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ジークへの誕生日プレゼント③ / 小ネタ集その2

「えっと、じゃあ最後は私かな。」


私は用意した木箱を取り出す。一応サイズは抑え気味にしたが、それでもなんだかんだアランのケーキの箱より一回り大きい。


「大きいね!開けていい?」

「もちろん。」


ジークは興味津々で箱を開け、中から蓄音機を取り出した。


「なんだこれ?」


ジークより先にアランが反応する。


「これは蓄音機って言って、周りから拾った音を記録しておける機械だよ。」

「音を記録…?」


ジークが首を傾げる。


「やってみた方が早そうだね。」


私は最初に試したとき同様、実際に録音と再生をやって見せた。選曲は例によってメリーさんの羊だ。


「わあ……!」


ジークを始め、3人とも目を輝かせて録音した音声を聞いている。


「すごいわ、こんなことができるなんて!」

「これ、どんな魔法使ったんだ…?」

「動力源に魔石を使ってるけど、それ以外は特に魔法の類は使ってないよ。」

「まじかよ…」

「すごい、すごいよカナ!!」


ジークが興奮気味に言う。


「前に音楽を聞く機会が限られてるみたいなこと言ってたでしょ?そのときこういうのが作れないか考えたんだよ。どう?気に入った?」

「もちろん!大切にするね!」

「それは良かった。じゃあ円筒は1つ使っちゃったから、こっちの未使用のやついくつかあげとくね。」

「うん、ありがとう!……ねえ、今録音したのももらっちゃだめ?」

「あ、うんいいけど…そんなに歌うまくもないけどいいの?」

「うん!これがいい!」


人より抜きん出てうまくもなく、かと言ってネタにするほど下手でもない歌声だが、何故かジークは気に入ったようだ。


「てか、音を記録する機械や魔導具なんて聞いたことないぞ!これ全部カナさんの考案か?」


アランが質問する。


「同じ部活の子に手伝ってもらったから全部ではないけど、完成形を考えたのは概ね私…かな?」


本当はエジソンという偉大な発明家の発明を横流ししただけだけどね。とはいえこの世界特有の材料も使っているので多少は大目に見て欲しい。


「これこそ特許とかじゃねえのか?」

「ああそれなら、既に申請の準備をしてるよ。最初は断ったんだけど、部活の顧問に"こんな大発明を特許申請しなかったら利用されて大変なことになるぞ!"って脅されちゃってね。」

「まあそうなるよな!」


ちなみに特許は私とノアさんの連名にしておいた。ノアさんは断ってきたが、あれだけ手伝ってもらったのに名前を載せないのもバツが悪いので半ば強引に入ってもらった。


「それじゃあ、そのうち商品化したりするのかしら?」

「私自身が商品化する予定は今のところないけど、特許料を払って作りたがる人間が現れれば十分可能性はあるよ。」


エジソンの手柄でお金をもらうのは気が引けるが、これからジークの身を守るにあたりお金が入り用になる可能性もあるし、特許の印税で稼いでおくのは悪くないだろう。


それに平民のなかでは比較的裕福な我が家だが、貴族が多い魔術学院の生徒基準だとかなり金欠気味なのだ。


「しっかしカナさんはどんどんスケールのデカいことやってるよな!そのうち大賢者エドガスみたいになるんじゃねえか?」

「ハハ、さすがにそれは買いかぶり過ぎじゃないかな…」


それから私達はアランのケーキを食べながらワイワイ騒ぎ、就寝時間間際になって解散した。


しかし、今になって私の歌声の入った円筒をジークに渡したのが少し恥ずかしくなってきたな…ネタになるほどでは無いと思うが、歌が下手だからって笑われたりしてないといいけど。


そんなカナの考えをよそに、ジークは眠れないときにカナの歌声を聞いてはぐっすり眠れるようになるのだが、それはまた別のお話。


―――― 小ネタ集その2 ――――


[モテモテラクア]


昼休み。私はラクアに用事があってB組の教室に来ていた。


「ラクア様、よろしければこれどうぞ! 」

「私からはこれを!」


すると、ラクアが4,5人の女生徒に囲まれていた。どうやらラクアにお菓子を渡しているようだ。


「ありがとう。」


ラクアが営業スマ…屈託のない笑顔で礼を言う。


「「キャーー!!」」


すると女生徒達が黄色い声をあげた。倒れそうになる人までいる。


まさか実際に少女漫画の主人公みたいな場面が見られるとは…別に少女漫画はそんなに読んでいなかったが、ここまで見事だと感心する域だ。


女生徒が去り、こちらに気がついたラクアが近づいてきた。


「俺に用か。…彼女らに時間を取られた。」


"…"には"すまん"という意味が含まれている。気がする。


「いやいいよ。面白いもの見られたし。」

「…面白い…?」



[ランドルト環]


「おや、カナ様おはようございます」

「おはようランドルト」


ある朝、教室前の廊下でばったりとランドルトに出くわした。珍しくラクアと一緒ではないようだ。


ランドルトは、私の知り合いの中では珍しくいつもメガネをかけている。


「そういえば、ランドルトってどれくらいの視力なの?」

「それが、極度の近視でして…メガネがないと目の前の人の顔もろくに見えません」

「それは確かにかなり視力悪いね」


そういえば"ランドルト"って単語どこかで聞いたことがあるんだが……


あ。


「ねえランドルト、メガネ外した状態でこの円の上下左右どこが欠けてるかわかる?」


そう言って私は手でCのような形を作ってみせる。


「すみません、分かりませんね…」


ちなみにこの視力検査で使うCのようなものは"ランドルト環"という。"ランドルト環"が見えない"ランドルト"……


「フッ…」

「??」



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