第30話 プロローグ
ベッドから飛び起きると心配そうな弥生の顔が飛び込んできた。
息が苦しい。今の映像は何だ? 何がどうなった? ここはどこだ?
冷や汗が頬を伝う。過呼吸を繰り返しているので口の中はカラカラだった。
「彩芽君大丈夫? すっごく苦しそうだけど……」
「弥生! ここはどこだッ!? 愛依はどうなった!?」
「どうしたのいきなり……悪い夢でも見たの?」
夢? いや、あれは未来だ。だけど誰の未来だ? 俺は誰の未来を視ていた?
未来を視るという感覚には慣れていたはずだが今回はまるで違った。まるで現実の世界と見間違うほどに鮮明に未来が映った。
頭を抱えていると今の状況を思い出してきた。
そうだ。俺は新入生代表で挨拶した後に倒れたんだ。だからここは保健室か。
必死で現状を理解するように努める。さきほどまで映像が未来だと頭に理解させるのが先決だった。
家で血を流している愛依の姿は強烈に瞼に焼き付いている。
「彩芽君は入学式で倒れたんだよ? もう心配したんだから」
心配してくれたのは嬉しいが今は感謝する気分ではない。
誰とも話したくない状況だった。
「俺の事はいいから早く教室に戻れ」
「でも……心配だよ」
「今朝も言ったけど嫌われ者の俺とは関わらない方がいい」
さっき見た未来と同じセリフが自然と出た。
なぜだ? 弥生を怒らせるのを知っているのに言葉が止まらない。俺は咄嗟に自分の口を押さえた。
「そんな……」
「変な噂をされたら弥生も困るだろ? だとしたら迷惑だ」
「あ……」
「あ?」
「あ……」
「何だよ? 俺は別に間違った事は――」
「彩芽君の馬鹿ぁぁぁあああああ!」
すると弥生が俺の頬を思い切りビンタする。ビンタされるのは未来で知っていたので俺は冷静に弥生の腕を止めた。そして涙面なっている弥生は掴まれた腕を振りほどいて走り去っていく。
そして入れ違いで担任になる京寺先生が保健室に入って来た。俺を軽蔑しながら見下している。俺にとっては二回目の出来事だ。
「神楽。お前もしかしてあの子を襲ったんじゃないだろうな? あぁん!?」
今がどういう状況なのか理解出来ない俺は京寺先生を無視する。
最悪な未来を視てしまった原因は入学式で複数の人間の未来を同時に視た可能性が高い。保護者を入れて数百人以上が体育館に入っていたので誰の未来かは分からない。
「何だ? 思春期真っ盛りか? 返答次第では処分するから覚悟しておけ。私は学年主席でも差別はしないぞコラぁ?」
そしてさっき視た未来には不可解な点がいくつかあった。
それは特定の人物の未来が視えないという設定だ。
顔さえ見てテーマを決めれば俺は全ての人間の未来が視える。
さっき視た未来のように愛依と父親、弥生の未来が視えないということはない。いや、待てよ。途中から佳賀里の未来も視えづらくなった。
入学式を思い出す。すると体育館の端に隠れるように立つ父さんの姿を思い出した。
佳賀里や弥生も新入生なので当然に入学式に参加している。佳賀里の使用人である海馬さんやシラヌイ、義理の母親も出席していた可能性が高い。
俺は京寺先生を置き去りに保健室を飛び出した。
未来に出てきた人間の誰かが愛依を殺した可能性が高い。
俺は怒りを噛みしめながら長い廊下を走り抜けた。
ここまでお付き合いありがとうございます。
最近はAIに書いてもらう方が面白いのでは?と思ってますね。




