19 鉱山都市 ロロ
「うわぁ・・すごいですね。ここ」
「人間界でも屈指の鉱山都市だからね。君はあまり来ないのかい?」
「こっちはレアの守備範囲外ですから。はじめてですよ~」
溢れかえるように蠢く人間。
どこを見ても人間、人間、人間。
レアたちの姿は人間には見えないようになっているとはいえ、これだとうまく行動できそうにない。
レアは初めて見る鉱山都市に驚きを隠せないでいた。
この鉱山都市は大きな盆地の中に作られている。
つまり、平地よりも低い位置にある。
周囲を見渡せばらせん状に伸びる地上への道。その道中に穴がいくつも開いていて炭鉱の入口であることを示している。
街の中にはいつもの村では見ることもない鉄や金属で出来た建造物。
モクモクと天高く上がる黒煙。
活気ある市場。商店。
専門店なのか、大きな通りに面している建物には看板が掲げてあり、食料品、衣料品、武器、工具、薬草などのお店が軒を連ねている。
「この鉱山都市ロロはたまに大きな落盤事故があってね。死神協会でも気になる場所なんだ。」
「気になる?事故が多いからですか?」
「うぅ~ん。確かに事故が多いのもあるんだけど、・・・まぁ、そのへんはまた今度。今はターゲットを探そうか」
?。
事故が多いから問題視している。ってわけじゃないのかな。
なにか含ませた意味ありげな言い方だったけど・・・。
それにしても。
「ターゲットっていうと、死神さんはなにか捜査しているみたいですね」
ふふっ、なんか探偵とかみたいでかっこいい!
美人アシスタント名探偵!みたいな感じかな。
「そうかな?ご臨終さんとか、死ぬ人っていうとなんか響き悪いだろ?」
「そんな、表現が極端すぎますよ。」
「僕たち死神にその辺のクオリティーは求められないからね。まぁ、楽しく仕事をしないと、きっと魂も浮かばれないからねぇ」
都市を囲むように掘られた炭鉱の穴を遠目で眺めながらため息混じりに答える死神さん。
それもそのはず。これから起きると予知されている落盤事故。
この鉱山都市ロロで起きることはわかるけど、詳しいことは一切不明。
場所、時間が特定できない分現地調査が大切なのだ。
そして、この死神泣かせの炭鉱の数。20や30じゃ足りないわ。
私も死神さんと一緒に炭鉱を眺めてみる。
確かに、これはすごいや。
・・・ん?
「ねぇ、死神さん?」
「なんだい?今忙しいんだから-」
ズズズ・・ズドォゥゥン・・・
レアが指さそうとしていた炭鉱・・・の4つ隣が低い唸りを上げながら土埃を穴から吐き出した。
『く、崩れたぞ!!』
『落盤だっ!』
『救助を。救助を呼んでくれ!!』
人間たちの声が穴から聞こえる。
その土煙はロロの街に降り注ぐように落ちてくる。
街にいる人間たちもその光景に悲鳴を上げていた。
「あそこだ!行くよ!」
死神さんが走り出した。
レアも急いでそのあとを追う。
でも、あの炭鉱はレアが『あそこが怪しいな。』と思った場所の近くなんだけどなぁ。
ま、偶然ですかね。
「ま、待ってください!!置いていかないでっ!」
死神さんが路地裏の影の上に立つと手招きをしている。
その足は既に沈み始めていて、膝あたりまで影に吸い込まれているように見えました。
そんな死神さんを見て、人にぶつからないように急いで走っていくレアでした。




