表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

第5話「はじめての依頼と、守るための魔法」

ギルドの中は、にぎやかだった。


「まずは、依頼を見てみましょうか」


ミアさんにそう言われて、掲示板の前に立つ。


紙がびっしり貼られている。


「……すごい量ですね」


「はい。ここから自分に合った依頼を選ぶんです」


そのとき、ふと気になって聞いてみる。


「そういえば、冒険者ってランクがあるんですよね?」


「ありますよ」


ミアさんが指で順番をなぞるように説明してくれる。


「下からF、E、D、C、B、A、そしてSランクです」


「Sが一番上……」


「はい。そこまで行く人は本当に一握りです」


なるほど。


「僕たちは……」


「Fランクですね」


少しだけ苦笑しながらミアさんが言う。


「最初はみんなそこからです」


「……頑張らないとですね」


小さく頷く。


でも、不思議と嫌な感じはしない。


ここから始まるんだと思えた。


「このあたりが良さそうですね」


ミアさんが一枚の依頼書を指差す。


「森の浅い場所での薬草採取……危険も少ないです」


「いいですね」


すぐに決める。


受付で依頼を受けて、再び森へ向かった。


森に入ると、少しだけ空気が変わる。


「この辺りなら大丈夫だと思います」


「はい」


周囲を確認しながら進む。


しばらくして、ミアさんがしゃがみこんだ。


「これです」


緑色の葉を指差す。


「これが薬草……」


「はい。優しく摘んでくださいね」


「分かりました」


慎重に手を伸ばす。


こういう作業、なんだか落ち着く。


「……こういうのもいいですね」


「ふふ、そうですね」


ミアさんが少し笑う。


そのとき――


ガサッ。


「……っ」


気配。


でも、少し違う。


魔物じゃない。


「誰か……いる?」


周囲を見る。


すると、木の影から男が二人出てきた。


「へぇ……こんなとこに二人きりか」


嫌な雰囲気だった。


「その子、いいね」


「……っ」


ミアさんが少しだけ僕の後ろに下がる。


「下がっててください」


小さく言う。


「ハルトさん……」


「大丈夫です」


そう言いながらも、内心はかなり緊張している。


でも――


守らないといけない。


「その子、ちょっと借りるだけだよ」


男が近づいてくる。


明らかに普通じゃない。


「……だめです」


はっきり言う。


自分でも驚くくらい、声は震えていなかった。


「は?ガキが何言ってんだ」


男が手を伸ばす。


その瞬間。


「……っ!」


前に出る。


止める。


「邪魔すんな!」


突き飛ばされそうになる。


でも、踏ん張る。


「絶対に……」


そのとき、頭に浮かぶ。


さっき手に入れた力。


「水属性……」


意識する。


体の中の流れを感じる。


「お願い……出て」


手のひらに、冷たい感覚が集まる。


そして――


「ウォーターボール!」


ポンッ!


小さな水の球が生まれる。


「……え?」


自分でも一瞬戸惑う。


でも次の瞬間。


「行け!」


弾くように放つ。


バシャッ!!


水の球が男の顔に直撃する。


「ぐっ!?」


予想以上の衝撃だったのか、男がよろめく。


「な、なんだ今の!?」


もう一人も驚いている。


「……もう一回」


今度は少し落ち着いて意識する。


さっきより、はっきり形が作れる。


「ウォーターボール」


ポンッ。


「はっ!」


放つ。


バシャッ!!


今度はしっかり当たる。


「くそっ……!」


男たちが後ずさる。


「魔法使いかよ……!」


「行くぞ!」


そのまま、逃げていった。


静寂。


「……はぁ」


力が抜ける。


怖かった。


本当に。


「ハルトさん……!」


後ろからミアさんの声。


振り向く。


「大丈夫ですか!?」


「はい……なんとか」


少し笑う。


「よかった……」


ミアさんがほっとしたように息をつく。


その表情を見て、安心する。


「……守れた」


小さく呟く。


「すごいです、今の魔法……!」


「いえ、まだ全然で……」


でも、ちゃんと使えた。


初めての水魔法。


「……でも」


少しだけ拳を握る。


「もっと上手くなりたいです」


守るために。


ちゃんと力を使えるように。


「はい、一緒に頑張りましょう」


ミアさんが優しく言う。


「……はい」


頷く。


こうして、僕たちの初めての依頼は――


少し予想外の形だったけど、


無事に終わることになった。


そして僕は、


“守るための力”を、また一つ覚えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ