知られると生命が危ぶまれるためその人の職業や勤めている店の名前等で呼ぶのが一般的。神にも名前はあるが、基本的に名前を呼ぶ慣習がないのと英霊教が一神教のため主に神様等の抽象的な言葉で呼ぶ




