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ラクアとの話し合い①

ラインハルト殿下の誕生日を聞き、そしてお茶会に関してエドガス様と話して分かったことを報告するために、ラクアに会うことを決め、私はとりあえずママと朝食を取っていた。


すると、開いた窓から黒い伝書バトが入ってきた。心なしかつり目である。共同の伝書バトは灰色のはずなので、このハトはエドガス様の白いハトのように誰かの私物のハトのようだ。


伝書バトから手紙を取り、内容を確認する。


" 例の件について、今日王城へ出向き詳細を知らせろ。こちらも少し話がある。 L "


送り主は、恐らくラクアだ。文章量が少なすぎて分かりづらいが、情報を抜き取られる可能性を考慮した結果がこれなのだろう。


しかし、当日にいきなり手紙を寄越してくるとは…まあ、今回はちょうど良かった。早速王城に向かおう。


――――――――――――


王城の門まで来ると、例によってランドルトが門の前で待っていた。


「お待ちしておりました、カナ様。では中へ。」


――――


ランドルトについて行くと、ラクアのいる部屋へとたどり着いた。


コンコンッ


「ラクア様、ベルナール様がいらっしゃいました。」

「入れ」

「失礼します」

「来たか。とりあえず座れ。」


私は促されるままラクアの向かいの席に座る。ランドルトはラクアの後ろにまわり直立不動だ。


「それで、手紙を見て来た、ということで間違いないな?」


ラクアが私に聞く。恐らく本人もあの手紙の内容が分かりづらいことは自覚しているのだろう。


「うん、お茶会での件についてだよね?」

「ああ、そうだ。まあこちらは別件もあるんだが…ひとまずお前の話を聞こうか。」


別件?


「わかった。じゃあとりあえず…」

「その前に。あれ(・・)はなんだ?」


ラクアは扉の方を視ながら言う。


「ああ…」


私は魔法で扉の前に水の壁を張る。


「…念の為だけどね。もう気にしなくていいと思うよ。」


「…そうか、では話を続けろ。」


私はエドガス様の屋敷での話を事細かに説明した。


「……」


ラクアはしばらく黙って考え込む。


「…その話を知ってるのは?」

「全部知ってるのは、呪法具を調べてくれたエドガス様と、その後お会いしたロバン伯爵だけ。」

「ロバン伯爵?」

「ああ、ジークを介して昨日会わせてもらったから、そのときに話しておいたんだよ。」

「…ほう?」


え、もしかして"ジーク"って単語自体地雷なのか?


「…まあいい。それで、その後何かわかったことは?」


一応大丈夫だったらしい。


「特には無いかな。そもそも一庶民が調べられることって限界あるし…」

「確かにな。」

「一応ロバン伯爵が調べてくださるっておっしゃってたから、私としてはそれ待ちかな。」

「ふむ…」

「……」


これ以上話せそうなことがないので、双方黙ってしまう。


コンコンッ!


すると、扉を叩く音が聞こえてきた。


「誰だ」

「トレイドル・ソルードです。少しお邪魔させて頂くことは可能でしょうか?」


トレイドル・ソルードは…確かソルード侯爵の名前だ。


ラクアと私は無言で顔を見合わせる。私が頷くと、ラクアが口を開いた。


「構いませんよ、お入りください。」


ガチャ


ランドルトが扉を開けると、ソルード侯爵が中に入ってきた。


「おや?これはベルナール殿ではありませんか。どうしてラクア殿下の私室にいらっしゃるのですか?」


ここ、私室だったのか。確かに来賓室にしては誰かの私物らしきものが多いなとは思ったが…


「あ、えっと…」

「例の茶会で起きたことについて、彼女に調べさせていたことを報告させるために私が呼んだんですよ。」

「なるほど、そういうことでしたか。」

「それで、ソルード侯。わざわざ私の私室まで出向くとは、何か急ぎの用事でもおありですか?そうでなければ今はお引き取り頂きたい。」


仕事モードのラクアにしてはソルード侯爵に対する口調がちょっときつい気がする。


「はい、それがちょうどそのお茶会の件の犯人の身元と犯行の動機が分かりまして…」

「…詳しく話を聞きましょう。お座りください。」


ソルード侯爵は迷わず私が座っている方に進んできたので、席を譲った方がいいかと思って立ち上がろうとしたら、ラクアに止められた。そしてソルード侯爵は少し眉をひそめてから方向転換し、私とラクアそれぞれから見て斜め前の空いている席に座った。


「それで、どういったことがわかったのでしょう?」

「はい…まず彼の身元は、孤児院出身のホームレスでした。両親は恐らく死亡しており、親戚も確認できる限りはいないそうです。」

「よく親戚が見つかっていないのにそこまで分かりましたね」

「ええ、自警団に似顔絵を持たせて聞き込みさせたところ、ちょうどその孤児院の関係者を見つけまして…」

「…そうですか。それでは動機のほうは?」

「動機は、やはりうちの娘を襲うのが目的だったようで…こちらも自警団が聞き込みをしたところ、"侯爵の娘を殺す…"と呟きながら歩く男を見かけた人が3人ほどいて、うち2人は男の顔は覚えていませんでしたが、もう1人は似顔絵の男でまず間違いないと言っていたそうです。」

「なるほど…シャーロット嬢を襲った理由は何かわかりましたか?」

「それが良くわかっていなくて…もしかしたら私に恨みがあって、その腹いせかもしれません。」

「何か、恨まれるようなことに心当たりがおありで?」

「いえ、そういう訳ではありませんが、庶民が貴族を逆恨みしているという話はよくありますからね。ベルナール殿もそういったことはあるのでは?」


今まで黙って2人の会話を聞いていたが、話を振られたので答える。


「私自身は特に無いですが、酔っ払いが領主の愚痴を言っていたりするところは時々見かけますね。彼らの場合は逆恨みというよりただ日頃のストレスをぶつけているだけだとは思いますが。」

「…確かに逆恨みは十分に有り得ますね。」


ラクアがソルード侯爵の意見に同意する。そしてラクアがそのまま続ける。


「他に何か分かったことはありますか?」

「いえ、私の方ではそんなところですね。」

「そうですか…ありがとうございました。」

「すみません、2つほどよろしいでしょうか?」


私が再び口を挟む。


「はい、なんでしょうか?」

「まず、その孤児院の関係者だとか、男を見かけた3人とお話することは可能でしょうか?何か手がかりになるかもしれないので…」

「ああそれが…4人とも男のことが怖いからあまり関わりたくないと言っていたようで、これ以上の聞き取りは難しいそうです。」

「…そうですか、わかりました。ではもう1つ、男は牢屋の中で死んでいたそうですが、その牢屋に誰かが侵入したり、牢屋内に何か人体に悪影響を及ぼすようなものがあったりはしませんでしたか?」

「…侵入は不可能です。自警団が常に複数人の見張りをつけていたので。それと牢屋内に何かあるということもないと思います。男を入れる数日前まで他の囚人を入れていましたが、特に健康には影響がなさそうでしたから。」

「わかりました、ありがとうございます。」

「…それでは、私はそろそろ次の用事がありますので、おいとまさせていただきます。」

「ええ、ありがとうございました。」


そういうとソルード侯爵はラクアに会釈した後、足早に部屋を後にした。



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