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第32話 幼女拷問~えっ? 聖水ですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

「はっ、幼女に殴り倒される夢を見た!」


 と、目の前のシルフィードが、起き上がりながら叫んだ。 まあ何だ、ドンマイ。


「残念、現実では拘ちょくちゃれています」

「へっ、この手足につながったくさりは何っ?」


 そう、両手両足にはアニメでしか見ない様な、鎖が大きな鉄球に連結し、絶賛拘束中である。


 理由? ちょっと楽しそうだから、錬金術で作ってみた。


「ちぇいついを出ちなさい」

「えっ、何を言っているのか判らないのだけれども」

「ちぇ、い、つ、い!」

「ちぇいつい? えっ、本当に何?」

「ちぇいなる水のちぇいつい!」

「ちぇいなる水…聖なる水…聖水?」


 そう、錬金術の材料としての聖水、つまりお小水しょうすいを所望しているのだ。


「私、聖属性の魔法なんて使えないわよ? 風の精霊シルフィードだって判ってる?」

「トイレで取ってこい!」

「何コレ? 尿瓶しびん? えっ、別にもよおしてなんていないわよ」


 ええぃ、まどろっこしい奴だな。 そんな事を言うなら強制的に飲ませてやる!


 濡れたタオルを、顔面に強制的に押し当てる。 勿論もちろん、水魔法で水分は常時補充している。 参考にしたのは湾岸戦争で米兵がイラク兵にやった事で有名なった拷問方法だ。


 オリジナルは布を顔面に押し当てて、ポリタンクで水を掛ける方法だ。 この手法の画期的なところは、後が残らない事と、地上でおぼれさせられる事である。


 痛みを与える拷問方法があるが、そもそも痛みに強い個体や反抗的な個体には効果は薄い。 しかし、溺れて感じられるのは「身近な死」であり、根源的な恐怖でもある。


 この拷問方法で対象に生じる感情は「これ以上やられたらマジで死ぬ」であり、反抗的な感情すら発生しない。 むしろ「死にたくない」と思わせられたなら、隷属までは後一歩だ。


 プロを気取るなら、嗜虐的しぎゃくてきな態度を取る必要は無い。 寧ろ淡々と作業としてこなすべきだろう。 相手の心を折る事が重要なのだから。


 さあ、少しは素直になったかな?


「ちぇいついを出ちなさい」

「はい、今すぐ御用意致します!」


 うむ、従順なのは良い事だ。 さっさと献上するが良い。


「こちらをどうぞ」

「うむ」


 尿瓶しびんを受け取り、アカシック先生で鑑定を行う。 ん? 最高の肥料? そっちかい!


 元々人の尿は、バクテリアで分解すれば化学肥料にも劣らない性能を示す。 最高の肥料と言う事は、上質な化学肥料並だとも言える。 錬金術の材料として有名な体液だが、着地点が肥料とは何とも微妙な結果だ。 仕事をしろよファンタジー。


「随分と面白い事をしている様だな」

「へっ、魔女ちゃま?」

「どれ、マジックスキャン」

「うぎょぉぉぉぉぉぉ~っ!」


 脳には痛覚が存在しないハズなのに、頭痛が凄いよ。 どうなってんの?


「ふむ、私は拷問には一家言いっかげんあるんだ。 ん? 水と…電気?」

「ほげぇぇぇぇぇぇ~っ! れん気は、らめぇぇぇぇ~っ!」


 やっ、やめれ。 深層心理を読むなし。 電気はマジでヤバいんだってば。


「まあそんなに心配するな。 隷属なら奴隷紋やテイムがある。 探求心はあっても、嗜虐心は持ち合わせていないさ」


 そうか、隷属は魔術で何とかなるのか。 現代社会の禁忌きんきとも言える電気調教を異世界に持ち込まないで安心したよ。


 事の発端ほったんは、どこかの博士が「電気で調教された犬は、決して逆らう事は無い」と発言した事だったと思う。


 その時は話題にはなったものの、勝手に収束していったのだが。


 転機が訪れたのは、アメリカで起こった非殺傷兵器ノンリーサルウエポンの普及だった。 犯人を殺さずに捕らえる方法として、警察関係者を中心にスタンガンなどが普及したのだ。


 犯人を無力化しする方法としては非常に優秀で、一切の抵抗を許さず無傷で捕らえられたし、人道的な手段であるとして多くの人間が満足した。 犯罪に利用されるまでは。


 例えば、誘拐犯が使用した場合には、抵抗も悲鳴さえも許さず、静かに確保する事が可能だ。 近くで犯罪が起こった場合でも、貧血をよそおえる程度には。


 そして最悪な事に、誰かが気付いた。 人間の「調教」にも利用出来ると。


「洗脳」ではなく「調教」と呼ばれる点に、悪辣あくらつさがある。


 人間は電気で動いている。 体中を巡る神経も筋肉を収縮させる信号も、脳内を巡る神経パルスさえも電気である。


 では外部から圧倒的な電圧で電流を流した場合どうなるか? 全ての意思を無視して体が硬直し、声すらも出す事が出来なくなり、失禁し、泡を吹き、電流に脳が蹂躙じゅうりんされて思考する事すら不可能になる。


 そんな事を繰り返せばどうなるか? 脳の幾つかの部位は収縮し、強制的なニューロンネットワークが構築され、人格が変貌へんぼうし、最悪な場合は廃人になる。


 この性質を利用して脳への電流を調整すれば、意志の強さに関係なく、従順な暗殺者や自爆テロリストですら作り上げる事が可能だろう。


 悪辣といえるのは、老若男女の関係なく調教出来る点にある。 その気になれば、子供の自爆テロリストすら可能だと思われているのだから、禁忌だと言われるのも当然である。


 勿論コレは特別な話ではない。 犬を調教するための犬用スタンガンや、電気式しつけ用首輪などが市販されているのだから。


 飼い主に調教前後の脳の形状変化をMRIで見せてやりたい気分である。


 異世界モノに出てくる奴隷紋などよりも、脳の構造すらも変化させてしまう電気式調教の方が悪辣に思えるのは私だけではないだろう。


 まあ何が言いたいかっていうと、地球人は狂っているって事だ。


 えっ、シルフィードを電気で調教しろって? しないよ、絶対に。



少しでも気に入られた場合は、ブックマーク、評価、「いいね」をよろしくお願いいたします。


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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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