反撃ののろし
「とにかく攻撃をお願いします!」
ヒョーカに伝えるとその場から離れた。パンドラの箱を仕掛けるには四つ角に魔法陣を描く必要がある。
物理的に描くわけではないが感覚としては似ている。
「何を企んでいるか知りませんが?よけきれるならやってみたらいいのでは?」
ルイの攻撃は威力を増す。魔法陣を描くため移動した先でもヒョーカが氷の壁を遠隔で張り、防いでくれている。
ガリガリと削れる音が聞こえるが、こちらまで刃は届かない。
「こっちを無視しないでよね~」
ヒョーカがそういうと、大きな氷の槍が頭上に現れる。
「グングニール、いくよ~」
高速で動く氷の槍はルイをめがけて飛んでいく。電柱ほどもある巨大な槍だが、その速度は音速を超えており、攻撃に遅れて破裂音が聞こえてくる。
ルイは風の魔法で防いでいるようだ。強烈な攻撃にルイの顔が若干ゆがむ。
「面倒をかけないでくださいね?」
怒りの表情をあらわにしたルイは、両手を水平に重ね合わせている。何らかの攻撃の前触れだろうか。
パンドラの魔法陣を描きながらもルイの行動に注目をする。
「レーヴァテイン、よけないでくださいね?」
ガオッ
聞いたことのない風鳴が倉庫内に鳴り響く。ヒョーカは氷の槍での攻撃を一時中断し、防御に専念するようだ。
「イージス〜!」
目の前に巨大な氷壁が現れる。ヒョーカの氷の盾だ。
パキン
硬度を持った物質が割れる音。目の前の氷の盾が真っ二つに割れている。
ルイの鎌鼬の勢いは止まったが、衝撃で巨大な氷がこちらに迫る。
直撃するかと思ったが、落下の直前で水に戻った。
「……かなり手ごわいね~」
ヒョーカはそういいながらも新たな魔法を唱えようとしている。ルイはそれに呼応し風を呼び始める。
ルイはかなりの強敵のようで、ヒョーカの額に汗が浮かんでいる。
こちらもパンドラの準備を急がなければ。魔法陣はまだ二つしか描けていない。
大きく風の音が響く。ルイは攻撃の方法を変えたようで、嵐の前のような嫌な雰囲気が倉庫内を包んだ。
「ハルピュイア、食らいなさい!?」
暴風の竜巻がこちらを襲う。全方位からの攻撃ではよけきることも防ぐこともできない。
直撃は避けるようにヒョーカが防いでくれているが、それでもダメージを防ぎきることはできない。腕やほほが風で切れて血が出ている。
舞い上がる血液を視界の端にとらえながらも、必死で魔法陣を描く。あと一つだ。
ルイはさらに魔法を練っているようだ。ヒョーカも攻撃をしようとはしているが、俺を守るためにも魔法を使っているからか、攻めに転じることができない。ごめんなさい、あと少しなんです!
ルイがこちらを直視する。そばにはもう一陣の 暴風の竜巻が浮かんでいる。
「……さすがに防ぎきれないかも~」
ヒョーカから焦りの声が聞こえる。……。
……できた。
「ヒョーカさん!!よけてください!!」
パンドラの箱
描かれた魔法陣を意識しながら必死で唱える。
地面に大きな正方形が描かれた。反撃開始だ。




