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魔術大会1日目︰団体戦決勝後/魔術大会2日目

「…うん、大体大丈夫そうね!でも一応この薬塗って今日は休んでおきなさい」

「はい、ありがとうございます」


私はあの後保健室に来て、保健室の先生の診察を受けていた。ジークも私を見張るためかついて来た。


「大丈夫そうだね!」

「うん。ジークのおかげだよ、ありがとう」

「良かった!」

「ところでアランは?あの人も怪我してなかった?」

「アランは思ったより怪我してなかったし僕が治したから教室に先に戻ってるよ!」

「そっか、なら良かった」


あれだけベークマンとやり合って大して怪我していないとは驚きだ。というかそれを言うならジークは直接の打ち合いは少なかったとはいえほぼ無傷だ。2人ともタフ過ぎやしないか。それとも私が打たれ弱いのか。


「僕達もクラスに戻ろうか!」

「そうだね」


――――――――――


教室に戻ると、マリーが入口で出迎えてくれた。


「カナ、ジークさん!お疲れ様!!」


そう言うとマリーは私に抱きつく。マリーの背後からアランが なかまに なりたそうに こちらをみている。


「ありがとうマリー」

「ほんとに!ほんとにおめでとう!!」


少ししてからマリーの頭をポンポンと撫でて離れてもらい、教室へと入る。すると今度は他のクラスメイトが待っていた。


「すごかったぞ2人とも!!」

「ジークさすがだな!」

「めちゃくちゃかっこよかったぞベルナールさん!!」

「あの大男相手によくやった!!」


教室内に賛辞の声が飛び交う。


「ありがとう」

「ありがとう皆!!」


「いやー俺もさっき教室来たとき褒められまくって照れちまったぜ」

「ハハ、そうだね。でも悪い気はしないよ。」

「そうだな!」

「嬉しいね!」


「なあ、使ってた魔法について色々聞かせてくれよ!」

「そうそう、アランとカナの剣とかどうなってたんだ??」

「ジークの空飛ぶやつって俺もできるかな?」

「ああそれは…」

「はいみなさん!盛り上がってるところ悪いですけど先にHR(ホームルーム)済ませちゃいましょう!」


――――――――――


HRを済ませた後も引き続き質問の嵐だった。私はそれに対しなるべく噛み砕いて説明した。ちょっと噛み砕き過ぎたかもしれないが、皆興味津々で聞いていたので良しとしよう。


「ふー!やっと落ち着いたね!」

「そうだね」

「ふーってお前、説明したのほとんどカナさんでジークはほとんど何も言ってねえじゃねえか」

「えへへ!あ、そう言えばカナ疲れすぎてない?大丈夫??」

「怪我のことなら平気だよ、純粋に今日は動きっぱなしで疲れたけど。」

「だな、俺もだ!そろそろ寮に帰ろうぜ!」

「僕も帰る!」

「あ、カナ!それなら一緒に女子寮に戻りましょう!」

「うんそうだねマリー」


こうして私たちは帰路についた。その後私は夕飯とシャワーだけ済ませ早々に寝てしまった。さすがに今日は疲れた。…むしろ私としては本番はこれからなのだが。


――――― 翌日 ―――――――


魔術大会2日目。個人戦は3日目からなので、今日は1日休みで、特に授業などもなく自由行動できる。体調は若干筋肉痛なこと以外は良好である。


正直もう少し寝ていたいが、朝と帰りのHRにだけは出席しなくてはいけない。


「おはよう、カナ!よく眠れた?」

「おはよう、ジーク。それはもうぐっすりと。」

「そっか、良かった!」

「マリーとアランは?」

「もういるよ!」

「あ、カナおはよう!」

「おはようカナさん!」

「ねえ、今日は屋台の方を回らないかってアランさんと話していたのだけど、カナとジークさんはどうする?」


屋台というのは、魔術大会に併せて敷地内で出店されているもののことだ。食べ物やフリーマーケット、ブランド物の店に魔術学院の生徒向けの就職相談室なんてものもある。賑わいっぷりは祭りさながらである。試合そっちのけで屋台だけ見て帰る一般客も多い。


「あ、僕達も…カナ?」


私がジークの肩に手を置くとジークが言い淀む。


「いや、私たちは明日以降も試合あるしやめておくよ。6,7日目は暇だから遊べるだろうし。今日はアランとマリーの2人で行ってきたら?」

「なっ…!」


実際はちょっと屋台をまわるくらいの余裕はある。だが敢えて断りアランにマリーとデートでもさせてやろうという訳だ。


「あ、そうよねごめんなさい!アランさんが良ければそうしたいわ!」

「あ、お、俺は…!もちろんいいけどよ…」

「なら決まりね!それじゃアランさん、行きたいところはある?」

「あーっと…」


2人で話し始めたアランとマリーを尻目にジークに話しかける。


「ごめんねジーク、勝手に決めちゃって」

「ううん!頑張ったアランにご褒美だね!」

「そうそう」

「カナはどうする?休みたい?」

「うーんどうだろ、1日中まわるのは疲れるけどかといってやることも無いし、上級生の試合は観にいきたいかな」

「あ、僕も観たい!そしたら一緒に行こっか!」

「うん」


こうして今日は試合観戦することになった。


――――――――――――


「それにしてもすごい盛り上がりだな〜 昨日も凄かったけどもっとこう、熱がすごいね!」

「うん、やっぱり外部の観客が多いのは大きいかも。」


私たちは今3年生団体戦の予選を見ており、第四試合が始まったところだ。


魔術大会の試合は基本的に他学年の生徒や一般客も観ることができる。ただし、1年生の団体戦だけは1年生は全員全試合の観戦が義務付けられており、逆に他学年の生徒や一般客は立ち入り禁止である。他の試合は同学年の試合を見るか見ないかは自由だが、常に7,8割は観ているそうだ。


そのため、内々の雰囲気で実況も放送委員が行なっていた1年生団体戦とは打って変わって、外部から実況者と解説(大体は騎士団の関係者)を呼んで内外問わず盛り上がる様は前世のスポーツ観戦そのものだ。ちなみに今観ているのは3年生の予選である。


「グランドランス!」

「アースアーマー!」


「でたー!!C組タンカーのグランデ選手のアースアーマー!土の鎧は槍をも弾くぞ!!F組はこれをどう攻略する!?」


少し見ただけでも、上級生の魔法の威力の高さや手数の多さが伺える。


ちなみに、魔力量は神の啓示を受ける15才から、成人ししばらくたった25才頃までは歳を追うごとに上昇する。一般的にはこの期間で元の魔力量から1.2~1.5倍ほど自然と増加する。これに加えて、年齢に限らず鍛錬すればさらに魔力量をあげることができる。ある事例では、自然成長と鍛錬の結果、神の啓示の時点で魔力が60だったのが200になったなんて話もある。なお、鍛錬の効果は魔力が低い方が恩恵を受けやすい。


上級生のこの強さは、成長と鍛錬の賜物である。


「フレイムメテオ!」

「っ!!!」


「F組最後の1人がダウン!勝者C組!!」


ワァーーーー!!!


勝負あったようだ。


「凄かったね!」

「そうだね。なんというか、1年生より"団体戦"って感じがする。」

「だね!それぞれが何するかっていうのがちゃんとわかれてるもん!」


私たちA組は割と気をつけていたつもりだが、1年生の団体戦では大体が役割分担をせず同じようなことを皆でするか、1人だけやたら強くてほぼ1対3状態のどちらかだった。


それに対して、3年生の団体戦は大半のクラスが"タンカー" "アタッカー" "遊撃手" "ヒーラー" といった具合に人ごとに役割分担している。たまに全員オールラウンダーみたいなところもあるが、それはそれで1度に同じような動きはせず、臨機応変にその役割を変えている。やはりこういうのが団体戦の醍醐味と言えるだろう。


「やっぱり面白いな」

「うんそうだね!どうする?まだ見てく?僕はどっちでもいいよ〜」

「いや、もういいかな。大体勝負は見えてるし。」

「え、そうなの?結構どこも同じような実力に見えたけど…」

「属性と傾向の相性、それと予選でどれくらい余裕そうかとかもあるからね。多分優勝はG組だよ。」

「えーほんとに?じゃあ合ってたらジュース奢ってあげる!」

「お、それは楽しみ」


――――――――――――――


その後、3年生団体戦の優勝がG組であることがアナウンスされた。


「すごいね、ほんとに当てちゃった!はいこれジュース〜」

「ありがとう」

「どうやったらわかるの?」

「割と観察するのは好きだし、見てるうちにそのうち何となくわかるようになるよ。元素視とか魔力視のおかげもあるけど。」


ちなみに魔力視というのは、文字通り人の体内や発動された魔法の魔力を認識できる力だ。元素視と違い魔法でない普通の土、火、風、水は認識できない代わり、魔法であれば自分の属性でなくても認識できる。


「そっか…」


ジークが一瞬言い淀む。


「…ねえ!カナは戦いが好きなの?」

「…というと?」

「昨日の団体戦とか、上級生の試合見てるときとか、王子と戦うことになったときもだけど、普段より生き生きしてるなーと思って」


私が戦いが好きかどうか。あまり意識したことは無かった。


「うーんどうだろ、戦い自体が好きというよりは、今までやってこなかったことが新鮮で楽しいのかも。15才で神の啓示を受けるまで魔法はもちろん剣も持ったこと無かったし。」

「…じゃあ神の啓示を受ける前は楽しむことは何かあったの?」

「それは…どうだろうな、その時々で変わるからどれって言われると困るな。」

「…なるほど!じゃあ明日の準備もあるし戻ろうか!」

「うん」


ジークはなぜ急にそんなことを聞いてきたのかは分からないが、私の説明に納得してくれたようだ。もっとも私が転生する前、15才までの"ヒロイン"は私では無いからその頃どうだったかは本当はよく分からないが。


……そのことをジークが知る必要はない。


―――――――――――― 続く

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