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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター14
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旅人との出会い 4

 そして、俺達はその駅でひとまず休憩した。駅と駅の間を歩くのには大体30分くらい、って感じだった。


 駅の時計を見ると、時間は朝の8時。宮本さんから逃げてきて既に5時間が経過したってことになる。


 目指しているのは、隣の隣の隣……おそらく、今日の夕方くらいには着けるんじゃないかと思う。


「で、そのゾンビってどんなヤツなんだよ?」


「え?」


 駅のホームのベンチに腰掛けている時に、紫藤さんは俺にいきなり話しかけてきた。


「どんな奴って……普通の女の子だよ?」


「普通って……ったく。それじゃ全然わかんねぇだろうが」


 不機嫌そうにそういう紫藤さん。しかし、小室さんと古谷さん、二人共特別変わったっていうわけでもないのだから、そういうふうにしか説明できないような気がする。


「……っていうかよぉ。ホントに大丈夫なのか?」


「え? 何が?」


「だから……ソイツ等はゾンビなんだろう? 言葉が喋れるとしても、もしかすると、俺達のことを食べようとするかもしれないじゃないか」


 紫藤さんはまるで宮本さんのようなことを言ったので、俺は少し戸惑ってしまった。


「それは……大丈夫だよ。実際、俺は二人と一緒に暮らしていたけど、食べられなかったし」


「……それがわかんねぇんだよなぁ。なんでお前、ゾンビと一緒に暮らしてたんだ?」


 不思議なものを見る目で、紫藤さんは俺にそう言った。


「う~ん……やっぱり、一人は辛いからね。紫藤さんは平気なの?」


 俺がそういうと紫藤さんは目を丸くして俺のことを見た。そして、すぐに、ものすごく嫌そうな顔で俺を見て、そのまま何も言わなくなってしまった。


 ……どうやら地雷を踏んでしまったらしい。なんとなく、小室さんや古谷さんを怒らせてしまった時と同じ感じがしたからである。


「あー……えっと、もう少ししたら、また歩くんでしょ?」


 俺がそう言うと紫藤さんは目だけ俺の方に向けて、小さく頷いた。


 俺としても、正直早く二人の下へ戻りたい。


 どうにもこの紫藤さんは、どことなく俺のことを敵視しているというか……どうにも、俺に心を開いてくれてないというのが、ありありとわかってしまっているからであった。

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