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僕とゾンビじゃない彼女  作者: 松戸京
チャプター12
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裏切りの婦警さん 1

 そして、俺と宮本さんはそのままデパートの駐車場までやってきた。宮本さんはカートを押す……というか、まるでしがみつくようにしながら、それをなんとかここまで運んできた。


「宮本さん、車です。着きましたよ」


 そう言うと宮本さんは何も言わずにそのまま車の中に急いで乗り込んだ。そして、運転席に座ると、大きく宮本さんはため息をついた。


「……助かった」


 そして、安堵とともにそう呟いた。


「あはは……じゃあ、俺、小室さんと古谷さん、迎えに行ってきます。たぶん、古谷さんが小室さんのことを背負うの大変だろうし」


「……何? 迎えに行く……だと?」


 と、なぜか運転席に座った宮本さんは低い声でそう言った。


「え……はい。それがどうかしましたか?」


「……君は、私をこの車に一人残して、アイツらを迎えに行くっていうのか?」


 俺は言葉を失ってしまった。アイツら、って……宮本さんは何を言っているのか。先ほど宮本さんを助けたのは小室さんである。それなのに「アイツら」呼ばわりはひどすぎる。


「ええ。迎えに行きますよ。宮本さんはここで待っていてくださいね」


「……待て。動くな」


 カチャリ、と音がした。聞いこたことのない音だった。


 ただ、映画では見たことのあるものが、宮本さんの手に握られていた。


 拳銃……宮本さんの手に拳銃が握られていたのだ。


「ふっ……驚いたか? まったく……私としたことが、さっさとこれをアイツらにお見舞いしておくべきだった。こんな状況に追い込まれるまで使うのを躊躇うとは……我ながら、間抜けにも程がある」


「……隠してたんですか。それ」


「隠していたつもりはない。持っているかどうか聞かれなかったからな。さぁ、赤井君、助手席に座ってくれ」


「……嫌です。俺は、小室さんと古谷さんを迎えに行きますよ」


 その瞬間だった。バァンと大きな音がする。俺は思わず何が起こったのかわからなかった。


 しかし、見てみると、助手席には穴が空いていた。俺はまじまじとそれを見て、ようやく宮本さんが銃を発射したことがわかった。


「あまりイライラさせないでくれ……アイツらが戻ってくる前に二人でここを離れよう。な?」


 ニッコリと笑ってそういう宮本さん。俺は言われるままに助手席に座る。


「扉を閉めて、シートベルトを付けるんだ」


 言われるままに俺はその通りにする。


「……良い子だ。さぁ、行くぞ」


 そう言うと宮本さんは、エンジンをかけ、車を発進させたのだった。

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