第10話 真面目に勉強しなさい
誰とも喋らず自分の席に座って窓から雲の流れを眺める。一番後ろの窓際の席は居心地がいい。極力他人の顔が見えないのが最高だ。
友達が一人も出来ていない俺は一人ぼっちを楽しんでいた。
学校が始まって一か月経つも経つとクラスメイト達のグループ分けが終わっている。
部活が同じ、出身中学が同じ、明るい性格で誰とも仲良く出来る奴もいた。俺はもちろん所属するグループがない状況だ。別に友達が欲しい訳ではないので気にしてはいない。俺はバイトが忙しいので部活にも所属するつもりはない。
俺が通う港高等学校は進学校であるが部活動も充実している。運動部も文化部も多彩だ。練習時間が短いのに市の大会で好成績を残す運動部もあった。文武両道を掲げているだけはある。さらに勉強の成績さえ良ければアルバイトが可能なのも好ましい。
ぼーっと景色を眺めていると遠巻きで女子生徒達が俺を意識して小声で話しているのを目の端で捉えた。俺は吐息を付きながら瞳を閉じた。
弥生と登校するようになってから変な噂を立てられている。俺達が付き合っているという間違った噂は刺激に飢えた思春期男女には格好の餌だった。弥生は全く気にしてはいないが俺はなぜか申し訳なく感じてしまう。ただ、弥生に謝ったらまた怒られそうなので二人でいる間は噂に付いて触れないようにしていた。
本当に色恋ばかり気にしてないで勉強をしろと言いたい。俺は女子生徒二人をちらっと盗み見ると成績が落ちて落ち込む未来が視えた。
ほら見ろ。恋愛の問題はテストには出ませんよー。真面目に勉強しなさい。
余計な事を考えていると担任の京寺先生が「さっさと席に座れオラぁ!」と元気に教室に入って来た。




