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第23話 幼女苦戦~えっ? ドッグファイトですか?~

カクヨムからの転載です。よろしくお願いいたします。

 もう何時間経過したのだろうか? 少なくとも2~3時間以上だとは思いたい。


 急上昇で光弾をかわしつつ、攻撃の切れ目を狙って爆裂徹甲弾ばくれつてっこうだんをバラく。 反陽子をマイナスで帯電させたまくおおった、スペシャル爆裂弾頭だ。


 はずれた弾が地面に衝突し、新なたクレーターを生成していく。 最早もはや見慣れた光景である。


 ドッグファイトの銃撃戦は、基本的には移動到達点に向かって射撃し、その中へ敵が突っ込んでいく事を期待する。


 弾速と移動速度に差が無い場合に起こりがちな事だが、ここで敵の回避能力が尋常じんじょうで無い場合は態々(わざわざ)被弾したりしないので、この様に周辺地域には多大な迷惑を及ぼすのだ。


 そう、今正いままさに地表付近を逃げまどっているヒドラの様に。


 無論此方(こっち)だって、むざむざられたりするつもりは無いので結果として、まあ被害が二倍になっていたりするのだが。


 インメルマンターンでケツを取るためにチャンスをうかがうと、真下を背中全体から雲を引いた黒竜と目が合う。 げっ、プガチョフコブラのアレンジバージョンかよ。 航空ショーでもお目に掛かれない様な垂直機動で、見事なショートカットをかましてくれる。


 悪夢だ。 戦闘機でやろうものなら、ブラックアウト待ったなしの機動。 うん、ドローンでも無理なんじゃないかな。


 確かに接近さえしてしまえば直接狙う事も出来るし、間違ってはいない。 通常の戦闘機ならロックオンアラートを聞きながら空中で爆散していた事だろう。


 だが残念、私は後方にも射撃が出来るのだ。 死ねっ、って、んなぁっ! 爆発?


 私の進行方向前の空間が爆発し、強制的に黒竜の前に押し出される。 エクスプロージョンか? 空中機雷とか巫山戯ふざけんな!


 三連レールガンを強制パージし、あぎと一直線へのルートを回避して鼻頭はながしら上へとすべり込む。 続いて背中を転げ落ちる様にして、何とかやり過ごした。


 空中戦ではらちが明かないとでも思ったのか、途端とたんに魔術戦や噛み付きなどの物理攻防戦を混ぜ込んできたのだ。 趣味が悪い。


 そんな事にまで気を遣わないといけないのだろうか? スタミナなどの消耗戦へと持ち込まれたら、ただでさえ不利な戦況が、一気に悪化しかねない。


 へへへっ、逆境? やってやろうじゃないかっておぃ、機雷で囲むなんて悪趣味過ぎんだろ!


 空中で次々に爆発するエクスプロージョンに、ピンボールの様に四方八方に弾かれる。 ぐぬぬぬぬ、やってる方はさぞかし楽しいんだろうな! でもその程度じゃあ死にゃあしないんだよ、色んな汁が一寸ちょっと出たけどな!


 いやぁ、私も丈夫じょうぶになったモノだ。 少々下半身が大変な事になってはいるケド、痛いってレベルで済んでいるだもんな。 大きい方は出ていないと思うし。


 それに何だか楽しくなって来てる気がするのは、多分何かの間違いだ。 状態で言えば、殴られ過ぎて何だか笑えてくる気分って言えば分かるかな? えっ、理解したくない? そーすか。


 そんな事を言わずに避けろ? いや、隠匿いんとくしてるっぽいんだよね、爆発するまで感知すら出来ねーし。 何でそんな図体して、繊細せんさいな事が出来るのかな? 言ってみ?


 11、12、13発。 また例のごとく眼前には大きく開いたあぎと。 思わず口角が引き上がる。 いや、流石に自分でもヨダレが垂れているのはどうかと思うケド。


 鼻面はなづらに手を付いて心の底から叫ぶ。


「マイクロウェーブバーちゅト!」


 内側から弾ける様な音と、飛び散る血飛沫ちしぶき。 中々見応(みごた)えのある鼻血じゃねえか、えぇ?


 ねぇ、どんな気持ち? 追い込んだと思っていたのに、無様ぶざまに鼻血をブチまけるってのは、どんな気持ち?


 余裕ブッこいているからこうなるんだよ! マイクロ波ってのは、波長さえ気を付ければ、水分子を加熱するには最高なんだぜ? 伊達だてに汁をき散らしながら思い付いたんじゃねーんだよ。 昔ゆで玉子が食べたくて、電子レンジで失敗した事を思い出しただけじゃないんだよ! 温泉卵でも失敗して黄身を爆発させた経験もあるんだからな!


 水が加熱されて水蒸気になる場合は、体積が1700倍になるからな。 マイクロ波によって共振加熱された水分子は、短時間で水蒸気へと変化する。 しかも密閉空間での加熱では、ほぼ例外なく爆発する。 黄身に穴を開けないと、電子レンジで温泉卵が作れない原因になっているくらいだ。


 ただでさえ血管の中に血液が密閉されているくらいだし、鼻汁や粘液だか粘膜だかがある状態だからな。 確実に爆発すると思っていたよ。


 どーよ、起死回生の一手は。 次はその目玉でも爆発させてやろうか、あぁん?


 おっと、危ねえな。 今更爪や尻尾でのでの攻撃か? でもなぁ、ここは必中の距離でもあるんだぜ?


「ちゃん連レールガトリングガン展開、ファイア!」


 至近距離から打ち込まれる爆裂徹甲弾。 着弾とほぼ同時に内側から弾け飛ぶ肉片とうろこ


 何を笑ってんだよ、お前。 気持ち悪ぃな。


 ゆっくりと降下を始める巨体と、尾を引く血飛沫。 最後まで手加減なんてしねーよ。


 吹き飛ぶ尻尾に、吹き飛ぶ右手。 これってちゃんと倍返しになっているのかな? まあ、良いや。


 少し小さくなった巨体が、地面の土砂を巻き上げるが容赦ようしゃをしない。 もう、魔力鎧まりょくよろいすら維持出来ていない様だが関係無ぇ。


 やっぱりめはコイツだろう。 散々味合わせて貰ったからな。


「エクちゅプロージョン」


 黒竜の巨体をすべて包み、魔力マシマシ、威力マシマシの爆発が起こる。


 巻き上がる土砂と視界をおおい尽くす粉塵ふんじん、遅れてくる熱波。


 腹に響く重低音は、満足度を引き上げてくれる。 通常なら鬱陶うっとうしく思う様な熱気や土埃つひぼこりさえも、加熱し過ぎた思考ではどうでも良いらしい。


 終わった…のか?


 ゆっくりと降り積もっていく砂塵と、クールダウンしていく思考。


 ははっ、疲れたな。


 近くには動くモノなんて存在しないし、勿論もちろん息遣いさえ存在しない。


 遠くから様子をうかがっているヒドラは存在するかも知れないが、まあ、一応の決着だ。 差し迫った危険も無いだろう。


 本来なら上に向かう階層を探すべきなのかも知れないが、正直クタクタだ。


「ちぇーフエリアはどっちでちたっけ?」


 急に襲ってきた疲労と戦いながら、セーフエリアを目指して移動する。 鉛の様に体が重い。


「はっ、ははっ。 やっと次の階ちょうにいけるでちゅ」


 まさかアレが階層主じゃないなんて事は無いと思う。 無いよね? 変なサプライズとか、隠れボスに邪魔じゃまされるなんて事は無いよね? フリじゃないからね!



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カクヨム版(先行)


魔女転生 ~えっ? 敵は殺しますけど?~


https://kakuyomu.jp/works/16816927862939210704


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