全てが新たに復活
俺らが命を呈して守った3組の名誉。代わりに失ったモノもある。
まず初めに我がクラスだが。
3組に所属している連中は全員頭がイカレているとされ、「魑魅魍魎の巣窟」ということで、魔界の3組と呼ばれるようになった。
これに関しては、全員一致で了承したので結果オーライである。
千葉奈美こと関取は、イノシシのように直線的に進んで相手を破壊する。その際、巨大な胸をブルンブルン震わせながら突進してくる様をなぞらえ、みんなから「巨牛」と呼ばれるようになった。
「お前、関取から巨牛に昇進したな」
「うるさいわよ」
「いいじゃねぇか。なかなか似合ってるぜ」
「アダ名を付けた奴は絶対に許さないんだから」
「まあ、名誉の負傷ってことで」
「内臓破裂は目の前だからね!」
鼻息をフガフガさせていた。
アダ名を付けた奴、Good job。
次に小池だが、元々他人の事など気にも止めず、誰が何を言おうと関係ない姿勢で生きている。常に淡々としているため「担々麺」というアダ名が付いた。
「お前、担々麺って言われてるな」
「あんたは、空前絶後だけどね」
「空想絶倫?」
「……バカに付ける薬はないわね」
この間の社会のテストでまぐれの100点をゲットした。それを見た小池は俺を睨みつけ、点数部分を折り曲げて見えないようにした。
「お前、何点だったの?」
「そんなのどうでもいいでしょ」
「ちょっと見せろよ」
「イヤ!」
頑なに拒否するので諦めたが、折りたたむ前に9の数字が見えた。たぶん90点台だと思う。俺に負けて相当悔しかったのだろう。しばらく口を利いて貰えなかった。
ってか、100点を取れって言ったのお前じゃねぇかよ!
友則克己の人類最低コンビは、何も変わっちゃいない。克己は「全女性の仮想敵国」と言われ、本人は「ラッキー」と喜んでいる。友則に至っては、相変わらず脳筋ゴリラである。
そして寒川の場合……。
彼は優しく妹想い。自分を顧みず、妹を助けるために全力を尽くした英雄として「今世紀最高の美男子」と呼ばれるようになった。
それが功を奏して、妹は笑顔で登校するようになった。
歯車が一度でも回り始めると、そこから止まる事はない。彼女も自然と仲間に溶け込むようになり、今ではおしゃべりになったらしい。
「夏樹ちゃん、元気になって良かったな」
「これもお前のお陰だよ」
「なんのなんの」
「感謝するよ」
「……ところで寒川」
「ん? 何だ」
「お前、今回のテスト何点だった?」
「俺は98点。お前こそ何点だよ」
俺は自慢げに点数を見せた。
「ひゃ、100点!?」
「どうだ。スゲェだろ」
「まさかお前が……」
「ま、これが俺の実力だ」
「カンニングしたろ」
「誠君。これにめげず君も頑張り給え!」
奴の肩を叩き、高笑いで席へ戻った。その顔は悔しさを滲ませた怒りの表情だった。
小池といい寒川といい、不機嫌にしかめっ面をするのは何故だろう。
100点を取れって言ったのは、貴様らだろうがっ!
最後に俺。
全校生徒から「アンタッチャブル三次」と噂されるようになった。
言っている意味がこれっぽっちも分からなかったが、何となくフレーズが格好いいので良しとする。
それぞれの立場が決まって、ようやく我がクラスらしくなってきた。これから先、こいつらと苦学を共にする。他人から仲間へ。
今回の事件は、3組の結束を深めるための儀式だったのかもしれない。
俺は天下泰平、百害あって一利なしの宮本三次だぁぁぁ。
【第1部 完】




