裏切りの婦警さん 4
それからしばらく車は走り続けた。
段々と見慣れない光景が広がってきている。俺は明確に焦りを感じていた。
「あ……宮本さん?」
思い切って俺は口を開いた。
「ん? どうした、赤井君」
宮本さんはハンドルを握ったままで俺に応える。
「あ……その……車、止めないんですか?」
俺がそう言っても宮本さんは答えない。俺はまずいことを言ったかと思ってその先を釣りつくろうことにした。
「その……眠れないんですよ。車が走っていると。だから、できれば止めてくれないかなぁ、って……」
俺がそういうと宮本さんは瞬時に車を止めた。
いきなりの急ブレーキに体に圧力がかかるの感じる。
「なんだ……そういうことなら言ってくれ」
心配そうな顔で俺を見る宮本さん。そんな表情で言われると、車をとめる口実でそれを言ってしまったことに俺はいささか罪悪感を持ってしまった。
「あ、あはは……すいません」
「私は、てっきり君があまり遠くに行かないようにするために、私に車を止めさせようとしていたのかと思ったぞ」
そのものずばりを言われてしまって俺はただ、曖昧に微笑むことしかできなかった。
「まぁ、ともかく。睡眠は重要だ。君には健康でいてもらわなければならない」
「あ、あはは……ありがとうございます。じゃあ……」
俺はそのまま助手席にもたれかかって眠る体制に入ろうとしたが、なぜか宮本さんはそんな俺を呼び止めた。
「あ……な、なんですか?」
「そんな姿勢で眠ったら……身体に悪く無いか?」
「え? あ、あはは。大丈夫ですよ。これくらい」
そう行っても宮本さんは納得行かない様子だった。そして、ジッと俺のことを見てくる。
「……な、なんですか?」
その視線に堪えられなくなって、俺は宮本さんに尋ね返した。
すると、宮本さんは一人で小さく頷いた後、ポンポンと、自身の膝を叩いた。
「横になった方が……眠りやすいだろう?」
「え……え!?」
俺は戸惑ったが、宮本さんの目はマジのようだった。




