第96話 邪教徒編 ~えっ? 粛正ですか?~
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「火を掛けよ」
「やっ、止めてくれ!」「俺はコイツに騙されただけなんだっ!」
「…………」
「ちょっ、熱い! 燃えてる!」「ぎゃぁぁぁぁ~っ!」
オヤジを火刑にする幼女、ハイガンベイナ4歳です。
いやね、盛り上がらない事、甚だしい。
そりゃぁね、MCだって存在しないし、ライトアップも何もない。
だからと言って、ここまで盛り上がらないとは思わなかったんだよ。
これがフランス革命なら、住民には「革命に参加した感」があったのだろうし、それにマリー・アントワネットが絵になるのは理解できる。
自分たちが革命を起こしている実感もあっただろうし、虐げられて溜まった鬱憤もかなりのモノだったろう。
だが今回は、殆どの者にとっては物価が少し高い程度のモノであり、そして処刑の対象は、良く知らないオッサンが2人。
カタルシスを期待してた私と違い、彼等には「誰?」だったワケだ。 うん、失敗だったわ。
それにこの後の、後片付けと掛かった費用の事を思うと、少し物悲しくなってしまう。
くそっ、こんな事なら、マウンテンリバーの宝物庫を襲撃しておくんだったよ。 まあ、2人を処刑した事は後悔していないケド。
「撤収っ!」
ゾロゾロと散っていく住民たちと、ダラダラと後片付けを行う兵士達。 うん、反省しているから、そんな目で見ないで。
いいじゃん別に、武器商人ことジャック・クールから押収した金品があるんだから、赤字にはなっていないんだし。
何となく居たたまれなくなってそろりと現場を離れると、何だか空から近付いていく影が1つ。 ん? アレって……。
「ベイナ様ぁ~っ! 寂しかったですぅ!」
あっ、やっぱりヘルだ。
「どしたの?」
「ぐへへへへ~っ! 幼女の匂いと肌触りですぅ。 すりすり」
「おぃ、とりあえず引っ付くなし」
「あぁぁぁ~っ、ご無体なぁ! れろれろ」
「こらっ! 舌を伸ばすんじゃぁ、ありません!」
「幼女エキスの補充ですぅ」
「ええぃ、やめい! げしげし」
何とか興奮したヘルを引き剥がし、取り敢えず蹴りをいれておく。
すると我を取り戻したのか、急にキリリとした顔になって
「緊急事態なのですぅ」
なんて曰う。
いや、良いんだケドね。
「で、何があったんだ?」
「報復部隊の連中に、街を取り囲まれたんですぅ」
「うん、なる程わからん」
いや、イキナリ過ぎて、マジで判らんのだけれども。
「ほら、聖教徒とか迫害してたじゃないですかぁ」
「うん、別に指示してなかったケドな」
「それであの聖母が暴走しちゃってぇ」
「うん」
「領主をプチっと粛正しちゃったんですぅ」
「やってたのは宗教革命だよね? 何で領主を粛正する流れに?」
「あまりの傍若無人ぶりに領主が治安維持軍を投入しましてぇ」
「それで?」
「マリアンヌが邪教徒の味方をするなら、お前らも邪教徒だぁとか言いましてぇ」
「その後に」
「勢い余って領主をプチっとぉ」
「やったのはお前だよね?」
「てへっ♡」
「てへっじゃねぇよっ!」
領主まで処刑したんじゃぁ、最早政変革命じゃん。 えっ、私? 私はタダの犯罪者の処刑だよ。 無罪だよ無罪。
「それで何処から報復部隊が出てくるんだ?」
「何でも領主の一族に、落ち延びた者がいたらしくぅ」
「うん」
「それが近隣の領主達に報復依頼行脚を行ったらしくぅ」
「で?」
「街が軍隊に取り囲まれる事態になりましたぁ」
「あほかい!」
やるなら根絶やしにしとけよ。 完璧に奪還する気、満々じゃん。
でもここで奪還されると、折角の聖教徒弾圧が無に帰する可能性があるから、無視はマズイか。
新たな領地なんていらないんだけど、マリアンヌを領主に据えるのはなぁ。 だってあいつバカだし。
かと言ってヘルじゃぁ、領民なんてミジンコレベルに認識してそうだし、長期赴任なんて了承するかどうか。
「私はベイナ様と離れる気はないですぅ」
「だから心を読むんじゃありません!」
上手くいかないなぁ。 思いつきの聖教徒弾圧だったと言え、やっぱりマリアンヌに任せたのは間違いだったかな。
「はぁ、判ったよ、ヘル。 ハトリを連れて、鎮圧に向かう事にするよ」
「やったぁ! 久しぶりにベイナ様と一緒ですぅ!」
コイツ、ワザと問題を起こしていたりしないよね?
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カクヨム版(先行)
魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~
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