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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター1
8/204

理性とゾンビ 1

 それから、どれくらい時間が経っただろうか。


 誰かに揺さぶられているのに気づいて、俺は目をゆっくりと開けた。


「う~ん……あれ?」


 目の前の光景を見て、自分がコンビニのトイレの中で眠っていたことを思い出す。


 そして、なぜトイレの中にいるのかと言えば、ゾンビから逃げるためにトイレに逃げ込んだのだ。


「あー……うー……」


 そして、もう一つ思い出した。


 死んだ魚のような目……というか、死人のような目で俺を見る女の子。


 というか、死人の目そのもので俺を見ている女の子。


 そう。俺は女の子ゾンビと出会ったのだ。


「ああ。おはよう」


「あう」


 女の子ゾンビはやはり俺の言葉が理解できるようだった。


 俺は大きく伸びをして、立ち上がった。


「あー……さて、そろそろゾンビ達はいなくなったかな?」


 俺はトイレの扉を少しだけ開いて、隙間からコンビニの中をのぞいた。


 幸い電気がつけっぱなしのコンビニの店内を、俺はトイレの隙間からでも見渡すことができた。


 いない。二人のゾンビはいないようだった。


 どうやら、自分たちの縄張りに戻ったらしい。というか、そもそもこのコンビニに来たのかどうかも怪しいが。


「よし。じゃあ、貰うものもらって帰るか」


 俺はそういってトイレを出る。


 そして、手当たり次第にコンビニの商品を背負ってきたリュックサックに詰め込み始めた。


 ゾンビ映画にありがちな、無法地帯的描写である。


 まさかその行為を自分自身がすることになるとは思わなかったけれど、店員もいないようだし、これは生きるためには仕方のないことだと思って許してもらいたい。


 なるべく、日持ちしそうなもの……主にカップラーメンやスナック菓子なんかになってしまったが、そういうものを詰めるだけ詰め込んだ。


 もちろん、リュックサックの重さには十分注意した。重すぎないようにしなければいけない。


 仮に帰り道でゾンビに遭遇したりした場合に全力疾走できなくなってしまうからだ。


「……こんなものか」


 俺はリュックサックの重さを確認し、それを背負ってからコンビニを出ることにした。

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