旅人との出会い 6
そして、隣の駅についたのは午後5時。既に日は暮れかかっていいる。
「今日は、この駅で寝るしかねぇな」
紫藤さんが周囲を確認したあとで俺のことを見る。
「ホームにはゾンビはいねぇみたいだな……おい、赤井、お前見張り、やれよ」
「え……見張りって……」
紫藤さんは大きくため息をついて俺を見る。
「だから……そのままの意味だよ。見張りだ。俺は疲れた。だから、お前に見張りをやってもらうんだよ」
「え……それって……」
俺が言い終わらない内に紫藤さんは駅のベンチに座るとそのまま目をつぶってしまった。
「え……ちょっと、紫藤さん?」
「何かあったら起こせよ。荷物を持って逃げたら殺すからな」
目をつぶったままそういう紫藤さん。程なくして紫藤さんは小さな寝息を立てて眠ってしまったようだった。
「え……マジで?」
あまりにも突然すぎる出来事に俺は戸惑ってしまった。
俺は眠っているらしい紫藤さんの方に近づいていく。確かに……目をつぶっている。
さすがに肩を揺らして起こすと、きっと怒られると思ったので俺はそれはやめておいた。
「……マジかよ」
俺はさすがにあり得ないと思ったが、仕方なく紫藤さんのベンチの隣に座ることにした。
ちらりと隣の金髪娘の方を見る。
完全に眠ってしまっているようだ。見張りってことは……俺に一晩中起きていろってことなのか?
俺は大きくため息をついた。
「……小室さん、古谷さん……大丈夫かな?」
人の心配をしている場合ではないと思ったが、俺は思わずそう呟いてしまったのだった。




