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断罪された悪役令嬢は微笑み、悪意を飲み干す  作者: 雨傘 はる
本編その後

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12/16

第二王妃の仕掛け 1

ちまちま、本編後のお話を書けたらと思います。

よろしくお願いします!



この願いを遂げられるなら、炎に灼かれても構わない。

けれども、それだけではとても、あの人の試煉には届かないから。


この身を賭して、業火の祝砲を放ちましょう。







その日、慶事に国中が沸いた。

数年前の国王陛下の再婚に次ぐ、盛大な祝い。


第一王子、ならびに第一、第二王女の誕生。

王位継承権のある御子が三人、一度に公表されるのは異例のことだ。

年齢を重ねた国王陛下が病を患われたため、一番下の御子が生まれるまでは黙されていたとされる。


民には、王妃アリアドネの生家、筆頭公爵家当主ドミニクより酒や食事が振る舞われ、罪人には恩赦が与えられた。

ドミニク公爵閣下は、王妃の兄であり後ろ盾であるため、御子との交流も深い。喜びも一入であろう。


「かあさま。お手をふりますか?」


アリアドネよりも深い紅の髪と、彼女の家門に引き継がれる淡緑の瞳の第一王子は、すでに四歳。

髪と瞳は母似だが、凛々しい顔立ちはどちらかといえば前公爵や現公爵に近しい。


アリアドネは、我が子の小さな頭を撫で、笑みを浮かべた。


「ええ。そうしましょう」


王妃の腕には第一王女、侍女の手には生まれたばかりの第二王女がいる。

わあっとこの日一番の歓声が上がる中、アリアドネは綽々と手を振った。


国王陛下は、病症のため出席できなかったが、我が子たちの披露目を遅らせるつもりはなかったようだ。

代わりに王妃をエスコートするのは、彼女が一番に信を置く義兄ドミニク。

未だ独身を貫く彼は、淑女たちの視線を一身に集めていた。


「ドニー。みんながあなたを見ているわ」


くすくす、愉快そうに笑う妹を呆れたように見やり、ドミニクが肩を竦める。


「きみは見てくれないのに?」


「あら。王妃が兄ばかり見つめていては、いらぬ火種になるわね?」


それも面白そうだわ、と続いた言葉に、ドミニクは首を振る。

まったく、いつまで経ってもこの妹は、破天荒が治らない。


「我が甥が王位に就くまでは、頑張って猫を被っておいてくれ」


「あらまあ、つれないこと。我が子たちの前では、もちろんそうするわ」


肘を掴む手に、ほんのわずかな力が込められ、ドミニクは胸の奥に潜む熱を再度自覚する。


記憶の始まりから、ずっと。変わらずずっと、焦がれ続けている。一心に。

我ながら呆れるほどの一途さだと、ドミニクは毎度律儀に呆れるのだ。


幼い時から、ドミニクの半分はアリアドネのものだった。

彼女だけをひたむきに見つめ、彼女ばかりを想い、彼女だからこそ愛してきた。

家族として、兄として。今は。




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