裏切りの婦警さん 3
いきなり出てきた言葉に俺は、拳銃を向けられていることも忘れて、そう尋ね返してしまう。
「だって、そうだろう? 君のおかげで私は命を救われたんだ……君は私にとっての英雄なんだ。好きになって当然さ」
「え……で、でも……それは――」
俺がそう言おうとすると、宮本さんは俺のことを強く睨みつける。
「……なんだ? 年下に惚れるのがみっともないって言いたいのか? 君まで! 私のことを馬鹿にするのか!?」
声を荒らげてそういう宮本さん。どうやら、ここにきて確信したが、宮本さんはかなり限界のようである。
「あ……そ、そんなことないですよ。好きなんて言ってもらえて、僕は嬉しいです」
「……本当か?」
今度は目を丸くして俺を見る宮本さん。表情がコロコロ変わって忙しい。
「え、ええ。宮本さんみたいな美人なお姉さんにそう言ってもらえると嬉しいですよ」
俺がそういうと宮本さんの表情が和らいだ。そして、嬉しそうにニッコリと笑う。
「そうか……あはは……そうか。良かった……私も……嬉しい」
拳銃を下ろすと、宮本さんは目を細めて俺を見る。
「じゃあ、君は私のことが好きなんだな」
「え……あ……まぁ」
曖昧な返事をしていると、宮本さんがまたムッとした顔で俺を見る。
「好きじゃ……ないのか?」
「そ、そういうわけじゃないんですけど……な、なんというか……は、恥ずかしいじゃないですか。面と向かってそう言うと……」
俺がそういうと宮本さんはフッと小さく微笑んだ。
「大丈夫だ。君のことは私が守るからな」
そういって宮本さんはまた車を動かした。
……ダメだ。宮本さんは少しおかしくなってしまっている。
このままだと引き返せないところまで車で行ってしまう可能性もある……どうにかして隙を見つけて車から降りないといけない。焦りが俺の頭の中で大きくなっていた。




