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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター13
83/204

旅人との出会い 1

 それから、俺の命をかけた強行軍がはじまった。


 まず、その知らない街から脱出するために、俺は案内図を探した。それはなんとか見付けることができた。


 そして、そのまま俺は駅を探した。一番近い駅は、宮本さんから逃げ出してからそれほど離れた場所にあるわけではなかったので、一安心した。


 そして、俺は其の駅に向かい進む。途中何度かゾンビに遭遇したが、幸運なことに、その総てがぼぉっとゾンビだったので、小室さん直伝のゾンビの真似をしてその場をやり過ごした。それが本当に有効だったので俺は自分でも驚いてしまった。


 それから約20分ほどで、なんとか駅にたどり着くことが出来た。


「……問題は、ここからか」


 駅名を見ると、どうやら、ここは俺の住んでいる街の隣の隣……のさらに隣の街のようだった。


 つまり、ここから歩いて帰るとなると相応の時間がかかってしまうということになる。かといって、線路の上を歩くのが一番安全である帰り方であることに間違いはない。


「よし。行くか」


 俺は覚悟を決めて駅の中に入ることにした。


 駅の中も、かつて、ゾンビがはびこる前の日常と変わらない風景だった。違うのはまったく人がいないことくらいである。もっとも、幸いなことにゾンビもいなかったので一安心したのだが。


 俺は改札機を飛び越え、そのまま駅のホームへの階段を駆け降りる。


 駅のホームには、電車が止まっていた。しかし、中には誰も載っていないことが確認できた。


 どうやら、ゾンビ病発生当時の混乱で停車したままになっているのだろう。あの頃は電車の中でゾンビ病を発症させる人なんかがいて地獄絵図だったっていいう話も聞く。


「……とりあえず、線路の上に降りて歩いていくか」


 俺は車内を窓から覗き込みながらそんな風にひとりごとを言っていた。其の時だった。


「……ん?」


 俺は思わず目を大きく開けてしまった。


「……誰か、乗っている?」


 電車の中に見えた人影……座席には、背中に大きなリュックを背負って、口を開いたまま眠っている女の子の姿を俺は見つけたのである。

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