案外ピンチでもない、わけでもない、多分。
第12話で、いささか日本語に不備がございましたので修正いたしました。
また、記念企画は活動報告通り中止です。
お騒がせしました。
「それでね、シェイド君。」
俺が、魔王さん改めて、ベルさんと自己紹介を終えると、ベルがそう切り出した。今までの和やかな雰囲気が変わり、ピリッとした雰囲気に包まれる。
「今回、村を襲撃した盗賊団ね。あれ、潰そうかなって思うんだ。」
「は?」
この人は何を言ってるんだ?二人で盗賊団なんて潰せるのか?いや、無理じゃね?
守護者の気配を変えれるだけで、俺戦力外だし…。
「さすがに、魔王の役職を兼任してるから全力は出せないけれど、君がいればリーダーぐらいは殺せるんじゃないかな?」
ん?
「あの三つ質問いいか?」
ちなみにさっきの自己紹介の後、同僚なんだし砕けた話し方でいいと言われたので、クラスメートと話す感覚でいる。
「どうぞ。」
「一つ目。魔王の役職を兼任しているからって、なぜ全力を出せないんだ?」
「ああ、魔王はね、ある意味使徒の最高戦力なの。」
「ある意味?」
「使徒の許可と、守護者、賢者、魔女の承認で、自身の能力の全力を出すことを、制限時間内で許されているの。まぁ、それが無いと≪魔王の声≫っていう、通信能力しか使えないんだけどね…。」
「ああ、今守護者がいないから…。」
「そっ。だから、賢者の転移も、魔女の回復も、魔王の役職のせいで使えないの。」
「え?じ、じゃあどうやってここへ?」
「そりゃ、使徒様に頼んで。いや~、魔王の役職って不便だよね~。制限時間内じゃないと、身体能力も魔力も一般人以下なんだもん。」
あ、これは、無理じゃないでしょうか?もしかしてこの人、脳みそ筋肉と言う人種か?
「え、えと。二つ目。俺の力があればリーダーは殺せるってのは?」
「ん?あれ、君って視界に入った人の気配の濃度を変えられるんだよね?」
「へ?は?んんんん?!」
「あれ?もしかして知らなかった?」
「お、おう。」
な、なるほど。他人の気配も操作できるのか…。あれ?ちょっと待て。
「もしかして、濃度を変えられるってことは、濃くできるの?」
「そりゃ、もちろん。」
…、ああ、うん。暗殺者が俺の劣化っていう意味が分かった。つまりゲームで言う、タンク職を俺は作れるってことだよね?
だって、パーティーのタンク以外の気配をゼロ近くにして、タンクの気配を濃くすれば、相手にはタンクしか見えなくなるってことだろ?
多分、俺がその相手なら、タンクが不可視の攻撃をしてくるように感じるのでは…。
俺TUEEってことかな?反則も、ここに極まってるわ。
「三つ目は?」
ああ、自分の能力のあまりの強さに、呆然としていた。
「えと、三つ目は。奴隷商に売られた守護者候補の親の捜索とかしなくて良いのか?」
そう。捜索する感じじゃなくて、それは、二の次みたいだった。それが疑問だった。
「ああ、そもそも、君はどうしてこの村に守護者候補が産まれるのが分かったと思う?」
「使徒のすごい力とか?」
転移とかできるなら、できそうだと思う。
「うん。ほぼ正解かな?」
「ほぼ?」
「そそ、うちの怠惰の使徒様の同業でね、傲慢の使徒様って言う方がいるの。その方はね、未来の選択肢の一つの可能性を見ることができてね。」
「ああ、なるほど。」
「そそ、取引してその結果を教えてもらったらしいの。」
「じゃあ、今頃、守護者候補の親が何処に居るかも分かっているってこと?」
「多分?」
その言い方に、俺は首を傾げる。
「さっきも言ったけど、前回は“取引”をしたの。内容は知らないけれど、でも今回は取引できるものがないから、何処に居るか知っていたとしても、教えてもらうことはできないんだよね。」
そんな俺に対して、ベルさんそう返した。なるほどね…。未来の“可能性”として、この村のある夫婦から、守護者候補が生まれることは分かっていて、それを取引で教えてもらった。しかし、今回のその夫婦がいた村が襲われる未来の“可能性”は教えられなかったってことか…。
「それで?何で盗賊を倒すことになるんだ?それなら、そんなことする前に、捜索し始めた方がいいんじゃないか?」
「そうだね。だからこそ潰すんだ。」
うーん。分からん。捜索がなんで盗賊団を潰すに変わるんだ?
「多分、その盗賊団、奴隷商と繋がっていると思うんだ。」
「ああ。この村を襲ったのが“大規模な”盗賊団だったっけ?」
大規模な盗賊団で、周辺を見る限り森で、人工物は少ない。なのに、村を大々的に“潰した”。そんなことをすれば、盗みを働く相手がいないから“大規模な盗賊団”の維持は困難。
なるほど。維持するための資金を、奴隷商から受け取っているとしたら、この村を潰すのに、違和感はないか?
「だがそれなら、定期的に奴隷を手に入れる方が良くないか?」
そうだ、だって村を潰せば、ここで新しい奴隷の供給が止まる。それなら少数でも、供給をした方がいいのではないだろうか?それを、ベルさんに話してみた。
「…。確かに…。」
「まぁ、と言っても、手がかりは無いので、その盗賊団を潰しちゃった方が良いですかね?」
そう、現状手がかりはその盗賊団のみなので、潰すもとい、調べるしかない。
「そうだね。とりあえず君は今、ただの魔力体だから、私の魔力を供給してあげるよ。」
「ああ、助かる。」
実は、さっきから行動をする度に力が抜けるような感覚を感じていた。
なのでベルが、何か手の平から、糸のような物が俺に繋がり、力が回復していく感じを受けた。
「これが、魔力?」
「あれ?見え…、ああそっか、君は今魔力体だからかな?」
ベルのその呟きは俺にが聞こえなかった。
今回も、説明回でしたがいかがでしょうか?
説明ばっかで全然進んでませんが、次回は盗賊団をさっくり潰します。
(いつ更新できるとは言ってない。)
誤字報告、感想などお待ちしております。




