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こんな世界で君は何を思う?  作者: かかかうどん
第三章 学園編
18/30

学校に行こう!

話が進まない…。

 俺とルナは、拠点の地下にある俺達の部屋から地上の謁見用の部屋、まぁつまり教会みたいな建物の礼拝堂のような場所へと歩を進めていた。

 道すがら、俺は今から十一年前のルナとの契約時のことを思い出していた。当時三歳と言っていたルナも大きくなり、十四歳という幼さを残しつつも無表情な少女となった。

 俺達が出会い、守護者と魔剣としての契約を結んだ教会は、今なおその外観を変えずに“怠惰の使徒が作った異空間”に建っている。


 俺達、怠惰の使徒一味は、怠惰の使徒が持つ空間の属性を利用した異空間に拠点持っている。ここに来れる方法は、俺やルナの様に転移が使えない者は、キルルカの南東部、旧市街内に幾つかある小屋の中の装置を利用する。装置と言ってもそんな大層なものでは無い。


 俺達がマリアベル、つまり新しく俺達同様怠惰の賢者となった彼女をここに連れてくるために用いたあれだ。

 その賢者たるマリアベルは、転移の魔法を使えるので今後はあの装置を使うことは無いだろう。それでも初めての場所には転移ができないので、今回は彼女も俺達と一緒に装置を用いて拠点へと転移をした。


「遅かったね。」

 俺達が地下のから出て、俺達が初めて出会った場所である礼拝堂のような場所に出ると、見るからに子どもと言った容貌である、我らが怠惰の使徒がそう言った。


「そうは言っても、できるだけ早く来たつもりだったんだがな。」

「いやいや、一応僕ここのトップでしょ?威厳ってあるじゃん?」

 子供のような姿で、威厳と言われてもしっくりこないのだが…。


「「威厳?」」

 どうやら、俺以外にそう思う人間がいたようだ。一人は俺の契約者である、守護者のルナ。もう一人は、怠惰の使徒が座る玉座のような椅子の向かって右側に立っている、賢者のマリアベルだ。


「うわ~ん、おっちゃ~ん。みんながいじめる~。」

「うっ!」

 そして、礼拝堂にはもう一人の男がいる。礼拝堂内の長椅子の先頭に腰を下ろしていたその人に、怠惰の使徒が頭突きをかました。白髪が混じっているが、このキルルカの街においてあまり珍しくは無い黒髪をオールバックにしうなじ辺りまで伸ばしている彼は、この十一年の間で怠惰の魔王となった人だ。


 十一年前に“賢者”“魔王”“魔女”の役職を兼任していたベルは現在、魔女の役職のみに就いている。多分今は、自室に籠って新薬の研究か探索者としてキルルカで活動をしているだろう。

 というわけで、ここには俺を含め五人がいる。


「あれは放置として…、で?俺達はなんで呼ばれたんだ?」

「うわ~ん、シェイドもいじめるよ~。」

 と言ってその頭を魔王の腹に捻じ込むようにグリグリする使徒…。そんなんだから…。

「威厳…?」

 ぽつりと、ルナがそうこぼした。


 そうして使徒を残念な人を見るようにルナと見ていると、パンっパンっと手を叩く音が礼拝堂に響いた。その音源を見ると、マリアベルがその手を自身の胸の前あたりまで上げていた。全員の視線が集まったのを確認すると、おもむろにその口を開いた。

「漫才はその辺にして、自己紹介をしましょう。私はマリアベル。親しい人間からはマリア、またはベルと呼ばれていましたわ。この度、怠惰の賢者になりました。どうぞよろしくお願いいたしますわ。」

 そう言って、カーテシーだったか、フード付きのローブの下に着ていたスカートの裾を摘みお辞儀をした。


「どうも、俺は、と言っても見えないだろうが怠惰の魔剣のシェイド。こっちの無表情なのが守護者でルナだ。」

 守護者と契約した俺の現在は、契約前の魔力体状態で彷徨うのではなく、ルナの影の中にいる。これは、契約が成立してからこのままだ。俺、怠惰の魔剣の形は“影”であるので、契約前の魔力体の状態が異常だったのだ。


 俺の紹介に続き、ルナが軽く会釈をする。

「もうちょっと、愛想よくしなさいよ…。」

 と、つい口から出て、溜め息を吐く。

「いいえ、気にしませんわ。シェイドさん、ルナさんよろしくお願いしますわ。」

「ああ、よろしく。」

「よろしく。」


 そういえば、ルナは転生者であるが前世の記憶がほぼ無いようだ。

 彼女と初めて話した時に、前世の名前を聞いても首を横に振られた。


 怠惰の使徒曰く、ルナと俺が前世いた世界は同じであるようだ。しかし、前世の話を切り出そうとすると、ルナは頭痛を訴えた。おそらく、前世で思い出したくないことがあったのだろう。それが辛そうで、俺は彼女と前世の事を話すのを避けるようになっていた。それでも、時々だがルナはルナなりに、前世の世界での俺のことを教えて欲しいとせがむときがあった。それは彼女なりに辛い前世を乗り越えようとしているのだろうと思う。


 そんなことを考えているうちに、魔王さんと使徒の自己紹介が終わっていた。

「でね!本題なんだけどね!!」

「ん?自己紹介が本題じゃないのか?」

 てっきりそうだと勘違いしていた。そう思っていたのは俺だけじゃないようで、ルナも首を傾げている。


「ち~がいま~す。」

 なんかむかつくな…。

「ねぇねぇ、ルナちゃんって来年で十五歳じゃない?」

 確かに、彼女と最初に会った時に三歳だと言っていたのであれから十一年経ったので、現在ルナは十四歳だ。


「確かにそうだな…。それで?」

「この世界ではね、十五歳の子女を三年間学校に通わせているんだよね。マリアも通ってたよね?」

 そう言って使徒は、マリアベルの方を見た。そのマリアベルは苦笑を浮かべているがな…。

「やだ。行かない。」

 だがそう言ってルナは使徒の言葉に拒否を示した。


「そう言っても、これは取引の結果だから。使徒からの命令ってことで言ってくれないと困るんだよね。」

 使徒の言う取引は恐らく、ルナの故郷というか、襲われた村を見つける際に、同業の傲慢の使徒との取引をしたということを思い出す。


 実際、取引はその時のものであった。

 傲慢の守護者である人が、これまた同業の勤勉の使徒が領地としている学術都市ハーメルンの学園に通うことになったらしい。その人も来年十五歳であるようだ。つまりはルナと同い年だ。

 その学園だが、ちょうど来年からはいろいろ厄介な事が起きる“可能性”を傲慢の使徒が見たらしい。


「つまりは、俺達には保険としてそこに通えと?」

「そそ。」

「条件。」

 ルナがそう口にする。その顔はあいも変わらず無表情だが…。


「どんな条件?」

「私は目立ちたくない。だからその傲慢の守護者と表立って協力はしないし、接触もしない。」

 まぁ、俺達の能力は“直接的な”殺傷能力は無いからな。目立つと動きにくくなるし、何よりもそういうのは、ルナが苦手そうだ。


「それだけ?」

「もう一つ。私達が動かなくても事件などが解決する場合は、私達は動かない。」

「う~ん。それだけなら、大丈夫だよ。傲慢からも君達には最後まで保険であって欲しいみたいだし。」

「つまり、できるだけその傲慢の使徒様の配下で片付けたい、そして最悪に備えた保険が欲しいってことですわね。」

 そう言ってマリアベルが締めくくる。


 そして来年、俺達の学術都市ハーメルンの学園行きが決まった。

今後完全不定期になります。年末年始までそんな状態が続くと思いますが、今後も変わらぬ応援をお願いします。

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