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ジークへの誕生日プレゼント②

あれから3日後の週末に、私とノアさんは各自で材料集めをしていた。


私の担当は、金属製のホーンと針、そして土台用の木材だ。


木材と針は、ママが経営している雑貨屋の在庫に使えそうなものがあったので、ママに許可を得て使わせてもらえることになった。


そのため、あと必要なのは金属製のホーンだ。


金属以外で作ることも考えたのだが、紙だと見栄えが悪いし、木だとかえって手間がかかりそうなので、金属製、具体的には真鍮(しんちゅう)で作ることにした。


また、この世界にもトランペットのようなものがあるからそれを切って使おうかとも思ったが、楽器は全体的に値が張るし、ついでに行きたい場所があるのでやめた。


「ここか…」


そんなこんなで、私は"オリバー武器屋" の前に来ていた。ここは、アランが魔術大会のときに剣を買った店主がやっている店だ。


アランが買ったのはミスリルとオリハルコンの合金で出来た剣で、前世の創作物ではこれらは一般的な金属より融解しづらいことになっていることが多いし、実際アランもそんなことを言っていた。


つまりは、それらより圧倒的に融点が低い真鍮を融解し、鋳造する施設と技術は持っていると考えられる。


カランカランッ!


私は武器屋の扉を開く。


「おう、いらっしゃい!って、珍しいお客さんだな。てっきりいつも通り血の気の多い男が来たのかと思ったぜ。」


迎え入れてくれたのが、恐らく店主のオリバーだろう。


「それで、どんな武器が必要なんだ?」

「あ、えっと実は、武器が目的ではなくて1つお願いごとがあるのですが…」

「願い事?」


私は経緯を説明した。


「ほう、なるほどな…いいぞ、やってみようじゃねえか!」

「本当ですか?ありがとうございます。」

「しかし、金属を溶かして混ぜるまではいいとして、固めるときに流し込む型はどうすりゃいい?うちには剣用のやつしかないぞ?」

「ああそれは、私が()るので問題ないです。」


私は、水魔法でホーンの型を創り、固体化させて見せる。


「これで大丈夫ですか?」

「え、でも水じゃあな…てなんだこれ、固いな!?」


オリバーさんは型をツンツンしながら言う。


「どうでしょうか?」

「ああ、大丈夫そうだ!よし、じゃあ早速やるぞ!」


―――――


そこからは早かった。オリバーさんは容器に銅と亜鉛を入れて炉で熱し、溶かして混ぜる。


そして私が創った型に溶かした金属を流し込む。


すると、型に入った金属は急激に固まった。


「よし、こんなもんだろ!あとは水で冷やしてヤスリで磨けば完成だな!…って、水の型に入れたんだからもう冷えてるか?」


オリバーさんはそう言いながら固まった金属をツンツンつつく。


「うし、大丈夫そうだな。」

「触って大丈夫なんですか?まだ熱かったら火傷しそうですけど…」

「まあ、俺は皮膚が厚いから大丈夫だ!」


ほんとかな…


…とにかく、これでホーンの原型ができた。あとは研磨してもらえば完成だ。



――――――


「さて、できたぞ!」


研磨も終わり、完成品を渡してもらった。


「出来はどうだ?」

「良くできていると思います。ありがとうございました。」

「いいってことよ!…そういやあんた、もしかして魔術学院の生徒か?」

「そうですが、何故それを?」

「魔術大会のときに剣を売った兄ちゃんが水属性のヤバいダチの話してたんだよ!それってあんたのことだろ?」


ヤバいダチって…一体アランは何を話したのだろうか。


「多分そうだと思います。」

「やっぱりな!まあなんだ、次は武器でも買いに来な!」

「はい、ぜひ。」


――― 2日後 ―――


「よし、これで材料は揃ったね。」

「じゃあ、早速作ろう!」


私とノアさんは、部室に集まって蓄音機制作に取り掛かった。大体パーツの切り出しまで終わっているので、あとはパーツを組み立てるだけだ。


「えーと…ここはどうすればいいんだっけ?」

「このパーツをつければいいんだよ

「あ、ほんとだありがとう!」


そんなこんなで、2時間程かけて蓄音機が完成した。


「どうなるかな…!」

「うん…じゃあまず録音してみようか。歌ってみるのがわかりやすいと思うけど…誰がやる?」

「それはもう、カナさんでしょ!考案者だし!」

「わかった」


私は魔硬石の円筒をセットし、そこに針を置く。スイッチを入れると、円筒が回り出し、針金が円筒に線を描き始めた。


そして、ホーンに向かって音を出すことで録音する。曲名は…やはりエジソンと同じアレにするか。


「Mary had a little lamb ~ Little lamb, little lamb ~ Mary had a little lamb ~ It's fleece was white as snow~♪」


そして歌い終わったらスイッチを止め、そっと円筒を蓄音機から取り出す。そして円筒の表面に魔石をかざし、魔力を当てて硬化させていく。ちなみに普通に魔法を当てても硬化はするが、表面が傷つく恐れがあるため魔石を使うようにした。


「ねえ、今のってなんの曲?」


ノアさんに質問される。


「"メリーさんの羊"っていう…帝国の童謡だよ。」

「へえーそうなんだ!」


実際は前世の有名な童謡な訳だが、帝国の童謡を細かく把握してる王国民はいないだろう。


ちなみにこの曲は、エジソンが蓄音機を最初に試したときに録音したと言われている歌だ。


「じゃあ、再生してみようか。」

「うん!」


私は硬化させた円筒を蓄音機に設置し、針をセットしスイッチを入れた。すると…


『Mary h…d a little lamb ~ Little lamb, litt…e lamb ~ M…y had a little lamb ~ It's fle…e was white as s…ow~♪』


所々かすれてはいるが、私が歌ったメリーさんの羊が見事に流れてきた。


「すごい!!」

「上手くいったみたいね。」


音質は改善の余地があるものの、蓄音機として十分及第点に達しているものを作ることができた。


これでジークへの誕生日プレゼントを作ることができた。だがジークに渡してはい終わりでは勿体ない出来なので、私とノアさんの分も作るとしよう。



―― 2日後 ――


今日はジークの誕生日当日だ。早くも放課後となり、私たちは誕生日会をするべく寮のラウンジに集合していた。


「それじゃあ…」

「「「ジーク、誕生日おめでとう!!」」」


集まったのは、ジーク、私、マリー、アランのいつもの4人だ。


「皆ありがとう!」

「早速プレゼント渡しましょう!」


そう言うとマリーは袋からラッピングした小さめの箱を取り出した。


「私からはこれ!」

「わあ、ありがとう!開けていい?」

「もちろん!」


ジークがマリーの渡した木箱を開けると、中から綺麗な装飾がされた高そうな万年筆が出てきた。


「万年筆だ!書くものが少なくて困ってたんだ、ありがとう!」

「喜んでもらえてよかったわ!」


「じゃあ次は俺だな!」


アランはマリーと対象的に、大きめの箱を取り出す。


「つっても俺のは物じゃなくて、これだ!」


アランが自分で箱を開けると、中から豪華なケーキが出てきた。


「わあすごい!これアランが作ったの?」

「おう、頑張ったぜ!カナさんのプレゼント見たらみんなで食おう!」

「うん!」




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