第70話 幼女神誕生 ～えっ？ 盗賊ですか？～
カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。
「お嬢様、問題が発生しました」
「えっ、別に問題行動は行ってないぞ！」
「えっ？」
「えっ？」
簿記の問題が解決しなかったので査察を強化する事だけを決定した次の日、執務室でウォルターから話し掛けられた。
何だろう、ドキドキするな。 教会襲撃の目撃者でも出て来たのだろうか？ もしそうなら、暗殺計画が必要だな。
「で、どんな問題だ？」
「街の外で、盗賊が増えております」
「衛兵で対応は可能か？」
「無理ですな。 手が足りておりません」
あれ？ ウチの領ってそんなに人手不足なの？ 少しずつ問題解決を図っていくか。
「盗賊が増えた理由は？」
「周囲に存在していた強力な魔物やゴブリン、コボルトがいなくなった事です」
ああ、原因はハトリか。 周囲のモンスターがいなくなって野宿や待ち伏せが楽になったんだな。
でも増えるのが早過ぎないか？
「それだけか？」
「有力な傭兵が減っておりまして、盗賊を狩る人員が減少したのです」
うげっ、もしかしてハトリがやっている異能狩りが原因か？
「傭兵が減った原因は判っているのか？」
「恐らくは大型の魔物を狩る仕事が減少したからではないかと」
セーフ、ハトリが狩っている分はバレていないっぽいな。
「有能ではない傭兵に依頼してはどうだ？ 数で囲めば何とかなるとも思うが」
「彼らはホーンラビット狩りに夢中なのです」
どうしてここでホーンラビットが出てくるんだ？
「ホーンラビット狩りとは何だ？ 増殖でもしたのか」
「いえ、単純にホーンラビットを食料にしていたゴブリンなどが、いなくなった事が原因だと思われます」
なるほど、食物連鎖が崩れたワケか。
「そこで、安全に狩れて、肉や毛皮が売れるホーンラビットが、駆け出しなどの傭兵に人気なのです」
「危険が伴う盗賊狩りになんて、参加すらしてもらえないって事か」
「そうです」
「それなら尚のこと、少しでも衛兵を派遣した方が効果があるのでは？」
「いえ、小金持ちになった傭兵たちが歓楽街で問題を起こすケースが増えており、そこに人手を取られているのです」
うげっ、傭兵たちが娼館でハッチャけている姿を想像してしまったよ。
まあ、原因は判った。 要は盗賊を狩り殺すしか無さそうだな。 ハトリを遠ざける理由としては弱いし、何より悪いのは盗賊なんだから。
「判った。 私が後日、盗賊を狩り殺す」
「お供はどうしましょうか？」
「不要だ」
色々と見せられない事が多いからね。 ハトリと２人で、ユックリと狩っていくさ。 休暇気分でな。
「書類仕事はどうしましょうか？」
「文官を死ぬ一歩手前まで働かせろ。 間違って死んでも、破棄くらいは手伝うぞ」
「せめて、埋葬と言って下さい」
良いじゃん。 人間って結構シブトイものだぜ。 １ヶ月程度で過労死した奴なんていないぞ。 休暇が長引いて、3ヶ月くらい掛かるかも知れないケドな。
さて、バカンス、バカンスぅ！
でもその前に、片付けられる仕事は終えておくか。
「残っている書類を持って来い。 前倒しで少しは仕事を終えておく」
「畏まりました。 少々お持ち下さい」
何だか夏休み前の気分だな。 おやつは幾らまで買っても大丈夫なのだろうか？
『ハトリ、聞こえるか？』
『うん、聞こえるよー』
『明日から旅行に行こうと思う。 予定は大丈夫？』
『やったー、問題ないよー。 今日中に異能持ちは狩り尽くしておくねー』
『うん、楽しみだね』
そう言えばハトリとの２人旅行って、ダンジョンで行なった以来なんだよな。 あの時は魚とリザードマンが獲物だったけど、今回は盗賊だ。 精々《せいぜい》良い声で鳴いてくれよ。
あれっ、アイテムボックスの中身って何が入っていたんだっけか。 今日中に整理しておく必要があるかも。
えーと、どれどれ…。うおっ、中身と目が合っちゃったよ。 聖騎士にチンピラ、聖職者に何だか良く判らない死体の数々。
気付いていない内に、アイテムボックスが死体の遺棄現場になっていたんだな。 流石に他人には見せられないぞ。
予定では盗賊の死体を格納して、遊んでいなかった事にしたかったのに、間違って聖騎士の屍なんか出したら言い訳できないもんな。
街の外に出たら、焼却処分でもしておくか。
それと売れそうな素材とかは売り払った方が良さそうだな。 使う予定すら無いんだし。
いや待て、今のゴチャついた状態で売りに言ったら、ゴブリン牙なんて言いながら人間の犬歯とか売っちゃいそうな気がする。 その場で判別なんて出来ないだろうし。
もしかして前もって解体とかしておく必要があるのか？ うはぁ、面倒くさい。
てか素材って基本的には死体の一部なんだから、血の海になるんじゃね？ うん、街の中じゃあ無理だよな。
噂されたらどうしよう。 幼女連続殺人事件とか。 しかも殺される側じゃなくて殺す側なんて、さぞかし人気者になれそうだ。
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カクヨム版（先行）
魔女転生 ～えっ？ 敵は殺しますけど？～
https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704
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