関ヶ原周りを拠点と考えた場合
所員:(岐阜城の弱点並びに大垣城が水に弱いことは東西両軍共に知っていること。現に岐阜城はわずか1日で陥落してしまったこと。小牧長久手の際、秀吉が拠点としました犬山城にも内応するものが居た。尤も岐阜城が落ちた時点で犬山は敵中に孤立することになりますので、最前線の基地にするのは無謀……。勿論家康方の態勢が整う前に尾張を攻略することが出来れば話も変わって来ますが、伏見城攻略に時間を要したことにより福島正則の清須帰城を許してしまった。となりますと拠点は自ずと決まって来ます。)
私(三成):(関ヶ原を想定することになりますか……。とは言え関ヶ原は北陸に東山。更には伊勢へと通じる要地。そこに宇喜多、小西に石田が北陸の。毛利を伊勢の。それぞれ要害に陣を構えたことに間違いはなかった。更に直接畿内へと通じる山中の隧路を大谷が塞いだ点も問題は無かった。ただ1つ誤算が生じることになったのが。)
所員:(美濃と近江の国境地帯にある松尾山を、戦線離脱していた小早川秀秋に占拠されてしまった。と……。これが無く。関ヶ原での戦況が大坂方有利となった場合。南宮山の吉川広家はどのような判断を下すことになったのか?家康には3万の軍勢が居るとは言え親衛隊であるため本当のいくさ場で機能する部隊ではない。一方、南宮山の毛利秀元の1万5千は実戦に用いることの出来る軍隊。これが家康の背後を衝いた場合……。)
私(三成):(逆の結果に。それも1日で決着したことも想定することが出来ます。)
所員:(上杉が会津での目論見を関ヶ原の地で……。実際は、その逆になってしまったのでありましたが。)
私(三成):(そうならないためにも必要なのは、大坂方の敗北を決定づけることになりました小早川秀秋の扱い。力で排除することは勿論出来ません。それがわかっているから秀秋は、大坂方のエリアである近江で。大坂方の指示を無視することが出来たのでありますし、松尾山を占拠することも出来た。と……。となりますと秀秋を畿内に置いておくことは危険である。秀秋が家康と連絡を取る前に別の仕事を。それも家康本隊と無縁の場所で……。)
所員:(そうなりますと……。)
私(三成):(秀秋の拠点である九州に戻すのが無難なところになりますでしょうか……。秀秋の拠点筑前の周囲には唐津の寺沢に中津の黒田の両名が会津遠征に参加しています。加えて熊本の加藤清正はその遠征に参加することを家康から許されていないため、本隊が丸々熊本に居ます。彼らへの備えとして秀秋を派遣する。もし仮に秀秋が家康方となったとしましても大坂への通路である瀬戸内海は毛利が抑えているため、たとえ秀秋であったとしても上坂は容易なことではない。)
所員:(史実では中津に残った黒田如水が無人の荒野を行くが如く北九州を席巻したことを思いますと、秀秋の存在は如水を牽制するには十分であります。)
私(三成):(で。もし仮に秀秋と如水が手を結び九州を席巻したとしましても、いくさの肝は畿内にありますので。上田城での成功が逆に徒となった真田のように……。鎮西将軍とでも称してとっとと送り出すことにしましょう。)
所員:(同じ九州の。秀秋と同じく大坂の指示を無視した鍋島勝茂については……。)
私(三成):(戦線離脱は父・直茂の指示があってのこと。その直茂にしても勝ち馬を見定めての行動であるため、戦況が大坂方に傾いた場合。いつでも勝茂を大坂方に合流することが出来る態勢は崩さないと思います。加えて秀秋同様勝茂も九州に戻しますと。仮に彼らと如水に清正が手を組んでしまいますと。たとえ毛利でありましても、彼らの上坂を止めることは容易なミッションでは無くなってしまいます。現状維持が無難かと……。)
所員:(吉川広家はどうしますか?)
私(三成):(広家の主君である毛利輝元が大将である以上、家康方として軍事行動を起こすことはあり得ませんし、広家の行動を輝元が指揮していることも考えられますので、広家を排除することは得策ではない。……とは言え広家と同じ南宮山に陣取った輝元の名代・秀元や安国寺恵瓊は戦う気に満ちていた。そしてカモフラージュの意味もあったと思いますが、広家自身。伊勢での戦いにおいては本気を出していましたので、少なくとも伊勢攻略までは秀元と同じ行動を採らせることに問題は無いと思います。)
所員:(南宮山に到着したあとは?)
私(三成):(兵を動かさないだけでありますので、広家が南宮山に居ることは家康を関ヶ原に誘い込むのにはむしろ好都合なのかもしれません。ただ大坂サイドからしますと必ずしも家康を倒す必要はありませんので、広家は秀元とは別行動にしたほうが無難と言えば無難。それなりの処遇に加え、広家を家康方に奔らせないようにするためには……。手として考えることが出来るのは、輝元の名代として秀頼の補佐役をお願いし大坂城に入って頂き、輝元を北陸からの侵入を試みる前田の備えとして佐和山に入城させる。こうなりますと毛利は名実共に大坂方の大将として家康と相対すことになりますので。家康も簡単に動くことが出来なくなりますし、主君が表に出てしまいますので広家も従わざるを得なくなります。勿論広家の持っている兵は全て輝元ないし秀元のもとに置かれることになります。)
所員:(で。秀秋が占拠した松尾山には?)
私(三成):(宇喜多、小西に石田の誰かが入るのが自然な一手ではありますが、如何せん関ヶ原では、この三者が居てなんとか一進一退に留まっていたことを思いますと、彼らの内誰かを松尾山に持って行くのは心許ありません。加えていずれ背後から前田家が迫って来ることになる。そうなると別のところから……。そうなりますと彼らか……。立花宗茂に小早川秀包の両名。これを実現させるために必要なのが……。)
所員:(大津城に籠った京極高次ですね……。場所が場所だけに放っておくわけにはいかない要地を……。ここに高次が加賀に居る間に長束に入ってもらうのも手ではありますね……。)
私(三成):(彼だけは一環して大坂方でありましたからね……。)
所員:(あとは増田長盛ですね……。)
私(三成):(史実では長盛が家康と通じていることを三成は知らなかったため、機密情報がだだ漏れになってしまったわけでありますので、どうせ漏れるのであれば……。)
所員:(こちらに都合がよくなるよう嘘の情報を流す要員として確保しておけば……。こちらが勝利を修めれば、彼もまた豊臣の人間として働くことになりますので。このままにしておきますか。)
私(三成):(ただ大坂の蔵は開かせたいですね……。)
所員:(そのための三成でしょう。……と、とりあえず戦場で裏切られると言う最悪の事態を避けることは出来そうなのではありますが。畿内の手前、尾張・美濃。更には越前まで家康方は迫っている状況でありますので、その対応についても考えないといけません。)




